Disc of frisbee / V.A. | 安眠妨害水族館

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Mafina PRESENTS Tour "ハ・ラ・ワ・レ・タ・ト・キ" style 2012 Disc of frisbee/V.A.
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※エイプリルフール用のネタでしたが、せっかくなので残しておきます。

本州縦断ツアーにて配布された、Mafinaレーベルのコンピレーションアルバム。
名前のとおり、CDとして利用するよりも、フリスビーとして遊んだほうが良いのだろうと思わせるバンドたちを集めた企画モノ。
時代や地域、レーベルを越えて、これだけのものを現代に産み落としてしまうとは、レーベルの主催者であるGravelの、ジャリバンドに対する熱い想いを感じずにはいられません。


1. 血賛歌 / QROSS

これ、酷い。
SEチックなサウンドに、呂律が回っていない語り。
そろそろ歌が入るのかな、と思わせるポイントを、3回くらいスルーして、語りが終わらぬままフェードアウトしていく。
ex-RuelliaのAZUMIさんのバンドだったはずなのだけれど、これは酷い(本日二度目)


2. ネクロフィリア / 憬架-keika-

またまた語りでスタート。
1曲目が凄かったので、なんだか不安な気持ちにさせられるも、まだ楽曲としての体裁を保っているでしょうか。
語り+シャウト+サビでちょっと歌う(当然、下手)という全部盛りの構成。
間奏では、発狂系らしい笑い声まで挿入されており、お腹いっぱいになります。
ある意味、ジャリバンの教科書どおり。


3. unrequited Love / ewig≒zait

正当派のダーク系メロディアスバンド。
だからこそ、ほころびがボロボロと表に出やすいのがかわいそうっちゃ、かわいそう。
90年代後半に発狂系が流行ったのは、こういう粗を隠すため、ってことはありそうです。
演奏もペラペラで、ボーカルのピッチがやばい。
声質や、音楽性なんかは、vice†riscみたいな系統なんだけれど、それより遥かに劣化させた感じ。


4. 毒の花 / Luna de miel

この曲の発表時には加入前ではあるけれど、BugLugのメンバーが在籍していたバンドなんだぜ・・・
音質は非常に悪い。
だが、序盤のスタートダッシュが、間違った意味で素晴らしかったので、なんだか普通に聴けてしまう。
ベタな構成のコテコテダークです。
ギターソロにしても、キメが多いところや、メロディ運びにしても、王道感はありますな。
コンピのコンセプトには違わないはずなのですが、もっとインパクトが欲しかった。


5. 精神病棟二○一号室の患者は、精神病棟二○一号室の患者で、精神病棟二○一号室の患者の、精神病棟二○一号室の患者が、精神病棟二○一号室の患者と、精神病棟二○一号室の患者に、精神病棟二○一号室の患者を、精神病棟二○一号室の患者も、精神病棟二○一号室の患者な、精神病棟二○一号室の患者へ、精神病棟二○一号室の患者や、精神病棟二○一号室の患者?精神病棟二○一号室の患者。 / 御伽

タイトルの長さで有名な御伽のデモテープからの楽曲。
DEATHGAZEの藍さんがベースで在籍しているのですが、今の硬派さからは考えられないジャリバンドです。
エフェクトボイスに、ツタツタドラム。
シャウトは、当然ながらに発狂系。
典型的な煽り曲なので、この激しさは、昔を知っている人には、聞いたことがなくても懐かしさを感じられるのでは。


6. Virus / Vierge

ex-Madeth gray'llの翡翠さんが在籍していたVierge。
とはいえ、ボーカリストではなく、ギタリストとしての参加なので、あの耽美と猟奇の狭間みたいな世界観は堪能できません。
方向性としては、多分大きく外れていないはずなのだけれど、ひとつひとつをスケールダウンした感じで、どうも微妙なんだよな。
いや、このCDで微妙じゃない楽曲があるのかと言ったら、ノーコメントなんですけれど。


7. Eyes for me... / Ma'feiL

カレンの前身バンド。
あのカレンですら、大分成長したのだねぇ・・・と思わせるくらいの破壊力。
ボーカルラインが、完全に迷子。
Aメロで既に怪しく、Bメロまで行くと、全体的に外れている。
サビに到達する頃には、本当の音程がもはやわからない。
無駄に構成が凝っているのだけれど、その前に、こだわるべきところがあるだろうよ。


8. Temptation / Loon Eye's Millyie

本作に収録された中では、相応に知名度があったバンドのひとつ。
00年代のバンドということで、音質面においても、楽曲構成においても、洗練されている印象です。
ジャジーなリズムに、サビでは歌謡曲的なメロディアスさも混ぜて。
必要ないところでシャウトが入ってくる辺りとか、コテオサというジャンルが出来上がりかけている時期なのだなぁ、と。
所謂、ジャリバンドのテンプレートとは、多少趣が異なる気はしますが、これはこれでベタですよね。


9. 自殺志願者へ… / ギロチン

デモテープ音源とはいえ、ザラザラした音質が、酷さを煽る。
コテコテの要素がたっぷりで、激しさもあるのだけれど、メジャーコードでポップな部分が用意されていたり、80年代後半のパンクバンド的な雰囲気がほんのりと残っているのが面白いかも。
声質も、心なしか甘めです。
曲調と、タイトルや歌詞が、どうもマッチしていない気はしますけどね。


10. 生命の残骸… / MISERY

ギロチンに引き続き、音質が劣悪。
下手にドラムが激しいだけに、バコバコと悪目立ちしています。
なんていうか、パンを左右に振り分けて、ボーカルと語りに立体感を与えようとしているのだけれど、勢いでやってしまっているところがあって、盛大に空回っている。
聴きにくいだけで、立体感も、世界観もあったものじゃない。


11. Sabbato / Sito Magus

00年代中盤~後半のバンドということで、前の曲の音質との違いで得をしています。
この並びだと、凄く上手いバンドに聴こえてしまうので、危うく騙されてしまいそうになる。
マリスのフォロワー的な、ゴシック耽美な音楽性。
荘厳な世界観と、淡々としたメロディには、こだわりが見えるのだけれど、いかんせん、曲がつまらなすぎるのがなぁ。


12. 終末の序曲 / Eye for you

再び、ザラザラな音質に。
輪をかけたように、ボーカルのピッチの甘さや歌い癖が、気持ち悪さを高めています。
兎にも角にも、ミックスバランスがおかしい。
さらっと聴いていると、後ろでガチャガチャなっているギターと、ごわごわしたボーカルしか聴こえません。
上手けりゃいいけど、このレベルで、この主張の仕方は厳しい。


13. マ・ネ・キ・ン / au†ism

Aliene Ma’riageの前身バンド。
アリエネであのレベルなのだから、その前身の音源なんて、どんな出来かは火を見るよりも明らか。
後半、明らかにドラムと他の演奏が合っていなくて、カラオケで演奏が聞こえなくて、歌だけ前のめりになってしまっている人状態。
タンバリンを打とうにも、どうリズムをとればいいのかわかりません。
これ、OK出したの誰だよ。


14. 蒼月華 / Eve'Zera

MIDIで作ったようなSEに合わせて、棒読みの語りが続く、かったるい導入。
バンド演奏が始まると、ダークなコテコテ系になるのですが、こういうの、トラック分けて欲しいです。
SEは白系で幻想的に行いそうな感じ。
あぁ、こういう系統かと思いきや、ミディアムテンポのドロドロダークなイントロが入ってきてでびっくり。
ボーカルが入ると、急にツタツタメロディアスに変貌するから、またびっくり。
サビで、白系に帰ってきますが、とにかく、やりたいことを全部詰め込んだ楽曲なんでしょうな。
心意気だけは買う。
でも、全部聴くのがだるい。


15. タナトスの華 / Zeele

ミディアム・メロディアスの王道。
声は細いも、この中では聴けるレベルでしょうか。
"この中では"と言っているけれど、ここまで来ると、耳が麻痺して、もう何がなんだかわかりませんが。
高音が苦しそうではある。
この作品においては、アクセントにはなっているのではないかと。
ただし、サビの繰り返しがしつこく、もっとシンプルにはできた気はします。


16. 腐食ノススメ / 螺旋

早口でまくしたてる、ハードな逆ダイ曲。
歌うというより、吐き捨てるタイプのボーカルで、語りも、すんなり曲の中に織り交ぜています。
ツタツタ曲が多い本作においても、比較的、ソフトタッチな聴きやすさがある激しさ。
シャウトに迫力が無いのが残念。
ここでメリハリをつけることができていれば。


17. Secret Love / Platina

本編のラストは、意外性のあるトランス風のダンスロック。
ボーカルの声質的も、音楽性的にも、D'AIRの前身バンドなのかと思ったくらい。
デジデジしたサウンドに、ほんのり切ないシンセが入ってきて、結構好みかも。
途中で歌謡曲路線になり、意図は不明であるも、これはこれでD'AIRっぽい。
まぁ、D'AIRがマイナーバンドだったから、それと比較されてもって話なのだけれど、何気に最後の最後でツボってしまった。


18. 神従 -old style- / Gravel

レーベルの主催者である、Gravelの音源がボーナストラック的な位置づけとして。
ベスト盤に収録されているバージョンとはアレンジが異なっているようです。
これだけカオスな楽曲の中に入ってくると、いかに、ベタの中でも、光るフレーズだけを抽出できているかがわかる。
ある意味、なんでこういうことしたの?っていうジャリバン特有のヘンテコな部分がなく、あざとさが見える面では、面白みに欠けてしまうとも言えるのだけれど、そもそも、V系バンドにネタ的な笑いを求めるのはおかしいので、今の発言は撤回させていただきます。


なんていうか、凄いな。
最後まで通して聴くだけで、体力がガリガリ削られる。
この内容で、18曲というボリュームは、拷問に近いですね。
素直にフリスビーにしていたほうが、体力を温存できたのではと思えるほど。

前半、とにかく笑った。なんだこれ。
中盤、少し懐かしくなって、これはこれで、良い作品なのではないかと錯覚をするのだけれど、ギロチンあたりから、また笑えてくる。
終盤は、もう完全に麻痺していて、何が格好良いのかわからなくなっていた。
そして、最終的には、すべてがどうでもよくなりました。
色々な人に聴いてもらいたい気はするけれど、お金を出して買う内容ではありませんので、配布でよかったと心底思います。