Couleurs/ウィズセクシー
¥3,240
Amazon.co.jp
1. SEEEPLESS(Moonlight)
2. RAIN COLORS
3. Distance
4. Nostalgy
5. Merry-Go-Round
6. 微笑みの約束~someday Somewhere~
7. WITH YOU
8. ETERNAL DANCE
9. December White Breath
10. CALL
11. BRAND NEW KISS
ex-Silver Rose、ex-ROUAGEのBa.KAIKIさんが在籍していたWITH SEXY。
本作は、1997年にリリースされた、彼らにとって唯一のフルアルバムです。
その後、Vasallaでもコンビを組むRINNE、戒依のツインギターが引っ張るメロディアスなビートロック。
アルペジオを効果的に使うギターの絡み、ストレートなビートで疾走感を生み出すリズム隊、ナルシスティックなボーカルと、これでもかというくらいに90年代ヴィジュアル系のテンプレート的なスタイルを貫いていました。
ラブソングを耽美に飾った言葉で表現する歌詞についても、黎明期から少し時代が下って、先人たちのフォロワーが生まれ始める頃だからこそのど真ん中っぷりですよね。
そういう意味では、ベタの一言で済ますこともできるのですけれど、ここまでシングルとして切れそうな楽曲ばかりを詰め込んでこられたら、やはりテンションが上がってしまうのがV系リスナーの性というもの。
「SEEEPLESS(Moonlight)」、「ETERNAL DANCE」、「December White Breath」といった、マイナーコードで疾走する切ないメロディアスチューンは、わかっていてもたまりません。
知名度の割りに代表曲が少ない印象なのだけれど、なるほど、甲乙つけがたい佳曲が多いのだ。
これらを軸に聴き込んでいくと、ポップすぎると感じていた「Distance」、「微笑みの約束~someday Somewhere~」あたりも、不思議とアリになってくる。
「Nostalgy」のような白系要素の強い楽曲も、なかなか良いではないですか。
シャウトに頼らず、歌モノだけでアルバム1枚を構成しているのも、個人的にはポイントが高かったり。
さすがに、アプローチは前時代的。
アクセントとして終盤に入れてきたミディアムナンバー「CALL」などは、J-POPシーンに寄り添ったがために、トレンディドラマ世代の古臭さが出てしまっているかな。
ギターに初期ラルク的な要素を感じることができる「Merry-Go-Round」なんかも、現代風にリメイクすれば十分に通用しそうな素材で構築されているのだが、時代の中で淘汰されていくタイプの楽曲になってしまったのはもったいないです。
この辺りは、もう事実として古い作品なので、そこで賛否を議論しても仕方ないですし、むしろ今聴いたら逆に新鮮だと思って割り切ったほうが良いでしょう。
最近のバンドのサウンドワークにピンと来ないという層にはハマる、ということなのかもしれないですし。
また、スキル面、音質面には期待しないほうが吉。
当時の環境要因によるものかもしれませんが、なんとなく、音にまとまりがないように聞こえてしまいます。
ボーカルもやや一辺倒で、一部、単調に聴こえてしまいます。
内容が教科書のようにベタなだけに、サウンドプロダクションさえ何とかなれば、もっと語られる機会が多かっただろうになぁ。
ひとつの時代の道標。
時代が一周した今だからこそ出てくる味わいもあって、純粋なヴィジュアルロックが好きであれば、バランス良く聴くことができるかと。