FANTASIA / CHARLES | 安眠妨害水族館

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FANTASIA/CHARLES


1. FANTASIA ~序章~
2. ガラスの靴 ~Historical Romance~
3. FREESIA
4. クリスタロマンシー
5. scene d'amour...
6. マリオネット
7. ジェラルドの鏡
8. 闇夜のロンド
9. chandelier -シャンデリア-
10. un corant d'air -アンクランデール-
11. Blanc cheval -ブランシュバル-

解散から実に14年以上の歳月を経て、まさかの復活を遂げたCHARLES。
ライブ会場と通信販売限定で、1stフルアルバムをリリースしました。

1998年に北海道で結成され、2000年に解散。
それまで、デモテープしか残していなかったこともあり、"知る人ぞ知る"バンドになっていた彼らですが、ようやくCDで彼らのサウンドに触れることができるようになった。
収録曲は、デモテープからの再録や、当時のライブで演奏されていたものの未音源化だった楽曲を含む全11曲。
当初の予定より発売が遅れたものの、きちんと完成させてくれたのはありがたい限りです。

音楽性は、クラシカルで耽美。
そこに歌謡曲的なメロディを詰め込むことによって、ロマンティックな世界観を構築。
言ってしまえばLAREINEのフォロワーということになるのですが、2015年という時代の中で聴けば、新鮮に映る部分もあるでしょう。

完全に自主制作ということで、音質は必ずしも良いとは言えないのだけれど、デモテープでリリースしていた90年代後半のインディーズレベルから比べれば大幅に改善。
特に、「scene d'amour...」の生まれ変わり方が凄いな。
ストリングス系の打ち込みから、鍵盤に差し替えられ、好みとしての良し悪しはあるでしょうが、全体的にバランスが良くなり、聴きやすさが増しました。
「マリオネット」も、もう少しフレーズを足しても良かったとは思うものの、レベルアップは言うまでもありません。

楽曲について、いくつか個別に紹介していくと、ザクザクとしたイントロから荘厳なスタートを切る「ガラスの靴 ~Historical Romance~」の完成度が高い。
場面ごとに雰囲気が変わっていくのだが、メロディ運びがスムーズで、サビにはインパクトもあり。
ギターソロも叙情的である。
ドラマティックなイメージがあるこの楽曲を、3分半でまとめた構成力も評価したいところですね。

儚いフレーズを散りばめ、切なさを炸裂させた「クリスタロマンシー」も外せない。
耳馴染みの良い歌メロがツボなのだ。
淡々としているようで、内に秘めた感情が高まっていくさまが、とても美しい。
そこにスピード感を加えた「闇夜のロンド」も、キラーチューンと言って差し支えないかと。
クラシカルな要素を強めに出したドラマ性の高い楽曲なのだけれど、キャッチーさも忘れておらず、これぞCHARLESに求めているサウンドですよ。

最後に収録された「Blanc cheval -ブランシュバル-」は、ライブでの定番曲とのことで、本作中、もっとも激しさがあります。
もともとのアレンジでは浮いてしまうとの理由で、ギターのフレーズを中心に大胆にリメイクしたとのこと。
テクニカルでドラマティックなギターソロに、その辺りのこだわりが垣間見えるか。
クライマックス感のあるラストシーンもあるし、なんだかんだ、「FANTASIA」の締めくくりとして他に代替できないナンバーに仕上がったのでは。

あまりに音源化された楽曲が少なすぎて、復活を待ち望んでいただけに、聴けて良かったと素直に思わされた作品。
もともと、知名度が高かったバンドではなく、派手な復活劇とはならなかったとはいえ、届くべき人に届いてほしいな。
解散後のメンバーの動向的に、もっと色々な要素が付加されて、現代的な音楽性になったりしているのかと覚悟していた部分もあったのですが、あの頃のイメージを崩さずに、しっかりと世界観を徹底してくれたことには感謝の一言です。

<過去のCHARLESに関するレビュー>
Rangein...