「ドラッグラグ」とは、海外で使われている薬が、日本で承認されて使えるようになるまでの時間差のことをいいます。

 

例えば、米国で小児への使用が承認されている40の抗がん剤のうち、日本では24剤(6割)が未承認で、うち16剤は日本では成人向けに承認されているのに小児では認められていないというドラッグラグなどがあります。

小児がんのドラッグ・ラグに挑む 国内未承認も臨床研究 - 日本経済新聞 (nikkei.com)

 

日本で小児向けの承認が遅れる原因としては、「日本は高い薬価がつきにくく、薬の開発費をカバーしにくく、小児の治験を実施できる医療機関が限られるため」とされており、外資だけでなく、日本の製薬会社でも日本より先に海外に承認を取りにいく傾向にあるのが実状です。

 

動物でも「ドラッグラグ」はいくつもありますが、動物の場合は、人と違って公的保険がないため、人用や海外にしかない薬でも、獣医師がその裁量権で取り寄せて使用することができる反面、国内で承認されている動物用医薬品でも、動物病院によってはそれを置いていないところがあります。

 

そのため、獣医療における「ドラッグラグ」は、動物病院マターと考えられます。

 

飼い主の中には、「ネットで評判の薬が、かかりつけの動物病院に置いてないため使えない」といった経験をもつ方もいるかと思います。

 

置いてない理由としては、

1.新発売の薬の情報を獣医師が十分理解できていない、若しくは、獣医師の何らかの意思により、あえて使わない。

2.良さそうな薬と分かっていても、製薬会社や獣医師仲間らとの付き合い上、若しくは、在庫増を嫌気し仕入れない。

3.費用にこだわる飼い主が多い、若しくは、動物病院の利益幅を上げるため、人用の安いジェネリックなどしか使わない方針

4.使ってみたが費用対効果が低い、若しくは副作用の発現頻度が高いなど、薬に何らかの問題がある。

5.知らなかった。

などがあげられます。

 

5は論外として、例えば、犬のクッシング症候群用の錠剤が昨年発売されたにもかかわらず、カプセル剤しか置いてない動物病院は、「2.良さそうな薬と分かっていても、製薬会社や獣医師仲間らとの付き合い上、若しくは、在庫増を嫌気し仕入れない。」が理由かもしれませんし、犬の心不全用のトラセミドは、今年、小さい錠剤が発売されたにもかかわらず、小型犬にも人用のデカい錠剤を砕いて使い続けているのは、「3,費用にこだわる飼い主が多い、若しくは、動物病院の利益幅を上げるため、人用の安いジェネリックなどしか使わない方針」なのかもしれません。

 

使いたい薬がかかりつけの動物病院にない場合、獣医師にストレートにその理由を聞くことをお薦めします。

 

「4.使ってみたが費用対効果が低い、若しくは副作用の発現頻度が高いなど、薬に何らかの問題がある。」以外の理由であれば、通常は、飼い主が希望すれば仕入れてくれ、獣医療における「ドラッグラグ」は解消すると思います。

 

【追伸:ワクについて】

筆者の大切な家族、オキナインコのワクを滞在先の軽井沢でロストしてしまい、ご心配をおかけしています。

動物病院の選び方と諸々 ~ペットと飼い主の幸せのために~ (ameblo.jp)

必死に捜し続けていますが、1カ月半経った今も見つかっておらず、一つの情報も得られていません。

ワクは慎重な性格ですが人懐っこく甘えん坊で、うちに来た客や工事の人の肩にも自分から飛び乗るような子なので、どなたかに助けを求めて保護されていると思っています。

旅行者の多い土地柄、車で遠方に運ばれているかもしれませんし、我々を捜して長野県外まで飛んで行ったかもしれません。

ワクに繋がる情報を入手されましたら、小さなことでも間違いでも構いませんので教えていただけると助かります。

一人でやれることには限りがあり、皆さんが頼りです。

我々の迎えを待っているワクのためにどうか皆さんのお力をお貸しいただきたく、よろしくお願い申し上げます。