縫合猫叉 / メルヴェル | 安眠妨害水族館

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縫合猫叉/メルヴェル


1. 縫合猫神ニャルル
2. 魂喰ィ烏-タマグィガラス-
3. 童匁-ワラベモンメ-

メルヴェルが3冊同時にリリースした絵本(CD)のひとつ。
庭園会場とライカエジソン限定でのリリースとなります。

ジャケットのイラストが示す通り、和風ホラーも彼らにかかればメルヘンに染められてしまう。
本作は、彼らの個性であるメルヘンチックな世界観を押し出しつつ、和風なイメージを強めた作品に仕上げていました。
馴染んでいるのか、馴染んでいないのか、独特な聴き心地。
これは中毒的にハマってしまいそうである。

「縫合猫神ニャルル」は、三味線を意識したような和風サウンドが、デジタル色の強い同期と重なり、それが予想以上にしっくりきたものになっているから面白い。
ボーカリストが異なれば、もっとホラーテイストも出てくるのかもしれないが、Vo.ネネさんのぶりっ子のような歌声によってポップ感が前に出てくるので、体感したことがない独自性が高められています。
隙がないわけではないのだけれど、あまり人が踏み込まんでいない路線を貫いているからこそ、引き込まれざるを得ないのだよなぁ。

続く「魂喰ィ烏-タマグィガラス-」は、ダーク路線に振り幅を広げて。
シャウトとの掛け合いがあったり、リズムが変わったり、サビではポップに展開されながらも、彼らの引き出しを広げていくアプローチ。
構成もよく練られているので、彼らの音楽的なこだわりが詰め込まれていると言えるかもしれません。

「童匁-ワラベモンメ-」は、花一匁をモチーフに作られたと思われるハードなナンバー。
やはり、この手の童謡を取り込むとホラーテイストも滲み出てくるな、と。
きちんとメルヴェルのサウンドなのだけれど、外部から世界観の要素を持ってくることで新境地を作り出そうとしているのが、今後の進化に繋がっていきそう。
期待感が高まりました。

メロディアス、ダーク、童謡モチーフと、3曲のバランスは「おつきさまかぐやさま」と共通するのだけれど、統一感はこちらの「縫合猫叉」のほうが徹底されていますね。
その分、インパクトで劣ってしまう側面はありますが、一度ハマれば抜け出せないのがこの手の作品の怖さ。
楽曲が3分台で収められており、コンパクトになっていることもあって、何度も聴いてしまいそうです。
まさかハマらないだろうと思っていたのに、気が付いたら底なし沼に。
そういう意味では、いくらメルヘンチックに仕上げたところで、ホラーであることに違いはありませんな。

<過去のメルヴェルに関するレビュー>
おつきさまかぐやさま
ゴミゴミザンゲ