レトロスペクティヴ Day1@東京キネマ倶楽部(2014.7.16) | 安眠妨害水族館

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a flood of circle 8th Anniversary Oneman Live"レトロスペクティヴ"に行ってきました。
3日に分けて、過去の楽曲を全曲披露するという企画。
初日は、「a flood of circleのメロディーとソウル」と題されて、初期のミニアルバム、「a flood of circle」、「泥水のメロディ」、および1stフルアルバム「BUFFALO SOUL」の楽曲を中心に披露されました。

現在は、Vo&Gt.佐々木亮介、Ba.HISAYO、Dr.渡邊一丘に、サポートギタリスト、曽根巧を迎えての編成となっていますが、今回演奏された3枚のアルバムは、初期メンバーであるGt.岡庭 匡志、Ba.石井 康崇が在籍していた時代の作品。
メンバーチェンジに伴って、演奏されなくなっていた楽曲もあったのですが、"全部連れて行く"という佐々木さんのMCでのコメントの通り、晴れて復活ということになるのでしょうか。

ソールドアウトのため、開放となった2階(会場自体が6階にあるので本当は7階なのだけれど便宜上)のバルコニーも含めて、熱気に包まれた会場。
元キャバレーであったことでも有名な東京キネマ倶楽部ですが、控え室からステージまでの導線も2階から階段で降りてくる形式となるため、レトロながらも華やかなイメージでした。
演出も特効もないライブではあるが、過去の楽曲を披露する"レトロスペクティブ"というテーマにぴったりで、ステージそのものが演出になっていたような。
ちなみに、普段は"スナッキー"と呼ばれてるHISAYOさんが、この日はスナックではなく、キャバレーが似合う女になったとのこと。

演奏は、「ブラックバード」から。
ここは、ある程度予想ができていたのですが、「ガラパゴス」、「Thunderbolt」、「エレクトリック ストーン」と畳み掛けるから驚いた。
確かに、盛り上がる系統の楽曲たちではあるのだけれど、もっと定番曲で温めてから、久しぶりの楽曲を持ってくるのかなと思っていたので、序盤から飛ばしてきたな、と。

僕がライブに行き出したのは、2ndアルバムである「PARADOX PARADE」のリリース前後からなので、この辺りの楽曲は、ライブとしては初体験のものが多い。
キャパの上がり方を考えると、会場のほとんどの人がそうだったのかとも推察されるのだけれど、それでも、自然と体が動くものなんだなぁ。
化学反応が起こって、当時以上の盛り上がりになっていたとメンバーが語っていたのが、「ラバーソウル」。
ポップさが際立った楽曲のためか、同系統の楽曲である「世界は君のもの」が定番曲になっていることもあってか、ロックやブルースを強調する彼らにとって、頻繁に演奏されるナンバーではなかったはずなのですが、そのわかりやすさ、ノリやすさも手伝って、不思議な一体感が生まれていました。

「泥水のメロディー」からの流れは神懸かっていたと個人的には。
「Buffalo Dance」、「シーガル」、「プシケ」と、当時の流れを汲みつつ、一気に終盤に向けて会場全体を巻き込むヒートアップを促すセットリスト。
モッシュピットの範囲が、この日で一番拡大していたため、ステージ上はあまり見えなかったのですが、佐々木さんがテンション振り切れんばかりに興奮しているのが伝わる一方、HISAYOさんも曽根さんも、淡々と演奏を進めるプレイスタイルなので、コントラストが面白かった。
もっとも、この2人が屋台骨になっているので、ハイテンションの楽曲でも、安定感がもたらされているわけですが。

「プシケ」が終わると、佐々木さんがマイクを通さずにMCをはじめて、そのとき使っていたギターとの思い出話を。
20歳の頃に、質屋で8,000円で買ったものなのだとか。
「大事に使っていたから、この景色をこいつに見せることができた。」と言って、そのギターで初めて作った楽曲という「308」に。
マイクレスで喋ったのは、記録に残さず、その場にいた人たちだけと共有したい意図があったのかな。
だとすると、こうして書いてしまうのは無粋なのかもしれません。

「世界は君のもの」、「象のブルース」と流れて締めるのも、このセットリストでは妥当だろう。
「象のブルース」、初めて聴いたわけではなかったのだけれど、こんなにライブ映えする楽曲だったっけか。
メンバーが成長したのか、この流れによって楽曲のポテンシャルが発揮されたというのか。
佐々木さんと曽根さんのギターユニゾンなど、見せ場もありつつ、オーディエンスとの掛け合いもあり、大いに盛り上がって本編を終えました。

この時点で21時を回っていたため、アンコールは早めに登場。
"古い曲だけを聴きに来た人もいるのだろうけれど、それだけだと悔しいから、反則技を使います。"と言ってスタートしたのは、最新曲である「GO」。
通常のライブでも、まだあまり披露されておらず、ノリは定まってはいませんでしたが、タイアップもついて、演奏回数が増えてくれば、代表曲になりそうな予感はするな。
ラストの「ノック」では、前半部分を、ギター一本と、マイクレスの生声で歌い上げた。
「シーガル」の前で、"よくJ-POPの一説で、「声が枯れるまで歌うよ」とあるけど、それの本物を見せてやる"と言い切った佐々木さんですが、決してブラフではなかったのだな。

メンバーが異なることもあり、当時の再現とはなり得ないものの、だからこそ、新しい発見もあるわけで。
古い楽曲だからといって、埋もれさせる理由にはならないのだと、はっきり示したライブでした。
お蔵入りさせるにはもったいない楽曲が多すぎる。
ここから、通常のライブでもセットリストに復活する楽曲が出てくると良いですな。


セットリスト

1.ブラックバード
2.ガラパゴス
3.Thunderbolt
4.エレクトリック ストーン
5.Red Dirt Boogie
6.夜はけむり
7.SWIMMING SONG
8.陽はまた昇る それを知りながらまた朝を願う
9.ラバーソウル
10. 僕を問う
11.春の嵐
12.ビスケット
13.泥水のメロディー
14.Buffalo Dance
15.シーガル
16.プシケ
17.308
18.世界は君のもの
19. 象のブルース

en1.GO
en2.ロシナンテ
en3.ノック