自殺願望 / Due’le quartz | 安眠妨害水族館

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自殺願望/Due’le quartz
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1.ウタカタノ…夢?
2.Monochrome
3.卍搦め
4.4月1日花畑にて…
69.自殺願望(ボーナストラック)


リクエストにお応えしまして、デュールクウォーツの2ndミニアルバムを紹介いたします。


現在はソロで活躍する雅が、ギターとして在籍していたバンド。

当時は、高校2年生くらいだったと思います。

正直なところ、ボーカルsakito、ギター雅の両イケメンによる顔売れ要素も強かったのですが、迫力あるライブには定評があり、時代が良ければメジャー進出してもおかしくない人気バンドでした。


僕の持っている「自殺願望」は初回盤で、69トラックめにボーナストラックとして表題曲が収録されています。

ケースを分解すると、歌詞カードが出てくる仕様でした。

2ndプレス盤では、同曲のライブ音源が「自殺行為」として収録されていました。


さて、このバンドの特徴としては、転調、変拍子を多用した複雑な曲構成と、歌詞や曲の発表の仕方に散りばめられた遊び心。

同じ歌詞で2枚のシングルを出したり、2曲くっつけると、合わせて1曲の曲になったり、インパクトを出すための工夫がありました。

(ある意味で、商売上手だったとも言えますね。)


このアルバムは、マニアックな構成の曲と、ストレートな曲のバランスがとれていて、個人的にはとても好きな作品。

1曲目の「ウタカタノ…夢? 」は、王道なヴィジュアル系サウンドで、疾走感、勢いのある曲。

続く、「Monochrome」は、展開の多い彼ららしいナンバーです。メロディラインも大事にされているのは好印象。

「卍絡め」は、激しい煽り曲。シャウトもありますが、重苦しさより疾走感が優先されていて、速さがありますね。

「4月1日花畑にて…」は、ミディアムテンポのダークな世界観を重視した曲です。

どれも色が違っていて、どれもが「らしさ」を感じられます。


ボーナストラックの「自殺願望」は、ベースのキカサさんが作曲ですが、メロディアスな王道曲で、ボーナストラックとしてしまうのがもったいない曲。

完全にキラーチューンとして持ってきてもいい曲ですね(表題曲なので、重要な位置づけでは考えているのでしょうが)。


そんなわけで、ダークバンドとしては、コテコテの要素を含みつつ、独自の試みも多く、コンポーザーの雅を中心にオリジナリティを出せていたバンドだったと思います。


しかしながら、致命的にボーカルの歌唱力が、メジャーに通用するスキルじゃなかった。

シャウトも細くて弱かったし、声量がなく、高音は本当に厳しかったです。

ギターもマニアックなフレーズは面白かったけど、若さもあって小手先な感じにもなってしまっていましたし、ベースも若干軽めだったので、演奏もペラペラな印象になってしまっていたのも残念。

ドラムだけが、キャリアもあって、複雑な展開でもしっかりタイトに叩けていて、演奏面では孤軍奮闘でした。

少なくとも、ボーカルがもっと上手ければ、上手いと言えなくとも、平均点の歌唱力であれば、メジャーに行けていた気もするのですが・・・

ライブでのステージングは良かったので、もうちょっとブレイク前に練習期間、下積み期間があれば、良かったのかもしれません。

ブレイクが早すぎてしまった部分がある気がします。


それでも、売れていたし、売れるだけの個性、熱いものは持っていた。

なんだかんだで、解散時は寂しかったし、雅のソロを聴いていると、デュールが懐かしくなったりします。

フォロワーもたくさん生まれました。

あの強引ともいえる転調、マニアックさは、最近のバンドにはない魅力だった。

今聴いても、当時のV系ファンを熱狂させただけあるバンドだったと感じられる部分は多く見られますね。