SENDIE KAMOTSU / 仙台貨物 | 安眠妨害水族館

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SENDIE KAMOTSU (2枚組MINI AL)/仙台貨物

¥2,376
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DISC1

1. DEATH TRANSPORTER
2. メタルはじめました
3. 暴れん棒平民
4. ヤッChina!
5. 酔っぱRIDER
6. ひとりぼっちの手ぬぐい

DISC2

1. 一撃! SHABAZO伝説! !
2. 青春哀歌

宮城県が産んだ謎の運送屋集団、仙台貨物。
一度倒産しますが、見事に完全復活。
本バンドを喰う勢いを持続させています。

本作は、仙台貨物流のメタルアルバムということで。
しかしながら、「メタルはじめました」の歌詞にもあるとおり、"メタルの定義はわからないけれど、それっぽい曲を作ってみる"という、コアなメタルファンが聞いたら怒り出しそうなスタンス。
あくまで、ヴィジュアル面を含めた"ネタ要素"として広い心で受け止めてほしいところでしょうか。

実際、内容は、あまりメタルメタルした作品ではないよなぁ。
「メタルはじめました」は、メインだけに、きちんとベタなメタルを踏襲しているし、「暴れん棒平民」もシンフォニックに近づけようとしているのだけれど、他の楽曲は、良くも悪くも平常運転の仙台貨物ですね。
「DEATH TRANSPORTER」で狙いたいハードロック感もわかるし、「ひとりぼっちの手ぬぐい」みたいなクラシカルさを含んだバラードは、確かにメタルバンドのアルバムに1曲ありそうな感じではあり、意識はしているのだと思うけれど、コンセプトはコンセプトとして、あくまで仙台貨物のポリシーを貫いています。

相変わらず、キャッチーでポップなメロディと、激しくヘヴィーなサウンド。
歌詞にはネタをたくさん詰めて。
メタルにはなっていないまでも、ある程度音楽性を絞っていることもあって、以前の作品にあった雑多な感じも薄まっており、聴きやすい作品であるのは間違いない。
こんなにポピュラーな"仙台弁ソング"を作れるのは、なんだかんだ、彼らしかいませんよ。

それにしても、王珍々ネタ好きすぎないか。
「ヤッChina!」は、ひたすら王珍々いじりの曲だし、「ひとりぼっちの手ぬぐい」でも固有名詞が登場。
Vo.千葉さんだけでなく、覆面バンドの中でもキャラ立ちが進んでいくという現象も興味深いものです。

ちなみに、通常盤では「一撃! SHABAZO伝説! !」、「青春哀歌」の2曲が収録されたCDが付属された2枚組み仕様。
「一撃! SHABAZO伝説! !」は、パチンコ「CR BE-BOP 檀蜜与太郎仙歌」のタイアップが付いているとのことで、コンセプトからは外れるけれど収録しようと2枚に分けたのかな。
実質的にはフルアルバムに近いボリュームとなり、満足度も高い作品になりました。

どこまで突き詰めても、好き嫌いは分かれるだろうし、ネタ耐性がない人まで聴けというバンドではないでしょう。
メタルっぽい曲もやっているから、メタラーも聴いてみて、という話ではないのかと。

ただし、ライブでも、ラジオでも、このキャラを崩さない千葉さんをはじめとしたメンバーを見ていたら、ある意味、とてつもなく作り込まれた世界観だと考えるようになってきた。
徹底力が半端ない。
ここまで来たら、これからも好き勝手にやり続けてほしいものですな。

<過去の仙台貨物に関するレビュー>
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