HEAVEN THE CUSTOMIZED LANDSCAPE/PIERROT
￥3,146
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1. HEAVEN
2. 新月
3. DRAMATIC NEO ANNIVERSARY
4. HOME SICK
5. LOVE & PEACE
6. COCOON
7. BELIEVER
8. AUTOMATION AIR
9. 壊れていくこの世界で
10. OVER DOSE
11. REBIRTH DAY
12. BIRTHDAY
PIERROTのメジャー3rdアルバム。
「FINALE」から続いたストーリーの完結編でもあり、ひとつの区切りとなった作品です。
「FINALE」で地上、「PRIVATE ENEMY」で地獄を歌い、最後は、文字通りの"天国"。
これまでは、黒を基調にしたジャケットデザインが続いていた中、白がベースとなるアートワークになっているあたりも、テーマ性が感じられますね。
それはサウンド面についても同様であり、激しさ、ダークさといった要素がすべて削がれたわけではないものの、解放的で光が見えるメロディも多く使われている印象。
その点では、ポップさが際立ちリアルタイムでの評価は高くなかったシングル「COCOON」が、実は本作を象徴する楽曲となっているのかもしれません。
一方で、"THE CUSTOMIZED LANDSCAPE"という副題が示している通り、辿り着いた天国ですら、誰かの手によって機械化されているようなイメージを与えているのが彼ららしい。
Gt.アイジさんの楽曲が割合として増えた影響か、サイバーなフレーズが多く登場。
人間味のある強いメッセージ性とは裏腹、合理性だけを重視するデジタルな世界観も同様に連想させ、裏の裏まで思いを巡らせる余地があるのですよ。
単体でも十分に素晴らしい作品ではありますが、深読みしながら過去の一連のストーリーを読み解いていく過程こそ、やはり本作の心髄なのではないかと。
個々の楽曲に目を向けると、ストレートな構成が逆に新鮮だった「新月」、PIERROT流ラウドロックの先駆け的な楽曲「OVER DOSE」など、バラエティは豊富。
ただし、「HEAVEN」と「BIRTHDAY」という珠玉のミディアムナンバーをはじまりと終わりに配置し、締めるところは締めるという基本はしっかりと意識されており、収まりはとても良い。
「REBIRTH DAY」のすぐ後に「BIRTHDAY」を持ってくるギミック面もそうだが、とても良く練られた配置になっていると言えるでしょう。
サイケ色が強い「DRAMATIC NEO ANNIVERSARY」、白さを凝縮したポップナンバー「COCOON」、デビューシングル「クリアスカイ」の歌詞とのリンクにドキっとさせられるバラード「壊れていくこの世界で」と、シングル曲は決して王道路線ではなく、リスナーを不安にさせる部分もなかったわけではないのですが、アルバムの中で聴くと、どれも欠かせない要素だったりするわけで。
ここまで狙ってシングルをドロップしていたのであれば、Vo.キリトさんの戦略眼は確かだったということになりますな。
ちなみに、収まりの良い本作をひっくり返すシークレットナンバーが２曲隠されているのも、本作の魅力。
ひとつは、「BIRTHDAY」が終わってからしばらく再生を続けていくとスタートする「SUPER STRING THEORY」。
ポップでキャッチーなアッパーチューンであるが、本来であれば、こういう楽曲こそシングルとすべきだよ、という王道感。
キリト節が効いていて、ボーナストラックとは言え、外しません。
そして、もう１曲はマイナストラック、つまり、１曲目がスタートしてすぐに巻き戻しをかけていくと再生される「PARADOX」。
限定１万枚がすぐさま完売し、あっという間にプレミア化したシングルが、ここに収録されるとは。
これぞPIERROT！という歌詞にサウンド。
パソコンに取り込もうとすると大変ではありますが、ファンであれば聴いておきたい楽曲です。
キリトワールドの、ある種の到達点。
何か仕掛けてくるというのが当たり前であったPIERROTにとって、衝撃度は他の既出の２枚に劣る部分はあったものの、クオリティの面では最高傑作の呼び声が高いのも納得できる。
安価で買える名盤のひとつでもあり、当時を知らないリスナーも、まずは手に取ってみてはいかがでしょうか。
＜過去のPIERROT(Pierrot)に関するレビュー＞
DICTATORS CIRCUS FINAL
HELLO
DICTATORS CIRCUS-奇術的旋律-
神経がワレル暑い夜
FINALE
CELLULOID
パンドラの匣
気狂いピエロ