激情抄録 / ドレミ團 | 安眠妨害水族館

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激情抄録/ドレミ團
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1.激情ノ赫イ絲
2.ハーメルン
3.太陽と黒い雨
4.トワイライトミックスジュースブギ
5.無限の羽を
6.自意識過剰、甘い罠
7.嘘付小夜曲
8.街角メモリー830
9.時の旅人
10.雨音伝送路

メンバーチェンジを経てリリースされたドレミ團の1stフルアルバム。
ジャケットは、Vo.マコトさんの希望により、猟奇漫画家・大越孝太郎さんの書き下ろし。
限定10,000枚を完売させており、2005年当時の勢いを感じます。

物語的な世界観と、昭和レトロと異国情緒が織り込まれたサウンド。
初期の彼ららしさを凝縮したと言ってもいい本作は、インストナンバーである「激情ノ赫イ絲」からスタート。
どこか押し込められたような音質なのは、蓄音機から音楽が流れてきているような演出なのかな。

歌モノとしてはトップバッターとなる「ハーメルン」は、タイトルはヨーロッパの地名ではあるものの、個人的には、アラビアンというイメージ。
忙しいリズムとレトロなメロディに、軽快なギターが絶妙に絡みます。
全体的にエフェクトがかかっているせいで、音圧的には物足りなさがあるのですが、導入としての役割はしっかりと果たしているな。
「太陽と黒い雨」も、その方向性を維持しつつ、音質は、だいぶクリアに。
レトロ・メルヘンなイントロから、世界観が作り込まれているのがわかる。
途中で語りが入ったり、3拍子になったり、ドラマティックに見えるよう工夫された展開も面白いですね。

序盤で、やりたい音楽を明確にすると、その後は、それに沿ってストーリーを進めていく。
マニアックでアングラな雰囲気こそ薄れましたが、きちんとコンセプトを定めたことで、アルバム全体の流れは、非常にスムーズになっているのではないかと。
「自意識過剰、甘い罠」での、懐メロ歌謡のようなメロディ運びや、「街角メモリー830」で見せるジャジーなアプローチは、メンバーチェンジ前のファンにも安心感を与える音楽性で、個人的には嬉しかったところ。

スローテンポに、じとっと進行される「時の旅人」をアクセントにすることで、ラストに配置したアッパーチューン、「雨音伝送路」の高揚感を強めているのも良し。
クライマックス感が高まります。
演奏については、ベースが歌っている楽曲が多いのが、聴いていて楽しめるポイントかな。

気になったのは、バラエティ性に物足りなさがあるという点か。
どの曲も、どこか捻くれていて、世界観が統一されている分、似ている曲が多いような印象を受けてしまう。
1曲くらいストレートすぎるくらいの曲があってもいいと思いましたし、ボイスエフェクトが過多というか、声を加工することによって、表現力が丸め込まれてしまったところはあるかも。
こだわりがあるバンドであるのは十分読み取れる。
曲の完成度は非常に高いと思いので、もっとマコトさんの表現力を信頼するアレンジでも良かったのではないでしょうかねぇ。

<過去のドレミ團に関するレビュー>
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