2011年05月24日(火) 20時15分12秒

5月22日まとめその1(避難所ライブ小泉中学校)

テーマ:東日本大震災関連
午前10時半、東北道一関インターチェンジを降りたところで、ヒゲオくんと合流。
メールでやり取りさせてもらっていたが、ヒゲオくんと会うのは初めての事。確かにヒゲあり。

彼から「気仙沼市本吉町小泉地区でライブを!」と連絡をもらったのは4月22日のこと。
1ヶ月も経ってしまったが、今日ようやくそれが実現する。


まずは本吉町小泉地区にあるヒゲオくんのご実家へ。一関インターから約1時間の距離。
15年程前に初めてこの町を訪れて以来、縁あって何度かこの地で歌わせてもらった。そんな本吉町は2009年に気仙沼市に編入され、現在は「気仙沼市本吉町」となっている。
報道で気仙沼市が取り上げられる場合は、そのほとんどが元々の気仙沼市の市街地付近のことが多く、この辺の事をマスコミが伝えることはほとんどない。「もっと取り上げて下さい!」と、このあと地元のお母さん方に何度か懇願されることになる。


先導するヒゲオくんの車が津波で全てを流された荒野へと入っていく。恐らく僕に町の惨状を見せておこうということだろう…と思っていると、車はさらに細い道へと入っていき、「まさかここ登るの?」と思う坂道をグオーっと登っていった。
「ここが実家です」と紹介されたのはその坂を登った先にある民家だった。

そのご実家から見える光景がこれ。
(全ての画像はクリックすると拡大します)

$坂本サトルオフィシャルブログ「日々の営み public」Powered by Ameba

津波が迫り来る様子がここからよく見えたという。

「いやあ、高台にあったから、波が来なかったんだね。良かったねー」と僕が言うとヒゲオくんが「来ましたよ」「…えっ?」「ここまで来ました」「えっ?ほんとに?」「来たんです」

この家は海抜約10メートルの所に立っている。ところがその家も1階はほとんど海水に浸かってしまったのだという。
小高い丘から見下ろす無惨な光景。そこから今自分が立っている場所からさらに1メートル以上までがすっぽりと水に浸かってしまったのだ。僕の肩の位置にある泥の跡を実際に見ているのにどうしても信じられない。
呆然としつつ玄関に向かうとガラスにこんな張り紙があった。

坂本サトルオフィシャルブログ「日々の営み public」Powered by Ameba

このうちに住む3人の娘さん(ヒゲオくんのお兄さんのお子さん)達が書いてくれたのだ。
それを見て、ようやく我に返る。


仏間にお邪魔すると、とても津波で浸水したとは思えないほど家の中は綺麗に片付いていた。
「祖母が2週間前に亡くなりまして、通夜をこの家でやってあげたくて、そこにあわせて急いで直したんです」と、そのご実家にお住まいのヒゲオくんのお兄さんが話してくれた。
「寝たきりで1階に寝てたんですけど、エアマットレスに寝ていたお陰でマットレスが波に浮きまして、それで津波の時は助かったんです」
「2週間前に亡くなってしまったんですけど、津波がなかったらもう少し長生きしたはずです」


この町の住民の大切な足である「JR気仙沼線」は線路の多くが津波に流されてしまった。さらに幹線道路である国道45号線にかかる橋も流された。これまでは数分で行けていた川の向こう岸にも細い道を何キロも迂回して行かなければならない。

電車通学していたこの家の長女のリナちゃんは高校までバスで1時間半かけて通わなければならなくなった。あまりにも自宅が遠い生徒のために学校に宿泊施設が作られ、そこに寝泊まりしながら学校に通う友人もいるそうだ。
しっかりした口調で次々と学校のことを伝えてくれるリナちゃん。それまで照れくさそうにしていたのが震災の話しをした途端パキッと僕の目を見て話すようになるのが印象的だった。

高校3年生だという彼女に「卒業したらどうするの?」と尋ねると「私は大学に行こうと思っています。…でも…家を流されてしまった友達は進学したいけど、そんなお金はなくなってしまったし、かといって地元に就職口もないし…どうしようって言ってます」と困ったように答えてくれた。
子ども達の未来、進学、就職…。被災地には次から次へと難問が待ち構えているのだ。


時間が来た。
まずは避難所ライブ1本目、小泉中学校へと向かう。
すぐ川の向こうに見えているが、流されなかった橋が架かっている所まで大きく迂回しなければならない。

$坂本サトルオフィシャルブログ「日々の営み public」Powered by Ameba

途中で見たJR気仙沼線。高さ約10メートルほどの高架があちこちで崩落しているのだが、ここにはよく見ると線路の上に家が乗っている。
さっきリナちゃんが「同じクラスの友達の家が線路の上に乗っちゃって、荷物を取りにも行けないって文句言ってました」と話してくれたのだが、その時はその意味が正直よくわからなかった。そうか、これがそのお友達の家なんだね。

線路もこの通り。

$坂本サトルオフィシャルブログ「日々の営み public」Powered by Ameba

$坂本サトルオフィシャルブログ「日々の営み public」Powered by Ameba

「OK」は「ここは捜索済み」というサインだということだった。


1本目のライブ会場となった小泉中学校はちょっとややこしいことになっていた。
先週、仮設住宅への入居を決める抽選会の発表があった。
当たれば仮設とは言え新しい家。外ればまたしばらく避難所での生活が続く。当たった人とハズれた人の気持ちのギャップは当事者ではない僕にも想像がつく。
さらに、この小泉中学校の校庭にも仮設住宅が建っていて、この週末から引っ越しが始まってしまった。要するに「抽選にハズれた人が外に出れば抽選に当たった人が暮らす仮設住宅が目の前に建っている」というわけだ。
避難所ライブということで、仮設住宅に引っ越した皆さんも何人か集まってくれた。当たった人とハズれた人が混在する会場は、何と言えばいいか、気持ちが1つになりにくいような印象を受けた。

$坂本サトルオフィシャルブログ「日々の営み public」Powered by Ameba

体育館の半分は避難所で暮らしている皆さんが寝泊まりしている生活の場で、そこから静かに聴いてくれていた人も多かった。簡単な図で説明する。

$坂本サトルオフィシャルブログ「日々の営み public」Powered by Ameba

僕のとなりで遊んでいた子ども達もライブが始まると静かに遊んでくれるようになって、最後の曲を歌う頃にはちゃんと歌を聴いてくれた。

様々な感情や想いが渦巻く中、それでもライブを楽しんでくれたように思えてホッとする。


サイン会も終わり、次の会場に移動しようとした時に1人の女の子がすーっと近づいて来て小さな声で「サインして下さい」と言った。ひょっとして…と思って「仮設住宅に住んでるの?」と聞くと「はい」と小さく答えた。
同級生でまだ避難所暮らしの子もいるだろう。子供なりに考えて、そして気を遣って行動しなければならない場面もあるだろう。当たった人たちも複雑な思いなのだ。


帰り際に責任者の方から「感謝の受領証」と書かれた書類を受けとった。

$坂本サトルオフィシャルブログ「日々の営み public」Powered by Ameba

「この度は、平成23年東北地方太平洋沖地震の被災に際しまして、心温まるご支援を頂き誠にありがとうございます。今私たちにできることは、一枚の受領証をお渡しすることだけですが、住民一同の『ありがとう』の心を込めて『感謝の受領証』として発行させていただきます。」
と書かれている。

ギターケースに入れて持ち歩くことにしよう。


さあ次の会場へ!
(→その2へ)


いいね!した人  |  コメント(5)  |  リブログ(0)

坂本サトルさんの読者になろう

ブログの更新情報が受け取れて、アクセスが簡単になります

同じテーマ 「東日本大震災関連」 の記事

コメント

[コメントをする]

5 ■これからも頑張って


これからも
心のケアが何年も必要だと思います。
音楽で癒してあげてください。
お願いします^^



4 ■坂本さん感謝!!

周知不足でしたが、すばらしいメッセージ感動しました。ヒゲオ同級生一同感謝感激です。またの再開を楽しみにしています。

3 ■最初は…厳しい感じもありましたよねぇ…

仮設住宅と、避難所の向かい合わせは…なんとも言えない雰囲気でしたけど…子供やおばちゃん達が、ライブ終わって、サイン貰ってる時は…良い感じに笑顔になり元気になってましたよね♪
やはり、うたのチカラは凄いですよ!
サトルさんのチカラでしょうね♪

ちなみに…うさぎさんは…すぅ~…と…いつの間にかいました(笑)

2 ■無題

確かに会場の雰囲気は?って感じでしたね。あの状況なら仕方がないかも知れませんが…。私も会場に入って良いものか戸惑いながら扉を開けました。

1 ■ひげ男の兄より感謝を込めて♪

ひげ男の呼び掛けに応えてくれて、ありがとごさいます。
そして小泉地区に坂本さんの歌声を届けてくれて、ありがとうございます。
感謝の言葉しか出てきません。
三姉妹も大感激していました。
本当に本当にありがとうございます。

コメント投稿

コメントは管理者により確認されています。
掲載されない場合もありますので、あらかじめご了承ください。

Ameba芸能人・有名人ブログ

芸能ブログニュース

      ブログをはじめる

      たくさんの芸能人・有名人が
      書いているAmebaブログを
      無料で簡単にはじめることができます。

      公式トップブロガーへ応募

      多くの方にご紹介したいブログを
      執筆する方を「公式トップブロガー」
      として認定しております。

      芸能人・有名人ブログを開設

      Amebaブログでは、芸能人・有名人ブログを
      ご希望される著名人の方/事務所様を
      随時募集しております。

      Ameba芸能人・有名人ブログ 健全運営のための取り組み
      芸能ブログニュース