Goodbye to My old avarice / ケミカルピクチャーズ | 安眠妨害水族館

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【初回限定B盤】Goodbye to My old avarice/ケミカルピクチャーズ
¥3,465
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1. 地球という名の乗り物(Album ver.)

2. 死神ベビー

3. Introduction to Gastronomy

4. 我輩ハ宇宙人ナリ

5. トガリムネエソ(Album ver.)

6. 苦悩マシン思考サークル

7. Shoot myself in the head

8. 多重人格type A

9. 幸せアレルギー

10. 悪天候異常気象な時代

11. 霞に千鳥


ケミカルピクチャーズ、待望の1stフルアルバム。

DVDが付いている初回盤Type-A、およびCDのみの通常盤は10曲入り、今回紹介する初回盤Type-Bは、11曲入りで、曲順も違うという3種同時のリリース。

先行シングルである「地球という名の乗り物」、「トガリムネエソ」も、バージョン違いで収録されています。


自分でレビューの題材を選んでおいて、なんだそれはって感じなのですが、正直、この段階で感想を書くのは、時期尚早だと思っているのですよ。

と、いうのも、バンドの成長が早すぎる場合、リスナーが追い付いていけないことがあるから。


率直に言うと、期待していた内容とは違った。

ガゼットの「DISORDER」、蜉蝣の「蜉蝣」をはじめて聴いたときと似た印象ですかね。

それまでのシングルは、抜群にインパクトがあって、新鮮味があって、捨て曲がない勢いで突っ走っていた。

ところが、初のオリジナル・アルバムを出してみたら、なんだか、こじんまりとまとまってしまっていて、素直に格好良いと思えないあの感じ。

CPSの魅力である感情剥き出しのパッション、痛々しいくらいに尖った歌が影を潜め、寂しさ、物足りなさが先立ってしまう。


しかしながら、冷静になったときに聴いてみると、案外、アルバムとしての構成を意識していて、クオリティが高い作品だということに気付かされたりする。

バリエーションは豊富だし、緩急のバランスも良い。

ミディアムポップの「地球という名の乗り物」からスタートするため、ゆるい曲が多いイメージを全体に与えるものの、実は5分を超える曲がひとつもない、無駄を省いた潔さが、持ち前のスタイリッシュさに映えています。


切ないシンセが印象的な「苦悩マシン思考サークル」や、サイバーなアレンジがお洒落な「幸せアレルギー」など、アクセント曲も充実。

その中で、ロカビリーやアメリカンロックを意識した、彼ららしいナンバーが活き活きと弾んでいる。

平さんのボーカルについても、従来のように尖ってはいないけれど、更にスキルが磨かれているのは明らかです。

むしろ、アルバムの全体観を重視して、あえて感情を殺しているようにも深読みできてしまう。


リアルタイムで聴いていると、どうしても先入観や、こうであってほしいという願望によって、潜在的な格好良さが、なかなか見えてこない。

だけど、数週間、数か月、数年間・・・

どのくらいかはわかりませんが、ある程度の期間を寝かせてみて、「そういえば、あのアルバム、ほとんど聴いてなかったな・・・」と再生してみると、全然違う景色が見える気がして仕方ないのです。


噛めば噛むほど味が出るCDを、スルメ系と言うのであれば、あるときを境に、真の魅力に気付くCDのことを、大人にならないと美味しさがわからない、塩辛系とでも例えましょうか。

baroqueの「sug life」なんかが代表ですかね。

本作は、そんな塩辛系となるポテンシャルを、十分に持っている。


だとすれば、早く、開眼したいものです。

今はまだ、鋭いナイフのような繊細さと、鬼気迫るくらいのダイナミックさを併せ持つ、平さんの感情をすべて曝け出したボーカルスタイルを期待してしまう。


<過去のケミカルピクチャーズに関するレビュー>

拝啓…詐欺的道化師音楽愛腐女子様方へ所詮戯戯レ言サレド純粋無垢ナ音楽

世界を撃った男 case5 ピースメーカー

Präparat