昔懐カシ総集編+オマケつき / ヴィドール | 安眠妨害水族館

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昔懐カシ総集編+オマケつき(DVD付)/ヴィドール
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1. カラクリロマンス
2. オカルトプロポーズ
3. 偽リノ錠剤 ~レボトミン(Lv25 25)475mg~
4. 射精3回ナルコレプシー ~アッタラ嬉シイ万能消シゴム~
5. ギレ
6. マミー×ダでぃ
7. …サンガコロンダ!!
8. 灰色吐息
9. 透明ナカゴ
10. 平和ノ謡 ~ヨウコソ人形館へ!~
11. I my アイマイ
12. とりかぶと
13. 人間界TV

第二期ヴィドールのセルフカバーアルバム。
Gt.ヒデ、ユキネの両名にとっては、在籍時最後の作品となりました。

内容としては、第一期の楽曲を、第二期のメンバーで再録したミニアルバム、「昔懐カシ人形集」シリーズの2枚を、ひとつにまとめたもの。
本作には、更にレア音源となっていた「人間界TV」をボーナストラックとして、追加収録。
「新聞マスコミ関係者の方へ・・・」のMVを収録したDVDまで付属された豪華版となっております。

オムニバスに収録されていた「カラクリロマンス」、「I my アイマイ」や、限定CDであった「ギレ(表記上は逆さ文字になっていて、「逆ギレ」と読ませる)」などが収録されていて、初期の作品が手に入りにくかった当時においては、なかなか嬉しい選曲だったのではないかと。
一応、当時のメンバーでのリテイクとなってはいますが、基本的には、原曲からガラっと変えることはせず、細部を作り込むようなイメージ。
言うならば、シンセの音色が際立つようになった楽曲が多いですかね。

面白いな、と感じたのは、彼らのコンセプトであった"オカルトロマンス"を象徴する、「カラクリロマンス」、「オカルトプロポーズ」の2曲で、スタートを切ること。
単発で楽曲を発表することが多かった彼らにとって、まとめてアルバムを構成したら・・・という意図が、本作で改めて明らかになったようで、興味深かった。
アルバムとしても、疾走系の曲が続くことで、勢いがつきます。

あとは、「I my アイマイ」が収録されたことにもびっくり。
この楽曲は、「ヒロイン」として、実質的には既に再録済みということなのかと思っていたのですが、これはこれでひとつの作品という意識が読み取れる。
ミディアムスローでドロドロとした「ヒロイン」に対して、「I my アイマイ」は、歌詞のおふざけ感は強まるものの、ツタツタと走っていく構成で、高揚感はこちらのほうがあるでしょう。

「ヒロイン」は、タイプ的には、「偽リノ錠剤 ~レボトミン(Lv25 25)475mg~」と重なってしまうところがあるし、ロックバラードとしては圧倒的なインパクトを誇る「透明ナカゴ」も収録されていることから、流れを作るために、「I my アイマイ」を採用したという見方もあるか。
いずれにしても、作品リリース時にあった"寄せ集め"というイメージを払拭するために、アルバム構成を工夫しようとしているのがわかります。

そんなわけで、彼らは、その後にも何枚かベストアルバムをリリースしますが、セルフカバーという面白味があることも勘案、ニッチな位置づけにある作品と言えるのかも。
もっとも、それは、今から振り返って聴こうとする視点で書けば、ではありますが。
「昔懐カシ人形集」シリーズを買っていた人は、怒りを覚えてもいたしかたない商法であったのは、一言添えておきます。
これも、UNDER CODE PRODUCTION所属バンドの宿命なのか・・・

<過去のヴィドールに関するレビュー>
Crescent gazer
ロマネスクゴシック