素直なままで / IZAM with ASTRAL LOVE | 安眠妨害水族館

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素直なままで/IZAM with ASTRAL LOVE

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1. 素直なままで(Radio Mix)
2. LOST LOVE
3. A PLAYER
4. 素直なままで(Original Mix)

IZAM with ASTRAL LOVE名義でリリースされた、IZAMさんのソロデビュー作。
1998年のシングルです。

SHAZNAのボーカリストが、突然のソロデビュー。
ヒットドラマ「ショムニ」の主題歌に起用されたこともあって、話題性には欠かなかったのですが、そこまでヒットには結びつかなかった印象。
この時点でセールスに翳りが見え始め、一発屋になりそうだったSHAZNAにおいて、起死回生を狙った賭けだったわけですが、そこまで至ることはできなかったといったところでしょうか。

表題曲「素直なままで」は、イギリスのグループ、ピーチのデビューシングル「オン・マイ・オウン」のカヴァー。
"Radio Mix"と、"Original Mix"の、2つのバージョンが収録されています。
女声コーラスとのツインボーカル編成で、バンドとは異なる顔を見せようとしたのかな。

もっとも、バンドとしてもポップなイメージが強かったIZAMさん。
強引にイメチェンを図らなくても良かったのは思います。
オリジナルが洋楽ということで、J-POPとしてのキャッチーさには欠けてしまうところがあり、気怠い雰囲気を楽しむには、IZAMさんのキャラが立ちすぎている。
なんだかアンバランスで、ひとりのボーカリストの持ち味を発揮することに特化した、とは言えないような気がするのですよね。

そういう意味では、カップリングの「LOST LOVE」のほうが、IZAMさんのソロ作品としてしっくりきます。
ポップでキャッチー。
ベタベタな恋愛ソングを、打ち込み中心の可愛げなアレンジでまとめていて、"らしい"のである。
シングル的でないのは理解するのだけれど、こちらがメインだったら本作全体のイメージも変わっていた気がします。

「A PLAYER」は、LUNA SEAのギタリスト、SUGIZOさんのソロシングルのカヴァー。
この次のシングルが河村隆一さんのプロデュースだったり、LUNA SEAとは何気に繋がりが深いですな。
ノイジーなサウンドと、退廃的な世界観。
IZAMさんのスタイルにハマるのかは未知数でしたが、ボーカルを前に出したうえで、オリジナルの雰囲気も壊さないように工夫されており、案外、これが一番丁寧に作り込まれていたりして。
一般受けする楽曲ではありませんが、コアなファンなら面白く聴けたのでは。

カヴァー曲が多く、タイプもバラバラ。
新規開拓するのか、コアなファンを納得させるのか、ターゲットが曖昧になってしまった感があり、IZAMさんのネームバリューだけでなんとかしようとしているように見えてしまったのが残念。
ソロや企画ユニットで、普段と違う音楽性にチャレンジをするということ自体は良いのだけれど、ここまで大人の事情が透けて見えるとなぁ。
リアルタイムで聴いていた世代としては、それなりにショッキングでした。

ただし、この時期にソロとしてのオリジナルアルバムは制作されず、2007年になって、「SINGLE BEST SHAZNA & IZAM」に表題曲が収録されたのみ。
IZAMさんが歌う「A PLAYER」が聴けるのは、なんだかんだで貴重ですので、安値で見かけたら手にとってもいいのかも。

<過去のIZAMに関するレビュー>
美意識過剰
瞳閉じて