PAINY STAR DUST / PRESEDIA | 安眠妨害水族館

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PAINY STAR DUST/PRESEDIA

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1. Justy Blue
2. ANNIVERSARY
3. Kiss me
4. Madder Rain
5. Tomorrow
6. Innocent eyes

ex- LakshanaのGt.KENJIさんを中心に結成されたPRESEDIA。
1998年にリリースされた作品です。

本作は、メジャーデビューを果たしたミニアルバム。
といっても、インディーズでのリリースはなく、そもそもオリジナルとしては、これ以外に作品を残していない彼ら。
後期にSoleilレーベルのオムニバスにひっそりと参加したのを最後に解散してしまったため、90年代後半にデビューしたバンドの中でも、地味な存在と言わざるを得ません。

しかしながら、やはり聴かず嫌いはいけないのですよ。
当時としては十分にクオリティの高い内容。
特に、ハリのあるDAISUKEさんの歌声は、爽やかな曲調にも切ない楽曲にも映え、メジャーデビューを勝ち取っただけのアピールポイントはあったわけです。

音楽性は、古き良きビートロックがベース。
BOØWY譲りのシンプルなサウンドを下地にしながら、その時代のバンドのおいしいところを取り込もうとしたのが良くわかるフレーズが多いですね。
そのため、"個性的か"と問われると、そんなことはないのだけれど、懐古主義のリスナーであれば、懐かしく安定感を持って聴くことができそう。
演奏技術も相応に高く、耳に馴染みやすいサウンドであるのは間違いないのだ。。

ソフトヴィジュアル系の王道、切なく白い疾走ナンバー「Justy Blue」でスタートを切ると、「heavenly」の頃のラルクがやっていそうなポップチューン「ANNIVERSARY」、歯切れの良いビートが軽快に響く「Kiss me」と、前半の3曲でやりたい音楽性を明確に示す。
そのうえで、後半の3曲は、ハードなPRESEDIAを示した「Madder Rain」、スケールの大きい「Tomorrow」、アコースティック調のバラード「Innocent eyes」と、そこから幅を広げようとする楽曲を中心に構成。
結果的に、ほどよく色々なタイプの楽曲が揃ったミニアルバムに仕上がりました。

課題があったとすれば、インパクト。
どうも、器用貧乏で終わってしまった感があり、デビュー盤らしい衝動性や、ガツガツとした攻めの姿勢を見ることができないまま、さらりとスマートに作品を構築してしまった印象。
この音楽性で行くのであれば、もっとインディーズで着実に動員を増やして、足場を作ってからのデビューのほうが良かったのだろうか、と思ってしまいます。

なお、Vo.DAISUKEさんは、後にKraidhearzを結成。
Dr.NORIMARさんも、Vice†riskに加入します。
同世代のヴィジュアル系バンドよりも、J-POPシーンでの受けは良さそうだっただけに、ブレイクに至らなかったのは残念で仕方ないですな。
中古市場に出回れば安価で購入できますので、気になったら手に取ってみてほしい作品。