あいたい時に会えなくて / R*A*P | 安眠妨害水族館

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あいたい時に会えなくて/R・A・P
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1. 天使と戦士
2. あいたい時に会えなくて
3. 風まかせ
4. ウハウハ
5. アイツの唄
6. 光

ex-DASEINのRickyさんを中心に結成された、R*A*P。
本作は、2004年にリリースされた1stミニアルバムです。
ちなみに、R*A*Pというバンド名、Rickyさんの正式なステージ名として紹介されている"Ricky Astrovich Primakov"の頭文字をとってのネーミングなのだそう。

メンバーは、Vo.Ricky、Gt.Tyler、Ba&Key.Jetの3人編成。
Rickyさんは、ex-FANATIC◇CRISISのkazuyaさん、SHUN.さん、ex-D'espairsRayのZEROさん、TSUKASAさんとともに、THE MICRO HEAD 4N'Sを結成。
Jetさんも、【MU:】にてバンド活動を継続しています。

このR*A*P、"宇宙人バンド"というのが、テーマだったようで。
衣装も、音楽性も、サイバーな雰囲気。
V系バンドとしては珍しく、重低音の響きを重視せず、上モノを多用したハイブリッドさを主張していきます。

太く重いベース&ドラムが下支えする現代ロックの音圧を求めてしまうと、この手の薄い音は物足りなく感じてしまうのでしょうが、ユーロビートを彷彿とさせるダンサブルなリズムは、個性となっているのも確か。
宇宙の無重力を表現するために、あえて、地を這いずるようなアレンジは避けて、軽快さを出したという可能性もありますよね。

そして、もうひとつの魅力は、そこに重なるRickyさんの伸びやかな声。
この前提が存在しているからこそ、アレンジに邪道さを加えたとしても、しっかりと透明感が維持できている。
高音も安定していて、歌モノを歌わせたら、なかなかレベルが高いです。
表題曲の「あいたい時に会えなくて」は、この声で再生されることで、より切なさが増しますなぁ。

この時期の作品は、"cute&sweet"な音楽がモットーだったとのこと。
切なくメロディアスなナンバーと、ネタ曲として振り切ったような楽曲を、バランスよく配分するようなイメージです。
全体的にはポップさが強く押し出されているものの、アルバムとしてのまとまりも、相応に良い。

おふざけ系の曲に、少し強引さがあるのがネックかな。
キャラの強さの割には、インパクトが薄くて、案外、さらっとしているというか。
この辺は好みでしょうけど、キャラ以上の衝撃をサウンド面でも与えることができていたら、もっとコアな層にアピールできていたのかも。

見た目で想像したほど、近未来的な印象は受けませんでしたね。
むしろ、アクを抑えて、聴きやすさを意識した仕上がり。
J-POPライクの音楽が聴けるよという人は、良くも悪くも目だってしまうコンセプトへの先入観を持たず、素直なダンスポップとして聴いてみるのはいかがでしょう。