Präparat / ケミカルピクチャーズ | 安眠妨害水族館

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Präparat/ケミカルピクチャーズ
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1.Reincarnation

2.Präparat

3.Schwarzwald


ケミカルピクチャーズにとって、初の流通作品となったDVD付シングル、「Präparat」。

当時は、Vo.てんてん、Gt.Schwarz、Gt.Joe、Ba.Jimiの4人編成でした。

てんてんさんが、本名に改名したこともあり、だいぶ現在と印象の違うラインナップですね。


第一印象は、洗練されたな、といったところ。

餞ハナむケ時代は、良くも悪くも青臭さが抜けておらず、KuRtを結成したときには、小慣れてはきたけれど、影響がモロに表現に出てしまうなど、勢い重視の側面があった。

そんな、てんてんさんが、大人になって、一音一音を丁寧に表現するようになった気がしました。

もちろん、感情のこもった激しい叫びも健在なのですけれど、余裕が出てきたというか、力を抜くところの歌唱が抜群に上手くなっているのですよ。


そして、楽曲の良さが、その歌声を引き立てる。

インストである「Schwarzwald」をのぞく2曲は、どちらも歌モノの部類に入るのですが、このドラマ性が素晴らしい。

落ち着きを持った渋さとは裏腹、てんてんさんの魅力であるエモーショナルな歌声は殺さず、それでいて、メロの美しさ、演奏テクニック、世界観・・・すべてをしっかりとアピールしているのです。

深みはあるけれど、地味でもない。

しっかりと耳に馴染み、じんわりと輪郭が浮かび上がるようなインパクト。


比較的わかりやすいストレートな構成の「Reincarnation」、ファンクの要素を取り入れてみるなど、展開が多く、力量が問われる「Präparat」。

方向性は同じでありながら、真逆のアプローチから表現しているという工夫も、飽きさせないポイントでしょう。


改めて聴いてみると、この時点で既に完成されているものがあるな、と。

Schwarzさんの脱退は、技術的には痛かったのですが、結果として、メンバーが変わってもブレない芯があることを証明した形です。


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