太宰治と大宮 | 榊邦彦 OFFICIAL BLOG new

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けれど一方で、言葉や愛がまったく立ち向かうことのできない不安や困難も、
また、存在しないのではないか……僕は、今そう思っている。
『100万分の1の恋人』榊邦彦(新潮社)

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僕が作家を志した大きなきっかけは、太宰治です。
太宰治の『人間失格』を読んだのが一番大きい出来事でした。

今年は太宰治生誕100年ということで、『人間失格』『斜陽』『ヴィヨンの妻』など、映画化が目白押しです。

さて、この『人間失格』、太宰治がその後半を執筆したのは、さいたま県の大宮です。
つまりは、僕の生まれ住んでいる街。
それどころか、彼が寓居していた住所は、僕の実家と近隣なのです。

高校生のときに、そのことを知って以来、その住所表示と名前から、ピンポイントのところを探していました。
「ここかなあ」と思うあたりはあったのですが、はっきりとしたところは分かりませんでした。

ところが、6/18の朝日新聞の埼玉版で、 「太宰が住んだ大宮」を追っている方がいらっしゃることを知って、その方のホームページにアクセスすると……。

「ここから二件奥、現在はブティックになっている」ということで、太宰が寓居していた処のすぐそばの写真まで載っているではありませんか。

な、なんと、僕の家から歩いて一分くらいのところです。
その他にも、彼が当時通っていたお風呂屋さんは、僕も小さい頃、通ったことのあるところですし、太宰が入ったであろう酒屋さんはよく知っているお店です。太宰が当時お世話になっていた病院にも、もちろん通ったことがあります。

太宰治の『人間失格』を知って文学に傾倒した身としては、胸が高鳴ります。
散歩は大好きで、よく自宅周辺を歩きまわるのですが、これからは、新しい楽しみが増えました。

僕の祖父は、駅前で洋品店を開いていたので、もしかしたら、太宰治も入ったかもしれません……。