Re:union / Ehpion | 安眠妨害水族館

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Re:union/Ehpion
安眠妨害水族館-ehpion


1. Lucifer

2. Re:union

3. Scapegoat

4. Arcadia


Vo.朱璃(ex-MADARA)、Gt.YUKI(ex-MADARA)、Dr.悠介(ex-ポワトリン、ヴィデオグラマァサポート)で結成されたEhpionの1stシングル。

サポートベースには、ex-MADARA、ex-CELLTの沙々さんが参加しています。


Luinspearを意識していると公言しているだけあって、メロディアスでクラシカルな曲が歌モノが中心。

ルインスに影響を受けているバンドなんて、数年前に解散しているze零roくらいしか知らなかったけれど、10年の歳月を経て、この時代にあえてこういう曲調で勝負するとは、期待感大です。


「Lucifer」は、マイナーコードで流れるような美しいメロディが印象的なナンバー。

ハイトーンで透き通ったボーカルが、楽曲にマッチしています。

やや疾走感が重視されていて、クラシカルな要素は薄めですが、導入の1曲としては申し分ないキャッチーさのある曲ですね。


続く、タイトル曲「Re:union」は、イントロこそハードな印象がありますが、メロディに入ると、これを待っていたというメロディアスさ。

シンセが上手く取り入れられていて、耽美系の要素が随所に見られます。

この、コテと耽美の融合は、まさにルインスピアを彷彿とさせる。

サビでの、スローストリングスの入れ方が絶妙で、雰囲気を出していますね。


3曲目、「Scapegoat」は、イントロや間奏にメタル的な要素も取り入れたスピード感ある楽曲。

ハードな演奏に絡まるゴシックなシンセのフレーズが格好良いです。

クラシカルな要素も豊富に盛り込まれていて、メロディの数は少ないものの、そのインパクトは絶大。

全編がサビのような構成は意外性もあり、本作の激しさを担っているとも言えるでしょう。


「Arcadia」は、展開の多い、ゴシック要素が詰め込まれたナンバーで、歌メロには歌謡曲のようなキャッチーさも感じられます。

最後を締めくくるにはふさわしい、これでもかというほど、凝りに凝った構成は、聴くたびに味わい深いものになっている。

ラストシーンにもうひと盛り上がりあっても面白かったと思いますが、徹底された様式美、キャッチーなサビのフレーズ、上モノとバンドサウンドのバランス、格好良いと呼ぶには十分な要素は揃っています。


全体的に、とにかくメロディが重視されていて、様式美を徹底したアレンジ、展開にはドキドキさせられる。

ルインスの影響は確かに受けているなと思われるバンドですが、あからさまにパクっているなという印象はなく、ルインスの良さを分析したうえで、要素を抽出して再構築したようなイメージ。

ボーカルが、透明感のある声質で、これだけの楽曲を歌いこなせているのも高ポイントです。


Luinspearに馴染みがない人もいるかもしれませんが、耽美と王道コテを融合させた音楽性ということで、摩天楼オペラにも通じるところがあるかと思います。

摩天楼オペラのメタル要素を薄くして、メロディ重視にしたような。


まだ、デモンストレーション的な活動にとどまっているようですが、是非とも本格活動をしてほしいバンド。

音質や演奏力などに課題はありますが、センスや、目指すべき方向性はとても惹かれるものがあります。

今後の展開に期待いたします。