君を家電にしてあげる / 燭台(怪) | 安眠妨害水族館

安眠妨害水族館

オバンギャと初心者に優しいヴィジュアル系雑食レビューブログ

君を家電にしてあげる/燭台(怪)

¥1,296
Amazon.co.jp

1. 飛び降りた僕はテレビ塔に突き刺さる
2. 冷蔵庫の中で…
3. 「お前も家電にしてやろうか」
4. 君を家電にしてあげる
5. 「悪魔の果実」

"昨日立ちすくんでも 今日立ちあがるために…"
一件、普通のキャッチコピーの中にも、あの言葉が潜んでいるあたり、さすが日立狂愛V系バンドである。

5トラックが収録されていますが、3トラック目と5トラック目は短い台詞のみ。
実質的には3曲入りとなります。
大女優、みなこ女史の独断場ですので、ある意味、ここも聴き所ではありますが。

「飛び降りた僕はテレビ塔に突き刺さる」は、切ないメロディアスナンバー。
疾走感を保ちつつ、ほんのりノスタルジックな歌メロを淡々と紡いでいく。
やや高音に苦しさはありますが、それも含めて味になっているというか。
サビで一気に盛り上げるタイプの楽曲ではなく、さらりと流れていくような感覚。
その中で、ここだというタイミングで感情を込める蜻蛉さんのボーカルにより、一本調子になっていないのですよ。

「冷蔵庫の中で…」は、一転して激しく。
ゴリゴリベコベコ主張するベースが耳に残りますね。
強引なテンポチェンジに、エフェクトをかけたボーカルでのシャウト。
なんとなく、90年代コテコテダークバンドの香りがする。
この辺りは、さすが当時のシーンをよく研究しているだけあって、オマージュというよりも、体に染み付いた音楽がそっちよりだった、といったところ。

表題曲である「君を家電にしてあげる」は、意外な曲調で驚いた。
ジャケットのイメージや、曲フリでのみなこさんにおける"お前も家電にしてやろうか!"の迫力からして、ハードなサウンドが展開されるものだと予想していたのですが、飛び出したのはアコースティックでの弾き語り。
パフォーマーであるホーデンさんがコンポーズを担当しているので、これまでとは違った雰囲気を楽しめます。
ふざけた楽曲ではないものの、これをオチと捉えてシングルを構成するという狙いは、大きなインパクトを残したのではなかろうか。

同期どころか、ギターもほとんど重ねていないシンプルなサウンド。
現代ロックでは珍しいので、物足りなさを感じてしまうリスナーもいそうではあるが、この、少ない音数でなんとか最大限に格好つけようとしている感じ。
8年やっていてもバンドとしての初々しさがあるというのも、燭台(怪)の魅力なのだな、と改めて認識させられました。
素直に良い曲が増えたよなぁ。

蜻蛉さんが日本に帰ってきたということで、ペースは上がっていくのかしら。
ライブバンドではあるけれど、せっかくだから音源でも聴きたいのがファン心理。
ここからまた快進撃を見せて欲しいものです。

<過去の燭台(怪)に関するレビュー>
神楽坂EXPLOSION
前田清貴
限りなく透明に近いサービスパーツ