BUTTERFLY / L’Arc~en~Ciel | 安眠妨害水族館

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BUTTERFLY(完全生産限定盤)(DVD付)/L’Arc~en~Ciel
¥4,980
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1. CHASE

2. X X X

3. Bye Bye

4. GOOD LUCK MY WAY -BUTTERFLY Ver.-

5. BLESS

6. shade of season

7. DRINK IT DOWN

8. wild flower

9. SHINE

10. NEXUS 4

11. 未来世界


実に4年3ヶ月ぶりのオリジナルアルバム。

限定盤には、DVDに加え、過去にシングルのカップリングとして収録されていたP’UNK~EN~CIELの音源をまとめたCDが付属されています。

(P’UNK~EN~CIELのレビューについては、こちら から)


全11曲中、シングル曲が7曲と、ベストアルバムに近い側面を持ちつつ、1枚のアルバムとしての完成度にもこだわりが見える作品。

シングルが多いと、どうしても主張が強すぎて、ごちゃごちゃになってしまうケースが多いのですが、本作は、まったくそんなことがありません。


そもそも、シングル曲の方向性が上手い具合にバラけていて、だけど、どれをとってもL'Arc~en~Ciel。

アッパーなナンバーから、バラードまで。徹底されたダークネスから、極上ポップまで。

これだけ幅広い音楽性を展開しながら、「らしさ」を感じさせるのは、試行錯誤しながらも、20年間積み重ねた歴史のたまもの。

シングルのリリース時期が、どこかのタイミングに固まっていないことも、一時のバンド内ブームに流されず、バランス良い作品を作るための客観性をもたらしたと言えるでしょう。

まさに現在のラルクの集大成。


その中で、アルバム曲として用意された4曲が、与えられた役割をきちんとこなしていることもポイント。

3曲以上、シングル曲が続くことを避ける構成になっており、その場面で足りないスパイスを、ピンポイントで新曲が埋めている印象です。


洋楽ライクで、hydeさんの妖艶さを際立たせた「CHASE」、「X X X」に続くのは、活動休止前から演奏されていて、待望の音源化となる「Bye Bye」。

これは、王道のポップチューンで、序盤に足りなかったキャッチーさをもたらしている。
疾走感が気持ち良い「GOOD LUCK MY WAY」、メロディアスなバラード「BLESS」と、大ブレイクした90年代後半~00年代初頭の雰囲気を残す派手な2曲の後には、「shade of season」で、渋さを演出。


更には、ダークさとキャッチーさを併せ持つ、シングル曲の中ではもっとも古い「DRINK IT DOWN」。

他の曲と馴染みにくいこの曲を、上述の「shade of season」、および「wild flower」で挟むことによって、自然な形で、ダークなパートを作り上げることに成功しています。

ラストに向かっては、とにかくポップな「SHINE」、「NEXUS 4」で明るく突き抜けていくのですが、その流れを引き継ぎつつ、最後をしっとりと締めくくるのは、「未来世界」。

この曲は、今までの彼らにはなかったような、子守唄のような穏やかさがある。

ラルクのアルバムの傾向として、締めは壮大なバラードとなることが多いことから、「BLESS」あたりかな、と想像していたのですけれど、良い意味で予想を裏切ってくれました。

新曲で終わることは、ベストアルバム感を緩和するにも、有効でしたね。


僕は、シングルをアルバムに入れてくれるアーティストについては、アルバムを待ってまとめて聴く派なので、どの曲もどこかで聴いたことはあるものの、新鮮味もありました。

一方、その点では、シングル曲を律儀に買っていたファンには、多少物足りなく映ったところはあるのかもしれません。

アルバム曲については、バランサーという位置づけが強く、個別でのインパクトでは劣ってしまう。

新曲だけを期待して聴くと、印象に残りにくいのかもしれませんね。


アルバムを全体的な流れを楽しむタイプの人には、名盤と呼んでも差し支えないクオリティの一枚。

ただし、シングルをすべて網羅しつつ、お気に入りの曲だけリピートで聴くタイプの人には、あまりおススメできないのかも。

まぁ、単体で評価するのであれば、間違いなく格好良いですね。


<過去のL'Arc~en~Cielに関するレビュー>

P'UNK IS NOT DEAD(P'UNK~EN~CIEL)

DUNE

The Best of L'Arc~en~Ciel c/w

HEART