(→その1からの続き)

$坂本サトルオフィシャルブログ「日々の営み public」Powered by Ameba

大槌町から国道45号線を15キロほど北上したところに山田町がある。
元総理大臣、鈴木善幸氏の出身地ということで名前を知っている人もいるかも知れない。
人口約18,000名。今回の震災での死者、行方不明者は650名以上。甚大な被害を被った。

途中「道の駅やまだ」に立ち寄る。
後で調べてわかったことだが、なんとこの店は3月18日から営業を再開していた。
地域の人たちを生活面だけでなく、精神面でも支えたことだろう。

$坂本サトルオフィシャルブログ「日々の営み public」Powered by Ameba-DVC00249.jpg


予定より少し早めに会場に着いた。

この避難所では16:30から夕食ということで「17:00スタートで大丈夫です」という連絡をもらっていたのだが、さすがに早すぎるだろうと言うことで、その場でスタッフの方とお話して17:30スタートにさせてもらった。

さて、時間が出来た。
学校の周りを歩いてみよう。

校庭に出るとここにも自衛隊が駐留していた。
「自衛隊風呂」と呼ばれる仮設の入浴施設が設置され、避難所の方だけではなく近隣の皆さんもお風呂代わりに通っているようだった。
ちなみにこの「自衛隊風呂」は全国の自衛隊に20セットあって、今回の震災のためにその20セット全てが被災地に集められた。
それがどこの地域の隊から来たかによって「のれん」にちょっとしたユーモアが施されている。
例えば兵庫県の部隊から持ってきた風呂の入口には「六甲の湯」、沖縄からは「チムグクルの湯」、そしてここには北海道から派遣された部隊を中心に駐留していていて施設の名前は「藻岩の湯」。

うろうろしていると隊員の方が見えた。ちょうど時間もあるし、「アイニーヂュー」歌わせてもらえないだろうか…。

交渉する私。

「みなさんまだお仕事中ですか?」
「いえ、今日は終わったところです」
「今から1曲みなさんに聴いてもらいたい曲があるんですけど歌ってもいいですか?」
「え?…いいですよ」
「他にも聴いてくれる方、いらっしゃいますか?」
「ちょっと声かけてきます」

…5分後、7名の隊員さんが集まってくれたのだった!

$坂本サトルオフィシャルブログ「日々の営み public」Powered by Ameba

日頃の活動への感謝の気持ちを伝えた後「アイニーヂュー」を歌う。
みんな上官の言葉を聞くかのような直立不動である。

ライブ後記念撮影。1人、ものすごく可愛い女性隊員がいて驚く。マドンナだな。
「この写真ってブログに載せたらまずいですよね?」と聞くと「いや、大丈夫じゃないですか?」とあっさり。
ということで掲載します。

$坂本サトルオフィシャルブログ「日々の営み public」Powered by Ameba


予定外の自衛隊ライブを終え、体育館へと戻る。
ちょうど食事が終わって、くつろぎ中、という感じだった。

会場を見渡して驚いたのは個人個人を隔てるパーテーションがとても低いこと。90センチぐらいだろうか。さらに体育館全部がその高さなのだ。これでいいの?
スタッフの方が「一度、仕切りをもっと高くしたんですけど、低い方がいいと言われまして」と説明してくれた。すごいなあこれは。震災直後の避難所のようだ。

$坂本サトルオフィシャルブログ「日々の営み public」Powered by Ameba

坂本サトルオフィシャルブログ「日々の営み public」Powered by Ameba


食事後でちょっと休憩モードだったからだろうか。
パーテーションの低さによって、一体感のようなものが出来ていたからだろうか。
この会場でのライブは、それこそ震災から1ヶ月経っていなかった頃にやった東松島市でのライブを思い出させた。
静かで濃密で、僕と、そこにいる人達の魂がゴリゴリとこすれ合うような。
避難所でのライブでしか感じることがない、泣きたくなるような尊い空気。

「避難所でのライブってどうですか?」って聞かれた時、何て説明すればいいのか本当に困るんだよなあ。


ライブが終わってサインを書いていると、40才ぐらいの男性がやって来て「CD、売ってくれないんですか?」と聞いてきた。
え?CD?売る?買う?…。
避難所でCDを売る?それってありなのか?
いやー今はとてもそんな気にならないというか、考えもしなかったので持ち歩いていなかった。しかし避難所での生活だからこそ、日々の音楽が必要な人もいるだろう。売る気はない。かと言って1人だけにプレゼントするわけにもいかないしな…。
こういった事も含めて、被災地の状況も、被災された方の心情や環境もどんどん変わっていくのだ。
ちゃんとその変化を感じ取って、できるだけ的確に対応していきたい。


峠道を越えて北上市へと戻る道中、山の中で野生の鹿に会った。
大槌、山田のおみやげ話が旅の最後にもう1つ。

$坂本サトルオフィシャルブログ「日々の営み public」Powered by Ameba