Archangel / MICHAEL | 安眠妨害水族館

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MICHAEL 1st ALBUM『Archangel』/MICHAEL

¥3,240
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1. be tomorrow
2. new world satisfaction
3. みにくい反逆児
4. かくこそありしか合縁奇縁
5. 天樂
6. way to go
7. 僕の場所
8. 東京
9. Archangel
10. Amazing Grace
11. Overture
12. こころ

活動休止中のSOPHIAのVo.松岡充、Gt.豊田和貴によるユニット、MICHAEL。
本作は、全12曲を収録した1stフルアルバムです。

結成当初に発表されていたミニアルバムの楽曲を、リアレンジで収録したのに加え、ボカロ曲の"歌ってみた"を松岡さんが挑戦したことで話題になった「天樂」のMICHAELバージョン、TAMAMIZUさんい提供した「みにくい反逆児」のセルフカヴァーなど、1stにしてベスト盤のような内容に仕上がっている。
音楽性としては、SOPHIAのメインコンポーザー2人のユニットだけに、その延長線上といったところなのだけれど、こうしたアクセントにより、新しい風を吹き込もうとしているといったところでしょうか。

SOPHIAの楽曲であった「Lucifer」と相反する天使の名前を冠する彼ら。
これは、"未来のSOPHIAと繋がっている"という意味合いとのことですが、始動時のメンバーだったDr.赤松芳朋さんが早々に脱退するなど、必ずしも順風満帆ではない様子ですね。
その辺りは、歌詞を通して伝わってくるというか。
迷い、苦しみながらも、前を向いて突き進もうとする、悲壮な決意を感じることができるのです。

アカペラ風にはじまり、徐々に演奏部分がフェードインしてくる演出が印象的な「東京」は、素朴ながらメッセージ性が深く刻まれていて、今の彼らだから歌える楽曲なのだな、と。
表題曲である「Archangel」は、バンドサウンドが効いた疾走感のあるナンバー。
ミディアム調の歌モノも良いのだけれど、やっぱりこういうのが聴きたいのですよ。
ラストの「こころ」は、まさにSOPHIAのアルバムに入っていそうな楽曲。
パンキッシュで明るい曲調で、そして、どこか切ない。
SOPHIA名義でリリースできないのは寂しいけれど、こうして"らしい"曲を継続してリリースしてくれるのは、ファンとしてはありがいことです。

ただし、作品全体で聴いたときに、ややまとまりに欠けるかなぁ。
「みにくい反逆児」にしても、「天樂」にしても、ここに入っている必然性が感じられない。
どちらも、どちらかと言えば松岡さんのソロワークスからの派生だし、音楽性もそうなのだけれど、SOPHIAの意志を繋ぐことを掲げているMICHAELとして発表されることにも違和感があるというのが本音でした。
既に並行してソロプロジェクトも進めているわけだし、色々な活動を本バンドに還元したいという気持ちはあるにせよ、少し色気を出しすぎたように思う。

彼らほどの規模のバンドが現代的なスタイルにアップデートしていこうと試みる姿勢は買うのですが、裏目に出た感あり。
ライブ導入の演出で使われていた「Amazing Grace」の収録位置も、果たしてここが正解だったのか。
変わらない部分と、変わっていかなければいけない部分。
難しいところではあるものの、変わった部分についての見せ方で、もっとSOPHIAのファンに寄り添いたかったですかね。
収録曲が粒揃いで、ひとつひとつのポテンシャルは高いだけに、もったいなかった気がします。