NEXT…6 / Awake | 安眠妨害水族館

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NEXT…6 【通常盤】/Awake

¥1,944
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1. Kodou
2. hot milk
3. BRAVE NEW WORLD
4. ずっと

メジャーデビューが決定しているAwake。
本作は、2013年にリリースしたシングルです。
初回盤はMV付きのDVD、通常盤には「ずっと」を追加収録。

現在は5人編成で活動している彼らですが、この頃はベースがサポートとなっています。
メンバー表記も、Vo.Eru.、Gt.ナオツ。、Gt.沙雪、Dr.ゆーきと、Eru.さん以外は全員、現在とは異なる名義を使用。
この辺りの改名は、メジャーに向けての事前準備なのかしら。

"愛の伝道師"というキャッチコピーを持つ彼ららしく、リードトラックの「Kodou」は、切ないポップチューン。
現代ロックの情報量を詰め込むアプローチとは異なり、歌メロの乗せ方が90年代ポップス風というか、フレーズ重視のスタイルを貫いている。
全体的に甘さのある楽曲ではありますが、余韻を持たせるサビは、切ない風が通り過ぎたよう。
キラキラ系、お洒落系の路線と捉えられがちなバンドですが、ノリでもなく、激しさでもなく、ポップなメロディだけで勝負しているこのシングルに関しては、当時のソフトヴィジュアル系バンドにも通じるところがあるのではないかと。

「hot milk」も切なさを際立たせて。
こちらはミディアムバラードに仕上げており、淡々と一言一言を丁寧に歌い上げる。
後半は壮大さも出てくるのですが、どちらかと言えば、降り積もるように増幅していく感情の高まりを楽しみたい。
デジタルな質感を強めて、ダンサブルに構築したのは「BRAVE NEW WORLD」。
アッパー系ではあるのですが、やはりどこか翳りがあり、そこまで明るく弾けて、というイメージではありません。
サビでのインパクトが欲しかったところではあるのですが、マイナーコード好きにはたまらないのでは。

通常盤のみのボーナストラックである「ずっと」が、パブリックイメージとしてのAwakeにもっとも近い楽曲な気がします。
広がりのあるポップロック。
メロディアスでキャッチーという彼らの強みを、「NEXT…6」という作品に馴染むように落とし込んだといったところでしょうかね。

アプローチは様々であるも、切ない楽曲に絞ってパッケージした作品。
キラキラ系は苦手…と、先入観で聴いていなかった層も、聴いてみたら案外ハマるなんてこともあったりして。
このCDの作風があってのことかもしれませんが、ボーカルは、チャレンジよりも安定感に努めるタイプなのかな。
もう一歩踏み込んだ感情表現があれば、なお良しでした。

ちなみに、本作中の楽曲は、ベストアルバムに全曲収録。
効率的に網羅したいならそちらを探してみるのが良いのですが、そのせいで、本作はかなりのワゴンセール物件。
まずは割安で手に入れやすいところから触れてみたい、というリスナーは、このシングルなら外さないと思いますよ。

インディーズでのラストシングルのリリースも発表され、あとはデビューを待つばかり。
発表からここまで、随分と待たされた感はあるのですが、その分、しっかり期待に応えてもらいたいものです。