ЯOCK★STAR / ALiBi | 安眠妨害水族館

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ROCK★STAR/ALiBi
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5.チャオ★
6.CHANGE
7.ロマンス
8.Peace
9.アリ★バイ ロック
10.Dearest
11.START
12.Promise~約束の地~

"アリバイバイ!"という、アリバイ語でも知られるALiBi。
ユナイトのVo.結さんが、カイ名義で在籍していたバンドです。

ある意味、革命的なバンドではあった。
アイドルチックな衣装、ポップで可愛い楽曲タイトル、笑顔で勝負するキャラクター・・・
2008年に登場した彼らでしたが、2000年代初頭から始まったお洒落系バンドの系譜も、遂にここまで振り切れたバンドが出てきたかと、良くも悪くも、名前は売れていましたな。

不健康さが美徳でもあったヴィジュアル系シーンにおいて、強く拒絶を示すファンが多かったのも事実ですが、音楽的には、なかなか侮れなかったと思っています。
本作は、2009年にリリースされた1stアルバム。
5年前の作品ではあるのですが、サウンドが、現代の流行そのものなのですよ。

デジタルなキラキラ打ち込みを多用し、ソフビテイストのあるキャッチーなメロディを押し出す。
ところどころ、ダークさだったり、ハードさだったりと、アクセントを入れつつ、サビでは疾走メロディアスになるというお約束を徹底。
カイさんの歌唱力も、そんな作風に、しっかりとついてこれています。
活動当時は、お洒落系として括られていた彼らですが、今、改めてカテゴライズするとしたら、イチゼロ世代の王道とも言える、"キラキラ系"以外にないのだよな。

もちろん、旧時代からのお洒落系的アプローチもないわけではない。
おちゃらけた台詞が曲中に挿入されていたり、甘すぎるくらいのポップな歌詞があるなど、ある程度、その路線からの踏襲は見られる。

しかしながら、本作の楽曲たちには、お洒落系文化特有の、フリのため、ノリのための楽曲構成である煽りパートがないのがポイント。
数年後のシーンでは、ロックとしての正当性に回帰していくことを、あらかじめ察していたのでは、というスタイルなのです。
現代のキラキラ系に比べてポップ要素は強めだけれど、お洒落系から、キラキラ系への岐路に立ち会ったバンドとは言えるのかも。

インパクトは強かったのですが、それが良い方向に転ばなかったのは不運。
確実に流行を先取りしていたのに、キャラクターや売り出し方で損をしていた部分はありました。
少し寂しい気もしますが、ユナイト加入時に名前を変えて、ALiBiでのイメージを切り離したのは英断だったなぁ。

今、改めて聴いてみれば、ユナイトの結さんが在籍していたバンドとして、なるほどな!と納得できるわけで。
もしかしたら、そのうち再評価の声が高まるかもしれない一枚です。