DEVILOCK NIGHT THE FINAL@幕張メッセ(2012.2.25) | 安眠妨害水族館

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オバンギャと初心者に優しいヴィジュアル系雑食レビューブログ

ファッションブランド、DEVILOCKが主催するフェスの初日に行ってきました。

と言っても、このブランドそのものが、2011年に終了してしまっているため、今回のイベントがファイナル。

史上最大の閉店セールとして、規模を広げての開催となったものです。


しかし、いくらなんでも、運営が酷かった。

急に規模を広げて、ノウハウが追い付かなかった部分はあったのでしょうが、正直、杜撰としか言いようがなかったです。

リストバンドの引き換えの手際が悪すぎて、駅まで続く渋滞。

途中、手順を簡略化したのは良いとして、チケットは半券を含めて全部回収、迂回ルートを作って並ばせていた客を無視しての近道ルートの解放等、ピクチャーチケットを購入した人や、きちんと並んでいた人が相対的に損をしたと感じさせる不信感の残る対応。

同様の不手際は、クロークや物販でもあったようで、ほとんどの人が、トップバッターに間に合わなかったのではないでしょうかね。


会場に入っても、タイムテーブルは配布されない、会場内の掲示も不十分、どのステージがどこにあるのかも表示されていない。

誘導スタッフも、どこにいるのかがわからないほど少ないし、スタッフすら理解していない始末。

挙句の果てには、オフィシャルサイトがサーバー落ちで、多くの人が路頭に迷っていました。

出演アーティストにばかりお金を使って、スタッフやオーディエンスを軽視した、自己満足イベント以外の何物でもなかったです。



まぁ、アーティスト陣が豪華だったのは確か。

客寄せパンダだろうな、という浮ついた人選もなく、筋の通ったラインナップにはなっていたのではないでしょうか。

フェスということで、途中まで見たとか、途中から見たとか、音だけ聴いていたとかのアーティストもあるのですが、きちんと最初から最後まで見たバンドに限って、感想は書いていきたいと思います。



THE BACK HORN



1.世界樹の下で

2.サニー

3.罠

4.シリウス

5.コバルトブルー

6.戦うよ君よ

7.世界中に花束を


彼らにしては、冒険のないセットリストでしたね。

「世界樹の下で」の前に、セッションのように音を重ねていく演出あり。

さすが、広い会場にも場馴れしてきた感があり、マイペースにアクトが出来ていたように思います。

栄純さん、光舟さんの弦楽器隊の動きこそ、控えめだった気はしますが、山田さんのパッション溢れるボーカルが、しっかりとTHE BACK HORNの音楽を主張する。


「戦う君よ」での、客席にマイクを向けるパフォーマンスは、珍しいなと感じましたが、あれは、余所行きモードだったからでしょうか。

「コバルトブルー」からの流れで、疾走メロディアス路線の曲が続いたのは、単純に気持ちが良かった。

震災以降、「世界中に花束を」で締めることがお約束になっているのだけれど、バラードはじまりだったこともあり、フェスの場では、最後までアップテンポのナンバーで攻め続けてもよかったかもしれません。



ムック



1.フォーリングダウン

2.咆哮

3.アゲハ

4.オズ

5.メディアの銃声

6.ニルヴァーナ

7.謡声(ウタゴエ)

8.蘭鋳

9.リブラ


まさかのメインステージに抜擢のムック。

集客は、最初は微妙でしたが、次のホルモン待ちのオーディエンスが徐々に増え始め、最終的には埋まっていたかな。


アウェイであることをわかっていて、メイクバリバリで登場する逹瑯さん。

初見と思われるオーディエンスからは失笑を買うのだけれど、演奏を続けていくうちに、きちんと魅了していったあたりは、チャンスをしっかりモノにしていたのではないでしょうかね。

「お客さん」だったホルモンTシャツの人たちが、曲数を重ねるにつれ、拳を上げていく様が、老婆心的に見ていて微笑ましかったです。

特に、「蘭鋳」のしゃがんでからジャンプのフリによって、ホーム・アウェイの垣根を怖し、一体感が生まれたときには、鳥肌が立ったくらい盛り上がっていました。


歌謡曲路線の「メディアの銃声」が聴けたのは嬉しかったし、新曲の「ニルヴァーナ」は、ダンスロックに触れたナンバーで、これはこれで好きだった。

ヴィジュアル系代表として、他ジャンルのフェスに出演する機会も増えて、また新たな扉を開いてくれそう。



マキシマム ザ ホルモン



1.シミ

2.maximum the hormone

3.ロック番狂わせ

4.ミノレバ☆ロック

5.生理痛は神無月を凍らす気温。

6.アバラ・ボブ

7.チューチュー ラブリー ムニムニ ムラムラ プリンプリン ボロン ヌルル レロレロ

8.ぶっ生き返す!!

9.絶望ビリー

10.包丁・ハサミ・カッター・ナイフ・ドス・キリ

11.ジョニー陰部LIFE

12.恋のメガラバ


入場規制がかかったようですね。

ブロック全体がモッシュゾーンになったほどの盛り上がり。

人気があるとはいえ、ここまで爆発力があるとは思っていなかったです。


激しく暴れられる曲ばかりを畳み込んでくるので、とにかく体力を使う。

演奏も、パフォーマンスもとにかくパワフルで、ドラマーが女性とは思えないほど。

ぐちゃぐちゃに暴れているように見えて、ベースがとんでもないフレーズを平然と弾いているところも、ロックファンを唸らせるだけの説得力がある。


折り畳みのタイミングが、ヴィジュアル系の文化とは違っていたのに戸惑いました(笑)

ヴィジュアル系だったら、1回の折り畳みをするタイミングで、2回やってしまう高速っぷり。

おそらく、ラウドミクスチャー系のバンドに大きな影響を与えているだろうバンドだけに、面白いけど格好良い、カリスマ性の高さを再認識しました。



ONE OK ROCK



1.Coda

2.LOST AND FOUND

3.未完成交響曲

4.じぶんROCK

5.Re:make

6.アンサイズニア

7.C.h.a.o.s.m.y.t.h.

8.NO SCARED

9.Rock,Scissors,Paper

10.完全感覚Dreamer


さすが元J事務所というべきか、大きい会場での動じなさは武器ですね。

相変わらず、Vo.TAKAさんの歌唱力は安定している。

パフォーマンスはダイナミックだし、ホルモンのMCを受けての小ネタも挟みつつ、緩急のついたバランスの良さがありました。


まぁ、テクニックのあるバンドが2つ続いたうえでの登場だったので、アレンジ力に物足りなさを感じてしまったところは否めず。

ベース、ギターのフレーズがシンプルなうえ、ステージングも大人しいので、どうしてもTAKAさんのワンマン感が出てしまっていましたかね。

その辺で成長が見えてくれば、ポテンシャルは高いバンドであることは間違いない。


夏に別のフェスで見ていたとはいえ、その間、アルバムのリリースもあって、セットリストはだいぶ入れ替わっていましたね。

「アンサイズニア」が、新たなキラーチューンとなってパワーを見せ付けつつ、定番の「完全感覚Dreamer」で締める流れ。

盛り上げどころがはっきりしていて、気持ちの良い構成でした。



BRAHMAN

1.PLACEBO

2.The only way

3.賽の河原

4.BASIS

5.THE VOID

6.BEYOND THE MOUNTAIN

7.DEEP

8.SPECULATION

9.逆光

10.THAT’S ALL

11.THERE’S NO SHORTER WAY IN THIS LIFE

12.CHERRIES WERE MADE FOR EATING

13.SEE OFF

14.ANSWER FOR…

15.霹靂


1曲が短いので、あまり意識してませんでしたが、15曲もやっていたのですね。

とにかく、ダイバーの数が多く、カリスマ性を強く感じたブラフマン。


出だしから、ステージにいないVo.TOSHI-LOWさん。

探していると、モッシュゾーンに浮かび上がっているではないですか。

特設ステージでも作ったのか? 答えは、No。

なんと、オーディエンスの手の上に立って歌っている。

ダイブをするアーティストは多くあれ、足を伸ばせば、そこにオーディエンスが自らの腕で道を作っていく、そんなアーティストは見たことがない。

もはや、カリスマじゃない。ブラフマンという宗教だ。


取り立てて、派手なパフォーマンスをするわけでもないのに、オーラが全然違いましたね。

個人的にも、思い出とリンクするバンドでもあり、色々と考えてしまった。

刹那的で、衝動的で、それでいて硬派。ただ激しいだけでなく、深みがある。

あまりMCをするイメージではなかったのだけれど、なかなかユーモアセンスもあるようで、総じて満足のステージでした。



冒頭に書いたとおり、序盤は集中して楽しめなかったところはあるのだけれど、アクトのレベルが高かったのは救い。

TOSHI-LOWさんのMCで、運営への不満でtwitterが荒れていることに触れていたのですが、「そんな会社だから閉店するんだよ」と、アーティスト側から言い放ってくれたときは、スカっとしましたね。

もっとも、彼が主催者と仲が良いからこそ言える内容ではあったのですが、なんだか、腑に落ちたというか。


ここで何を書こうと、次があるイベントではないのですが、このメンツ、この規模で、今回の経験を踏まえた運営が実現できれば、すごいものが出来上がる気はしました。

2日目は行きませんが、せめて、一部でも改善されていると良いなぁ。