- ア・カペラ 【通常盤】/アヲイ
- ￥2,310
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1. jellyfish
2. blind
3. 絶世、闇の中で
4. カルト
5. darling
6. ラストレター
アヲイのミニアルバム。
5人編成としては初となるアルバム作品は、全曲書き下ろし。
初回盤にはDVDが付き、通常盤にはボーナストラックとして「カルト」が収録されています。
客観的な評価として、非常にクオリティが高まりました。
ギターの厚さが増して、より激しく構成され、ボーカルスタイルも、グロウルを主体に置くなど、その勢いを膨張させるようなパッションを感じる。
ゴリゴリと激しく迫る曲と、やや手法を変えて、メロディを意識した曲が交互に押し寄せる流れとなっています。
歌詞などからも、本作の中核を担う位置にあることが窺える「blind」は、デスヴォイスを使用したパートも含まれるものの、サビで一気にメロディアスになる昂揚感があり、キラーチューンの役割を果たしている。
最近、よく見かけるラウド・ミクスチャーの典型的なスタイルではあるのですが、他の楽曲が、激しさか、メロディか、どちらかに絞って作り込まれているため、かえって作品に安定感、安心感を与える材料になっており、有効にベタなナンバーを使ったな、と感心します。
ベタと言えば、最後を締めくくる「ラストレター」もしかり。
こちらは、王道のV系ロックに仕上げられており、サビでの盛り上がり、余韻を残す疾走感、艶っぽく、また芯のある歌声など、耳に残るフレーズを、これでもかと注ぎ込んでくる。
ラストが引き締まることで、激しいだけじゃなかった、グロウルに傾倒しているわけではなかった、というイメージも与えることができ、アルバムとしての完成度を高めていると言えるでしょう。
一貫性としてこだわったであろうハードな楽曲も、全体的にシンプルに、コンパクトにまとまっているので、それらのキラーチューンが引き立ちますね。
単純に、格好良いものが出来上がった。
一方で、主観的な感想としては、メンバーチェンジ以前に見られた、歌謡曲ベースのフレーズがなくなってしまったのが残念。
もっとも、初期のアヲイは、ムックのフォロワーとしての側面が強すぎて、個性的とは言い難かったのですが、そうは言っても、哀愁感漂うメロディは、強みでもあったはず。
徐々に脱ムックを図っている傾向は以前からありましたが、ここまでスタイリッシュに垢抜けてしまうと、寂しさがあるのは否めません。
かろうじて、名残があるのは、「カルト」くらいでしょうか。
この曲については、歌い方も含めて、ムックに色濃く影響を受けていた時代の雰囲気がありますね。
捻くれたミディアムテンポのリズムが独特。
そういう意味では、古株ファンの立場に立てば、複雑な感情もあるのかもしれません。
とはいえ、本作の完成度が高いのは事実。
全曲、書き下ろしということを考えれば、現時点では実験作的な部分も含まれているかもしれませんし、邪推は不要でしょうか。
ライブを重ねることによって、1曲1曲に成長の余地があるわけで、これに本来の持ち味が加わってくることを期待したいです。
＜過去のアヲイに関するレビュー＞