EPILOGUE TO PARADE@池袋音処手刀(2011.5.4) | 安眠妨害水族館

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トーマスにとって、初の単独公演となる「EPILOGUE TO PARADE」に行ってきました。

本公演は、先月からはじまったツアーのファイナルという位置づけとなり、いろいろな意味で節目的なワンマンでした。

セトリは以下のとおりだったかな。


1.ターゲット

2.罪と罰

3.溺れた声

4.チェイン

5.ピストル

6.パラノイア

7.ブランコ

8.コールド・ディレイ

9.ワスレナ草

10.CRAZY DISCO

11.サイケデリック・モバイル

12.パーソナリティ


en1.降水アーキテクチャ

en2.涙色ラボラトリー


en3.パーソナリティ



カバー曲を除いて、音源化されている曲は、すべて演奏されました。

音源に未収録なのは、「溺れた声」、「パラノイア」、「ワスレナ草」だけですね。


主催のときは、気合いが入りすぎて、空回りになっていた部分も見えたのですが、この日は、テンションは高いものの、幾分冷静さがあり、しっかりとペース配分ができていました。

きちんと、前回見えた課題を修正してきた。

これを成長と呼ばずして、なんと言うべきか、といったところでしょう。


定番の「ターゲット」はじまりで、「罪と罰」に繋げる序盤の流れは、ある程度想像できたのですが、「溺れた声」は意外でした。

古くからある曲ではありますが、前任ドラムの脱退以降、ほとんど演奏されていないようで、僕自身、はじめて聴いた楽曲。

タイトルがある未発表曲で、僕が知らないのはこれだけでしたので、推測はできたのですが、初期のトーマス節が強く出ていて、これからのセトリにも組み込まれていくのかと思うと、楽しみです。


いつものSEをBGMにMCを簡単に入れると、激しいナンバーが目白押しのパートへ。

「ピストル」では、導入のインスト的な部分を、突然止めたかと思うと、Lottoさんに煽らせるという、いつもならやらない演出。

一瞬、機材トラブルかと思いましたよ(笑)

タイトルがなかった新曲については、「パラノイア」に決まったようです。


Lottoさん加入後では、はじめてとなる楽曲も多く、正直なところ、細かいミスはいくつかありました。

昌孝さんも、歌詞が飛びましたしね。

ただ、その辺も気にするのがナンセンスなほど、パフォーマンスを堂々とこなすメンバーと、オーディエンスのレスポンスがとても良い塩梅で、非常に緊張感のある空間ができていたかと。

Lottoさんは、ワンマンだからこその陣形で、横向けにドラムをセッティングしていました。

これ、格好良いというか、フォームがよく見えるので、こういうプレイをしていたのか!という発見があって面白かったです。

普通のV系ナンバーであったら、ツタツタドコドコ叩くところを、バスドラのリズムに若干を変化をつけていたり、リアレンジしてみたり、メリハリのあるドラミングが独特でしたね。


「コールド・ディレイ」、「ワスレナ草」は、歌モノパート。

最近のトーマスは、イベントでも音源でも攻撃的な楽曲が中心になってきており、持ち味である昌孝さんの感情を込めた歌、表現というのが薄れてしまっていた気がした。

だけど、絶対、こういう面も見せていくべきだと確信したのが、この部分でした。

音がなくなる部分では、マイクレスで歌う等の工夫もあって、ただ激しいだけのステージから緩急がつけられる。

こういう曲ができるというのは、強みでもあるので、これからも聴いていきたい曲たちです。


「ワスレナ草」の終わりで、昌孝さんが一度ステージからはけると、Lottoさんのプチドラムソロがはじまり、徐々に楽器隊が混ざっていくセッション風のインストに。

このまま、曲に移って行ったら格好良かったのですけれど・・・


なぜか、ギターのトシさんが、たどたどしく煽ったり、コールアンドレスポンスを求めたりしてくる(笑)

ここは、蛇足だったなぁ。

やるにしても、ファンから自発的に行われるべきであって、あんなグダグダになるんだったら、やらないほうがよいでしょう。

まぁ、本人たちもわかっているだろうから、この辺の演出は、次回以降、もっと入念に準備してもらいたい。


再び、昌孝さんが帰ってくると、最後の盛り上がりへ。

このツアーでは、暴れ曲の鉄板となっている2曲と、ラストはやっぱり「パーソナリティ」。

予想はつくけれど、期待されているところでもあり、妥当な締め方ですね。

それまでは、比較的持ち場を離れず演奏を優先していた弦楽器隊が、この辺からスイッチが入りだす。

演奏は粗くなってしまうけれど、こうなってからのパフォーマンスが単純に格好良いため、ついつい許してしまいます。



本編が終了すると、スクリーンが下りてきて、告知タイムへ。

2011年冬に、ついにミニアルバムが完成するようです。

ちょっと今のタイミングで発表するには、遠い気もしますが・・・

それでも、楽しみではありますね。

「パラノイア」、「ワスレナ草」は入るのだろうなぁ。

「涙色ラボラトリー」や「ブランコ」など、入手困難な代表曲も、再録されると新規のファンには優しいかもしれません。

トーマスの傾向として、未知の描き下ろし曲を入れてきたりもするので、侮れないところ。



アンコールの1曲目は、前任ドラムが作詞を担当したため、ライブでの演奏は控えめになっている「降水アーキテクチャ」。

曲数的に、やるのだろうなとは思っていても、レア感があって嬉しい限り。

ただし、これだけではノリきれない新しいファンもいるため、最後はしっかり「涙色ラボラトリー」で締めくくりました。


・・・と思いきや、鳴り止まないアンコール。

ほぼ全曲やり尽くした状況ではありましたが、2ndアンコールに突入です。

曲については、オーディエンスに問いかけて、「パーソナリティ」に決定。

どこまでが筋書どおりなのかはわかりませんが、改めて、はちゃめちゃに動き回るメンバーを見るのが楽しかったです。

1回目よりも、メンバーもファンも余裕がある様子で、動きがスムーズだった(笑)



細かいところは置いておいて、かなり良いライブでしたね。

良さは全部出し切ったのではないでしょうか。

歌も最後まで安定していたし、楽器隊も、演奏とパフォーマンスのバランスが良かった。

心配していた客入りも、気付いたら結構埋まっていて、十分成功と言えるのではないかと。

あ、でもトシさんの煽りは、今後の課題か(笑)


一方で、普段のイベントライブでのマンネリ化を、少し感じてしまった。

バランスよくやれば、結構バリエーションも多いバンドなのに、最近はギルガメ的な楽曲を好んで演奏していて、激しいバンドというイメージも強そう。

セトリを固定するのも、マイナーバンドとしては戦略のひとつではあるけれど、もっと方向性全体が伝わりやすくするのも、ひとつの手じゃないでしょうか。

今回、Lottoさんがひととおり曲を覚えたと思うので、これからに期待がかかります。


アンコールを入れて、15曲、約90分ということで、時間としてはやや物足りなかったかな。

もっと聴いていたかった。

確かに曲は、もうないのだけれど、ツーマンのときは、カバー曲をやったり、弾き語りをやったりと、企画的なものもやっていたはずなので、何か演出面の工夫があっても良かったのでは。

とりあえずは、どんどん曲を増やして、次のワンマンでは、さらなる進化を遂げれるよう、頑張ってほしいものです。