スプラウト/MiU
1 .ミセモノ
2. ユメイロ
3. Capsule
4. 【real】＝【simple】＝【beautiful】
ex-SCISSORのシノさんが、女性Vo.メイさんと結成したユニット、MiU。
メイさんが、前触れなく脱退してしまったことにより、現在ではシノさんのソロプロジェクトのようになっているようです。
本作は、4曲入りの1stデモCD。
ブックレットが手作り感満載で、手書きの歌詞やイラストを、コピーしてホチキス止めしたもの。
これ、どこまで本気で、どこまで狙っているんだろう。
不思議で、ポップなセンスは、しっかりと感じ取れますが、保管方法に困ります(笑)
てっきり、ジャンルを変えて活動するのかと思ったのですが、案外、SCISSORの雰囲気を残しているな、というのが第一印象。
このアートワークで、歌い手に女性を迎えるということだったので、勝手にシューゲイザーでもやりそうだと勘違いしてまして・・・（苦笑）
音楽性としては、SCISSORが半分、もう半分が、女性Voだからこそ映える、雰囲気モノ＋ポップスといったところですかね。
メイさんは、本格派のボーカリストという感じではなく、ロリータボイスを武器に、ヘタウマなメルヘン路線を地で行くタイプ。
深みはありませんが、レトロ要素が強く、ポップとダークが表裏一体になっている音楽性には、なかなかハマります。
表面的に聴こえるところが、かえって不気味さを演出して、声が可愛ければ可愛いほど、そのギャップで耳に残る。
典型的なレトロポップである「ミセモノ」が、その極みかと。
曲構成は、シノさんらしさが良く出ている。
惜しげもなく世界観を構築するための同期を織り交ぜるフレーズ作りや、全体的にフワフワした感覚、どんよりする感情など、音で色々な表現を試してみているような。
もうちょっとギターを目立たせてほしかったのですが、このごちゃごちゃしたおもちゃ箱のような世界観を出すには、ギターだけがブイブイ言ってるのも、なんか違う気がしますし、これはこれで良いのかも。
デモＣＤということなので、仕方ない部分なのかもしれませんが、音質にはもうちょっと頑張ってほしかった。
ミックスバランスが、とても悪いのが残念です。
ボーカルが、はっきり聞こえすぎたり、埋もれてしまったり、これも狙いかと言われたら、ハイセンスすぎるとしか答えようがありませんが、もうちょっと全体的に耳触りが良ければね・・・
おそらく、この編成で再録というのも、もう望めないので、本当にもったいないです。
SEなしの4曲入りとは言え、音質やアートワークなどを勘案すれば、1,500円は高いと感じてしまうかも。
一方で、ひとたびハマってしまえば、中毒的に抜け出せなくなる要素も多くて、何を重視して音楽を聴くかで、大きく評価が左右される作品かと。
レトロでメルヘンな音楽が好きなら、聴いてみる価値はあると思いますが、センスよりもクオリティ、演奏技術等を意識する人には、良さが見つかりにくいのかなぁ。
近年では、珍しいジャンルに挑戦していたユニットだったので、正式音源を出してほしかったというのが本音です。
現在の編成だと、どんな感じでライブをやっているのかも気になりますね。