その1からの続き

本吉町今朝磯(けさいそ)にある浜地区多目的集会所へ。

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(今朝磯港。右手中ほどに見える屋根を修理している家まで波が来た)

テレビなどを見て「もう被災地もだいぶ復興してきてるな」と思う人もいるかもしれないが、それはまだまだごく一部の話だ。
例えばこの会場ではまだ電気が復旧していない。気仙沼市では水道の復旧率が1%程度という地区もある(5月15日時点)。
何度でも言うが復興までの道のりはまだ始まったばかり。個人的には福島の原発付近に住む人達など、まだ始まってすらいないと思う。


浜地区多目的集会所は避難所となっている他、NPOが主体となった「浜地区ボランティアセンター」の本部ともなっていて、避難されている方と全国から集まったボランティアスタッフが一緒に食事をしたりする。
ちょうど夕食時にお邪魔することになったのだが、野菜や食料を受け取りにここを訪れる自宅避難されている方、避難所で暮らす方、そして大勢のボランティアの皆さんで、それほど広くない施設はごった返していた。


この日は秋田県大曲(おおまがり)市から炊き出しが来てくれていた。

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「肉と野菜炒め、そして海鮮焼きを召し上がって下さい!」という大曲代表の方からの挨拶に盛り上がるボランティアのみんな。ここには最大600名がボランティアとして集まるほど、受け入れ体制が整っているとのことだった。

目的を1つにして働いているわけなので「恋が芽生えることもあるだろな…」とは思っていたら、実際ここで働くボランティア同志で結婚するカップルが出たそうで、来週末はこの場所で結婚式を挙げることになっていると聞いた。
「こんな時だからおめでたいことがあると本当にみんな嬉しいのよ」と地元の方が話してくれた。
そう言えば、震災以後、被災地の結婚相談所での結婚率がかなり上がったという記事も読んだ。「1人で給水車の前に並んでいる時に『1人って寂しいんだな』と心から思った」「照明の消えた真っ暗なコンビニのレジに1人で並んでいる時に回りが家族連れだったのを見て、こういう時は家族がいたら心強いのにと思えた…」等というのがその理由だった。
人は困難に直面した時に誰かに隣りにいて欲しいと思い、そして家族がいる人はその結びつきが強くなる。調べてはいないが被災地の離婚率はこの先下がっていくと思う。以上、余談おしまい。


ここでの会場は避難所で暮らす方が寝泊まりする小さな講堂のような部屋。

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自宅避難されている方、避難所で暮らす方、ボランティアとして瓦礫撤去作業を手伝う人達が混在した客席。それぞれの立場や置かれた状況が全く異なるわけで、この会場では選曲に苦労した。
しかしどういうわけかここでは子供に大受けで、最前列は10名ほどのキッズであった。アンパンマンを歌ったわけでもないのになんでかなあ…。


ライブとサイン会が終わると職員の方が「炊き出しのご飯があまっているので食べていって下さい」と言ってくれた。
「えー?僕たちが食べてもいいんですか?」「余ってしまって捨ててしまうのはもったいないのでぜひ食べて下さい。」…ということで僕たちも炊き出しをごちそうになってしまった。
お味噌汁もいただいたのだが、温かい汁物が本当にありがたかった。温かい食事が生きる気力の支えになった事もあっただろう、と思えた。

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1人、ライブの時からずーっと僕に懐いてくれた女の子がいた。
突然「私、5人きょうだい。全部女の子」と告げられ、全員の名前と年を教えてくれたりして、なんだか可愛かった。(全員無事だった)

帰り際、その子が坂の上で最後まで手を振ってくれた。
またね!

俺のこと、覚えててくれるかなあ。

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さあ残り1本。次の会場に向かうぞ!

…と、道の途中でまたも崩落した気仙沼線の高架の横を通る。
夕日に照らされたその光景はとても現実とは思えず、よくできた映画のセットに思えた。

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