if...薬物乱用撲滅キャンペーン / ヴィドール | 安眠妨害水族館

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if...薬物乱用撲滅キャンペーン/ヴィドール

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1. 人形
2. 「ヒロイン」
3. マミー×ダでい
4. 平和ノ謡~ヨウコソ人形館ヘ!~
5. 射精3回ナルコレプシー
6. 君ヲ乗セテ

2003年に発表されたヴィドールのミニアルバム。
マキシシングル「if...レポトミン(YLV2525)475mg」と、「if...トリカブト(識別コード無し)120mg」を総括し、新曲を追加する形でのリリースとなりました。

2枚のシングルからは、それぞれリードトラックとなる「偽リノ錠剤」と、「とりかぶと」が選外となり、その代わりのキラーチューンとして「平和ノ謡~ヨウコソ人形館ヘ!~」が収録されたといったところか。
第一期ヴィドールとしては最後のアルバム作品となりますが、"オカルトロマンス"をコンセプトにしていた時期の集大成とも言えるかもしれません。

SEである「人形」から繋がるように「ヒロイン」に入っていく流れは、シングルと同じ。
「I my アイマイ」と同じメロディが使われており、実質的にはリメイク曲ということになるのでしょうか。
テンポを落とし、重低音を強調。
倒錯した愛の形を重苦しさと、喘ぎ声や奇声を使ってのぐちゃぐちゃしたボーカルにて表現しており、当初のツタツタと疾走するアレンジよりも、ドロドロした雰囲気が増していますね。

「マミー×ダでい」は、本作の収録曲の中では地味な位置づけにはなってしまうが、ヴィドールとして得意としている音楽性。
ダークでアングラチックな世界観を、上手くメロディアスな歌モノに落とし込んでいるので、サビでスピード感が落ちなければ、もっと人気が出ていたような気がします。

「平和ノ謡~ヨウコソ人形館ヘ!~」は、Vo.ジュイさんの伸びやかな歌声が冴え渡るメロディアスナンバー。
ぼそぼそと呟くAメロ部分から、声を張り上げて開けたサビに移行する解放感の気持ち良さといったら。
本作のコンセプトも相まって毒々しさも感じられるが、ポップでキャッチーな仕上がりになっており、追加収録された新曲としての役割を十分に果たしていると言えるでしょうか。

「射精3回ナルコレプシー」は、カオティック。
歌なのか、叫びなのか、それとも別の何かなのか。
ウネウネゴリゴリ、演奏隊が不思議な音楽を構築すると、ジュイさんもこれに呼応。
聴きにくさはありますが、このめちゃくちゃ感も、この時期のヴィドールらしさだよなぁ、と思いましたね。

最後の「君ヲ乗セテ」は、ジュイさんの歌唱力を最大限に押し出したバラード。
前半3分程度を、ピアノ一本でを歌い上げるスタイルで、「射精3回ナルコレプシー」とのギャップの大きさに、思わず動揺してしまうほどですよ。
途中からバンドサウンドが入ってきても、その壮大さは失われず。
むしろ、ますます広がりを見せていき、インディーズのダークバンドというカテゴライズが足枷になってしまうのでは、と心配になるレベルの圧倒的な歌唱でした。

当時は、「平和ノ謡~ヨウコソ人形館ヘ!~」1曲ののためにアルバム価格を出すことに抵抗があったリスナーも少なくなかったでしょう。
ただし、後に発売されたベスト盤にも収録されているため、今では無理に手に入れる必要はなくなりました。
むしろ、後追いで聴く分には、ベスト盤から漏れた楽曲をシングルで揃えていくよりも効率的に網羅できるため、ありがたい作品と言えるのかも。
中古市場でも値段は落ち着いているようだし、初期ヴィドールの音楽性を手軽に振り返るにはちょうど良い1枚です。

<過去のヴィドールに関するレビュー>
Crescent gazer
Monad
Deathmate
Chocoripeyes
シャットダウン
昔懐カシ総集編+オマケつき
ロマネスクゴシック
フェイス↑ピサロト
フェイス↓マユラ