ひとりトピア / GRIMOIRE | 安眠妨害水族館

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ひとりトピア/GRIMOIRE


1. ひとりトピア
2. げんそうシンドローム

メルヘンな世界観で、結成直後にして注目を集めているGRIMOIRE。
ライカエジソンとリトルハーツでの限定販売となっています。

"グリモアおひろめきねん0thシングル"
そう題されて発表された本作。
初音源にして、コンセプトがしっかりしているのだな、というギミックに溢れています。

まずは、歌詞カード。
びっしり平仮名と片仮名で書き込まれていて、漢字を使わないこだわりよう。
手書きの文字も、その演出のひとつと言えるでしょう。
また、各パートの表現方法。
【ぼく】RyNK、【おおかみさん】Kie、【ふくろうさん】Amu、【ひつじさん】Lune、【うさぎさん】Melと、これを見ただけでは誰が何を担当しているのかが不明。
ただし、衣装や設定と連動した世界観の構築は、なんとも期待感を駆り立てるのである。

「ひとりトピア」は、雰囲気モノのミディアムナンバー。
雨音からはじまり、導入のSEをじっくりと。
4分ほどの楽曲ではあるが、イントロのSEで1分使ってしまっているので、バンドサウンドに移行してからはすんなり進んだといったイメージですね。
全体の空気感を楽しむ楽曲で、キャッチーさよりも世界観重視。
唐突にカットアウトして終了してしまうのは、少し残念と捉えるか、余韻を残すと捉えるか。

カップリングの「げんそうシンドローム」は、一転してロック調に変貌。
イントロの打ち込みこそメルヘンっぽさがありますが、音使いにしても、構成にしても、現代シーンにも馴染むような楽曲になっているのではなかろうか。
間奏部分で音が止まり、不気味なサンプリング音がスタートする中盤の構成が彼ららしさなのかもしれないが、その後のバンドサウンドでのアグレッシブさによってカタルシスを生んでいます。
サビでのキャッチーさ、王道疾走感はたまらない。

歌に入ってしまうと、思いのほかメルヘンではなくなってしまう、というのがもったいないかな。
アートワークやジャケットに落とし込んだ工夫を、今度は音楽につぎ込むというフェーズに持って行ってほしいところ。
と言いつつも、"おひろめきねん"のデモシングルとしては、十分に高いクオリティ。
なんだか、面白そうなバンドが登場したぞ、というワクワク感。。
グリモアの"おはなし"が、今後どのように展開されていくのか、なんとも待ち遠しくなってしまいます。