このジャリバンがすごい! | 安眠妨害水族館

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オバンギャと初心者に優しいヴィジュアル系雑食レビューブログ

ヴィジュアル系の病気にかかって、もう十数年経つのだけれど、こじらせると大変なことになる。
改めて、そう感じる出来事があったので、予定を変更してこんな企画を。

ジャリバン。
スキル的にも、センス的にも、ダイヤモンドの原石ではなく、路上の砂利。
垢抜けないマイナーバンドたちの総称です。

やや、見下した言い方に聞こえてしまうかもしれませんが、そんなことはない。
こじらせたV系ファンにもなってくると、小奇麗でまとまっていて、自然とシーンを駆け上がっていくようなバンドでは物足りない。
まだまだ頼りないけれど、その頼りなさに母性本能がくすぐられる。
まだまだ誰も知らないけれど、それを応援するからこそ使命感を覚える。
いつしか、そんな境地にまで達してしまうのです。

そのため、これだけテクノロジーが発達した現代においては絶滅危惧種とすら思えるジャリバンを、今もこよなく愛する層がいるというのも事実。
そして、ひととおり、レベルの高いバンドを見てきたはずのベテラン層に、ジャリバン好きの傾向が見られるというのも、興味深い。

今日は、表舞台ではあまり目にすることはないが、しっかりと根付いているジャリバンたちの息吹を感じてもらいたい。
彼らのひたむきな活動を知ってもらいたい。
もっとも、その結果、めまいや吐き気をもよおす可能性がありますけれど、その辺は、当館では責任を負いかねますので、自己責任で先にお進みくださいませ。


vie ~命~ / SOLEIL

 

ヴィジュアルは、そこそこイマドキなSOLEIL。
90年代後半のコテコテシーンを引っ張った某レーベルと名前が被っていますが、知らない世代なのか、リスペクトか。

このバンドの何に驚かされたかって、オフィシャルページのDiscography。
普通、これって、今まで出したCDが一覧になって見れるところですよね。

CD \500
チェキ \300
アー写セット \1000
ステッカー \200

・・・

物販のラインナップです。

youtubeにもデモ音源が数曲アップされているだけに、どんなCDがあるのか知りたいのに、CDがあることと、それが500円ってことしかわからないよ。
まぁ、こういう手作り感こそ、マイナーバンドって感じで良いですよね!

音楽性としては、デモ音源を聴いてのとおり。
耽美なコテコテ系。
歌唱力のスリリングさと、バンド編成とは思えない演奏陣の打ち込み具合が、デモテープが普通に売られていた時代のバンドっぽさ全開です。



俺舞会~ENBUKAI~/Der Himmel

新潟バンド、Der Himmel。
音源が頻繁に出せないから、ということで、youtubeにライブ映像がいくつかアップされています。
この曲、「おれぶかい」だと思ってたよ。

それにしても、このテイク以外に、アップできる動画はなかったのか。
ドラムが頻繁にもたついてるのはご愛嬌として、ギターソロ終わりのグダグダ感がすごい。
Bメロの入りで、何故か素っ頓狂な裏声を使うのは、音源でもライブでも一緒です。
これ、声がきちんと出なくて裏返ってしまったとかじゃないんだよなぁ。
新感覚すぎる。

まぁ、さらっと聴く分には、荒削りなマイナーバンドなのだけれど、気になるのは歌詞。
http://47.xmbs.jp/derhimmel-17049-n2.php?guid=on&no=153443&view=1&page=2

"おっとそういえば もう1つ大事なこと忘れていたぜ
今の俺にとって 最優先にやっておかないと ストレスになってしまう"


"ここから先は18禁 かなりの刺激が待っている
俺は止められそうもない てめぇらついてこい!!!"


"まだまだ終わるつもりはねえぞ なにそこでくつろいでんだ
この最高の瞬間を騒いでいこうぜ!!!"


「!」は、3つがデフォ。
いつの時代のヤンクロックですか?と聞きたくなる中学生が書いたような歌詞が、まったく曲とマッチしておらず、ある意味でとても個性的に聞こえる。

ちなみに、オフィシャルには、スペシャルピクチャー&ムービーが見ることができるコーナーがあるのだけれど、メルマガ会員限定とのこと。
しかも、更新の度にパスワードが変わるというセキュリティの硬さ。
バンドを安売りしないあたり、硬派ですね!



RE : START / Vollstrecker

 

Twitterやmixiページに、紹介してみたところ、思わぬ反響の大きさにびっくり。
ライブが見たいどころか、対バンに呼びたいというバンドマンまで表れる始末。
そりゃそうだ、インパクトが群を抜いている。

上記2バンドが、普遍的なバンドを狙おうとしているものの、荒削りがゆえにジャリバンになってしまっているのに対し、このバンドは、オリジナリティがハンパない。
とにかく、ギターフレーズが、ダイナミックすぎる。
きちんと練られたフレーズを弾いているはずなのに、何度聴いてもメインのコードから外れている。外れていく。
狂っているのは、俺か?
それとも、世界か?
いやいや、チューニングです。
ボーカルのスキルが低くて、グダグダになるバンドは数多くあれ、ギターが音痴というバンドは、他に見たことがありません。

ボーカルも、確かにスキル不足。
特に、サビで入るコーラスがぶっ飛んでいて、一週回って面白いくらいなのですが、この難解なアレンジで、どこが正しいメロディラインかを探すのは困難。
少しかわいそうかな、とも思います。

しかし、そこは、上を目指すバンドということで、ギターの方から、ブログ内で、もっとスキルを上げないと・・・と指摘されているようですね。
もはや、ギターの突っ込み待ちにしか見えないのですが、シビアな環境の中で、ぜひとも本物のスキルを磨いて欲しいものです。

このバンド、実はまだ始動前。
6月16日に、満を持して初ライブを行うとのこと。
伝説を目撃するチャンス!
気になった人は、ぜひともライブハウスへ!


そんなわけで、紹介してきた現代のジャリバンたち。
大多数の方は、今自分の好きなバンドは、本当に格好良いバンドなんだな、というのが、再認識できたのではないでしょうか。
そして、ごく少数の方にとっては、ジャリバン探索への新たな一歩を踏み出すきっかけになってしまったのかもしれません。
それは謝ります。本当にごめんなさい。

この中から、ひとつでも多くのバンドが、メジャーシーンへ羽ばたくことを祈って。
記事を書きながら何度もCD聴いてたからか、リアルにお腹痛くなってきた。