- 嫌/大佑と黒の隠者達
- ￥1,260
- Amazon.co.jp
1.嫌
2.愚の消滅
発売直前に大佑氏が亡くなってしまい、誰もが想像しなかった形で有名になってしまったシングル。
大佑と黒の隠者達名義では、2ndシングルとなります。
1曲目、「嫌」は、タイトルから想像できるとおり、負の要素を歌詞にしたネガティブかつアグレッシブなナンバー。
こういう曲は、まさに大佑さんの蜉蝣時代からの真骨頂。
聴きどころは、なんといっても、「自分のことが大嫌いな相手に対して、自分も自分が大嫌いだから気が合いそうだ」という、世界を斜めに見た発想から勢いで作ったような、インパクトのある歌詞。
誰も思いつかなかった発想なはずなのに、不思議と、「あ、そうかも」と思わせてしまうスレスレの線を歌詞に書くのが、本当にこの人は上手いですね。
曲としても、ぐちゃぐちゃに畳みかけるAメロ、テンポチェンジをして次への展開を期待させるBメロ、そして疾走感があり、王道メロディアス系の懐かしさももったサビと、展開に変化を持たせることで、ポジティブに振れたり、ネガティブに振れたりする感情を表現しているよう。
邪道であり、王道。まさに大佑のシングル曲といったところでしょうか。
カップリングの「愚の消滅」は、切ない演奏が歌を引き立てるバラード。
どちらかといえば、壮大になりすぎないように、あえて淡々と聴かせる工夫がされているような気がします。
きちんと歌い上げて、展開にも消化不良がない中で、4分程度で終わらせている潔さが、余韻を持たせて格好良い。
サビや、このフレーズ、というよりも、全体観、雰囲気を楽しむバラードだと思います。
こうして改めて聴いてみると、本当にこれで終わりという印象は受けません。
当然ながら、本人としてもラスト音源として作成したわけではないでしょうし、次の展開、フルアルバム等に期待をせずにはいられません。
前のシングル「翻弄」も含めて、作品が良質であったからこそ、悔しいし、残念。
ふらっと帰ってきて、「アルバム出すよ」なんていう、天邪鬼な大佑さんっぽい展開があるんじゃないかと思ってしまう。
音源としての完成度としてはもちろん、違った意味でも、忘れられない作品になった1枚。