今日、ひょんなことから、「口笛」の話になった。
僕は口笛が吹けない。
小さい頃、ずいぶん練習したが、結局、吹けるようにならなかった。
その代わりにといっては変だが、舌を利用して「カエル」の声のような変な音は出せる。
〈全然「代わりに」なっていない……〉
小さいころ通っていた床屋さんのオジサンが、飽きないように僕に教えてくれた。
幼稚園のころ、この「カエルもどき音」を出していたところ、そのころ一番、仲の良かった友人が、
「僕もできる」
と言い出した。
なるほど、確かに、おんなじ音だ。
なんだか、二人して、運命の出会いのような気がして、それ以降、いよいよ大親友になってしまった。
お互い何かピンチになったら、この「カエル音」を出して、相手に連絡しようと約束した。
約束しながらも、「聞こえるかなあ」と心配になったりもしていたが……。
今は、別にピンチというわけではないが、久しぶりに「カエル音」を出してみる。
あいつに、聞こえたかなあ。
聞こえるはずないか。
いい気になって続けていたら、ベロが疲れた。