海賊版 / 新宿ゲバルト | 安眠妨害水族館

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海賊版/新宿ゲバルト


1.ドヤ街、味噌、女子。
2.クラフトクリフト2668版
3.ニウロンver.2.0.1

戸田宏武、清水良行によるユニット、新宿ゲバルト。
本作は、2011年に会場限定でリリースされた作品です。

ジャケットは、普通の紙パッケージに、割り印が押されているのみ。
盤面が新聞記事風になっていて、歌詞カード等はありません。

「ドヤ街、味噌、女子。」は、彼ららしいメロディアスなエレクトロ。
もともとは、「廃2」という作品で発表されていた楽曲ですが、リアレンジされたということになるのかな。
ピコピコしたテクノサウンドに、エフェクトをかけて機械的に加工したボーカルは相変わらず。
とことん電子的で無機質な音楽なのだけれど、聴けば聴くほど切なくなるメロディラインがたまりません。

「クラフトクリフト2668版」は、ほどよく明るくポップな雰囲気も取り入れて。
パズルゲームのBGMに使われていそうな雰囲気でしょうか。
メロディとしては淡々としていて、ワンフレーズの繰り返し。
しかしながら、サウンドが、徐々に崩壊していくように変貌していくのが面白いですね。
序盤は軽やかに、終盤に進むにつれて、重々しさが加わって、カオティックな展開に。

最後に収録された「ニウロンver.2.0.1」は、もっともテクノ要素を強めて。
彼らの強みであるメロディの部分は薄まっていますが、その分、ノイジーに凝縮されたサウンドになっていて、こういうアプローチもできるのかと驚かされます。
ボーカルもデフォルメ化が激しく、もはやサウンドである。
ちなみに、メンバーが別ユニットとして活動していたニウロンとは関係があるのだろうか。
戸田さん関連の音楽活動は、あまりに幅広く、かつアンダーグラウンドすぎて、情報の収集が難しいので、詳しい人がいらっしゃったら教えてください。

「海賊版」というタイトルの通り、音源集の意味合いが強そうな本作。
音楽のベースはまったくブレていないながらも、その中でのアプローチの幅を示すことが出来ています。
さすがは、白塗りピコピコ界隈の生けるレジェンド。
3曲とも、狙っている方向性が絶妙に異なっていて、飽きさせませんな。

期間限定の販売になっていたようで、手に入りにくいことだけが難点。
「ドヤ街、味噌、女子。」については、通販も可能な「CD音源集」にも収録されているので、気になる方は、まずは完売音源集的な位置づけのそちらを聴いてみるのも一案でしょう。

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