CLOUD NINE / T.M.Revolution | 安眠妨害水族館

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オバンギャと初心者に優しいヴィジュアル系雑食レビューブログ

CLOUD NINE(初回生産限定盤B)/T.M.Revolution
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1. CLOUD NINE -instrumental-

2. Pearl in the shell

3. Naked arms

4. resonance (ボーナストラック)

5. Imaginary Ark (ボーナストラック)

6. 水に映る月

7. Wasteland Lost

8. Thousands Morning Refrain

9. SWORD SUMMIT

10. crosswise (ボーナストラック)

11. 09 (nine) Lives

12. Fate and Faith

13. Reload

14. Fortune Maker

15. soul’s crossing (ボーナストラック)

16. Lakers (ボーナストラック)

17. Save The One, Save The All

18. vestige-ヴェスティージ- (ボーナストラック)


ex-Luis-Maryの灰猫が、本名である西川貴教として活動するソロプロジェクト。

と書くと、このブログでも紹介できるようになるから不思議(笑)

まぁ、最近の彼の交流関係を見るに、ヴィジュアル畑に帰ってきたい気持ちもあるんでしょうけども。


もともとは浅倉大介とのユニット形式でしたが、近年ではセルフプロデュースの形態をとっており、純粋に楽曲の提供を受けるのみという関係のようです。

本作は、T.M.Revolutionとしては、9枚目となるオリジナルアルバム。

V系ライクな3種売りでのドロップです。

DVD付のAタイプ、ボーナストラック付のBタイプ、CDのみで安価な通常盤と、これだけ見ればよくある感じですが、Bタイプがとにかく凄い。

ボーナストラックが6曲というのは、ボリュームありすぎ。

シングル曲など、既発表の楽曲が中心なので、シングルからコツコツ買っていた人は、Aタイプで映像を楽しむというのもひとつの手段でしょうけれど、とりあえずアルバムを!という人は、断然Bタイプですね。


内容については、良くも悪くも相変わらずなTMR。

デジデジしたダンサブルなサウンドに、ポップながらリアリティのある歌詞と、張りのある西川さんのボーカルが映え、非常に安心感のある作品に仕上がっています。

15年の活動の中で、ここまで音楽性を変えずに徹底することは、なかなか難しい。

正確に言えば、浅倉さんの一貫性が素晴らしいって話なんでしょうけれど、このサウンドにもっとも馴染むのは、やっぱり西川さんなんだと思う。

アップテンポな楽曲は、どこまでもはっちゃけて、マイナー調のバラードは、感情を込めて切なく歌い上げる、その歌唱力は、四十路であることを感じさせない瑞々しさがあります。


また、打ち込みが主体のデジタルサウンドを軸としながら、要所要所で生ギターの絶妙なリフが重なるところも格好良い。

ライブでは、バンドアレンジで演奏することが多いですけれど、アニソンアーティストとして再浮上しつつあることも勘案、こういう、デジタルさの中にある生音というバランス感覚を維持していることも重要かと。

最初にブレイクした辺りに比べると、単純明快なポップナンバーは減りましたが、ビームサーベルのような機械的な鋭さを感じる音使いには磨きがかかっていて、流れるようなメロディがとても昂揚感を煽ります。

キーは高いけれど、カラオケで歌ったら気持ちよさそうな曲が目白押し。

疾走感があるアニソン好きにも、たまらない出来栄えと言えるでしょう。


一方で、似ている曲が増えてきた部分は否めないでしょうか。

音楽性が変わらない安心感を説いたところでもあり、課題と言い切るには微妙なところですが、昔のあの曲と似ているなぁと感じてしまう曲がいくつかあったので、飽きさせない工夫、一曲一曲の差異化というのも、今後は必要かもしれません。

現時点では、シングル曲などは、王道ながら強い個性も持っているので心配は無用ですが、アルバム曲については、やや構成が固定されつつあり、もうちょっと幅広に遊んでみてもいいのでは。


加えて、さすがに18曲は、体力的に聴き疲れはいたしかたないかな。

ボーナストラックについては、もう1枚のCDにして、2枚組の仕様にしたほうが、アルバムとしてのまとまりは整えやすかった気がします。

想像するに、Aタイプの12曲のほうが、配分的には聴きやすそう。


まぁ、かなり間が空いた久しぶりのオリジナル盤ということで、変わらぬ音楽性のまま帰ってきてくれたのはうれしいです。

クオリティも、楽曲のセンスも、技術的にも文句なし。

ヴィジュアル・コンセプトにも、しっかりこだわっていて、レベルが高い作品。

並行して活動しているabingdon boys schoolも、正統派なロックで渋くて良いのですが、個性的でキャッチーさのあるTMRを待っていた人は多いはず。

再ブレイクを機に、またオールナイトニッポン復活してくれないかなぁ。