feeling precious / PlatinA Forest | 安眠妨害水族館

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feeling precious/PlatinA Forest
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1. Aqua

2. 南風

3. Timeless

4. 霧の町

5. Furter East


1999年に発売されたPlatinA Forestの1stミニアルバム。

一応、メジャーデビューも果たしたバンドなのですが、「あの頃のソフビ」的な話題でも、名前を目にすることが少ないのが少々切ない。


ギターに、Vanilla、ガイズファミリーと渡り歩き、 Creature Creatureのメンバーに抜擢されたShinobuさん、ベースに、同じくVanillaを通って、Moi dix MoisのSugiyaとしてプレイしているSUGIさんを擁している等、メンバーが全員現役で活動中。

幻想的な楽曲を得意としていました。


1曲目の「Aqua」から、その世界観が炸裂。

難解なリズムで癖をつけながら、ミドル~ハイトーンのボーカルが、神秘的な風景を描きます。

ルックスや、活動のフィールド的には、ソフト・ヴィジュアル系の一角なのだろうけれど、これだけ聴くと、初期ラルクから通ずる白系バンドの系譜なんだよなぁ。

タイトルの「Aqua」という言葉のイメージからすれば、白というよりも、無色透明に近いというべきなのかもしれませんけれど。


ボーカルのSHU-ICHIさんは、この手のバンドの歌い手さんにしては、ややアクが強いので、好き嫌いをわけるでしょうか。

なんとなく、歌い癖が、ex-BAISERの紫さんに似ている気がします。

音楽性と合わせると、同じく紫さんの影響が大きかった初期のリエントっぽいといったほうがふさわしいかな。

ところどころ、苦しそうなところとかも含めて。


2曲目の「南風」以降は、少しずつ彩やかさが出てくる。

相変わらず、メロディのとり方が独特で、ポップさはあるけれど、ベタな印象はそれほど受けません。

なかなかセンスは良いので、あとは、アップテンポな曲でのインパクトが欲しかったところ。

序盤でリスナーを引き込むことには成功していますが、そこがピークになってしまっている印象ですね。


全体的に及第点なのだけれど、何かひとつ足りない。

声に透明感が足りないのか、演奏があっさりしすぎているのか、キャッチーさが薄いのか。

どれかひとつが、飛びぬけてしまっても、きっとこの幻想的な雰囲気は壊れてしまうので、どれもが大事だったので難しいところではあるけれど。

本作の発売時点で、若いバンドだったと記憶していますので、もっと熟成されて、足場が固まれば、評価も高まっていたはず。

その意味でも、メジャーデビュー直後に解散に至ってしまったのは、非常にもったいないです。


ラストの「Furter East」は、アレンジにラクリマっぽさがある、異国情緒漂う疾走ポップス。

流れるようなメロディが、気持ち良い。

これだけ、やたらキャッチーなので、アルバム構成としては浮いてしまっているところがあるものの、最後に開ける余韻も残し、綺麗に締めてきました。

作品中、もっとも好きな一曲です。

まぁ、流れをぶった切るような唐突感があるのも事実ではありますが、聴きなれてさえくれば。

せめて、間にSEでも挟んで、緩衝剤にすればよかったのにな。