コペンハーゲン訪問記最終回まとめ | ダジャレコーチの独り言

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12月2日(土)、17時過ぎに羽田へ無事帰国。今回のデンマーク訪問での学びを以下記載する。吾輩の主観的な備忘録であるので、あまり参考にはならないかもしれないが、諸兄にはそのあたりご容赦願いたい。

  • コペンハーゲンでは高収入を狙えるため、EU各国、そしてアジアなどからも出稼ぎ労働者がたくさんいそう。ネット情報によればデンマーク就労者数の10%強が外国人。日本は2%強。フィリピン(チボリ公園内レストラン)、ギリシャ(ヴェスターブロ通りホテル清掃係)から出稼ぎの方とお話をした。皆さん英語を勢いよく使っていて、元気ハツラツである。フランクからのルフトで隣だったハンス氏もそんなことを言っていたなぁ。ギリシア在住の彼はギリシア国内でデーター・サイエンティストとして働いているが、収入が全然低く、海外で働くことも視野に入れている。労働流動性がEU国内でも高い。

 

  • 物価は高い。とくにレストランやホテルは現在の円安基調(1ドル140円~150円)では、日本の倍が感覚値。円安だけが要因でもなく、デンマークではサービスや商品の価格を高くし続けて、そうしなかった日本と明らかな差がついてしまったのではないか。これもデンマーク人の高所得の原資になっていると考えれば合理的。日本が孤立している状況とも言える。考えてみれば高所得になれば、税金だって高く取れるわけだし、もっと国全体で値段を高くすることを奨励しても良いのでは? 給料を高くする前の話しではないかと思う。

 

  • 電子決裁しか受入れないお店が殆どで、逆に紙幣・貨幣を受取ってくれたのは、食料品スーパーやクリスマスマーケットの露店くらいであった。滞在したホテルでは小銭も受取ってもらえなかった。2030年にはデンマークは一切の紙幣・貨幣の流通を止める計画で、2017年から新紙幣を発行していない。貨幣もアウトソースして生産している。 2024年7月に新札を発行しようとしている日本とは対照的で各国に売れない印刷技術を磨き続けてもどうか。デンマークは小国だけにリソースがないので選択と集中がはっきりしている。

 

  • スウェーデン精神科医のハンセン氏著のベストセラー、「スマホ脳」、の考え方には明らかに逆方向だが、スマホなしには成り立たない社会になっている。例えば交通料金の支払や各種サービスの支払がすべて電子決済になっている。交通機関の罰金も電子決済なのである。逆にスマホなしで生活しようとしたら至難の技であろう。

 

  • ネット調べだが、日本のマイナンバーカードとデンマークでの同じ主旨のシステムは、CPRナンバー(Central Persons Resistration)。個人情報の管理の効率化と、徴税の効率化を目的に1968年に導入され、10桁の数字に氏名や住所、生年月日、所得、性別、家族構成など個人情報が紐づけられている。CPRナンバーが発行されると配られるコードカードに記載されている番号をログインの際に入力するが、セキュリティ強化のために2023年6月で廃止され、MitIDと呼ばれるスマートフォンのアプリでコードを取得し利用するシステムに2021年から順次移行している。すでに物理的なカードがないのだ。
 
  • このナンバーに紐づいて情報処理は、税金の還付金、児童手当、年金、失業手当、社会福祉費、引越しから医療、さまざまな手続きの一括窓口機能、公的機関との通知をデジタルでやり取りする電子私書箱、医療に関する情報、診察記録や検査結果、病院の予約など可。デンマークは、国連が隔年で発表する世界電子政府ランキングにおいて2020年に世界一に選ばれており、さすがIT先進国である。しかし吾輩は、彼らが小国として生き残るために必要に迫られて進んだのだと感じる。きっとたくさんの失敗はあるのだろうが、それを恐れずにチャレンジした結果なのではないか。
 
  • メトロや鉄道で改札口がない。こんな中で無銭乗車をどう防止するのか超不思議だった。実のところ性善説ではなく性悪説の仕組みが設定されており、かなりの人数の車掌が、怪しい人を抜き打ち検査している。鉄道の地下道はかなり整備、充実している。エレベーターもちょっとすごい速度である。老人大国日本では危険かもしれない。また、表の信号は変るのも早い。老人には住みにくいかも。皆どうしているんだろう?
 
  • 一方で、コペンハーゲンの高齢者の皆さんは、人生を楽しんでいる様子でもあった。夜のレストランで賑やかなグループは高齢者の集まりばかりでとても楽しげである。まさに「男女7人夏物語老齢編」(冬だけど)。若い人は働くために早めに帰宅しているのだろう。こういう老後が待っているなら年を重ねるのもいいなあという感じではある。

 

  • ハイ・ブランドとロー・ブランドの商品の価格帯が、内容が同じものでも3~5倍も違う。例えばビール。ためしにカールスバーグと地ビールのツボルグを飲み比べてみたが両方ともピルスナーでとても美味しかった。ちなみにツボルグはカールスバーグの子会社が生産している。
 
  • 通勤時のラッシュや、自転車通勤などの様子を見る限り、皆さんかなり深刻そうな表情ですごいスピードで動いている。総労働時間が1350時間くらいだそうだが、生産性を上げるために、朝から相当なプレッシャーを感じているに違いない。あのスピード感覚でオフィスでも働いているとするならば、きっと生産性はすごく高いのだろう。無駄口をたたくいとまさえなさそうだが。社会全体がそういう文化ならば、遅くまでオフィスに残ること自体がタブーなのだろうと推察する。自転車は危なく衝突する寸前までいったことも二度三度あった。諸兄もご注意を。

 

  • カストラップ空港は、コペンハーゲン中央駅までわずか15分とアクセスがとても良い。そうしたところでも時間の無駄を省いているのだろう。とにかくできるところの無駄は削ぎ落しているように感じる。成田国際空港が動かせないなら、空港から15分の場所に新東京市(東京ディズニーランド風に)などができてもいいのだろうが、日本でそういう議論はあまり聞かない。
 
  • コペンハーゲンからフランクへ向かう途中の海岸線で並ぶ膨大な数の風力発電所を見た。ちょっと目を疑う程の美しさで、すでにある未来である。自然エネルギーを積極的に使用しているのだろう。また、街並みやビルなどとても美しい外観をしている。見た目もとても大事に手を掛けているのだ。なんだか楽しいし、創造性を刺激される。
 
  • 寒すぎるので、それを楽しむための工夫がいろいろあるように感じる。照明も反射光にしているのはその一つなのではないか。外は零下の世界で建物の中は常温。人々は衣服を着替えるのがとてもうまくて早い。Tシャツになっている人もいる。瞠目。
 
  • デンマークの人たちは、とにかく背がでかく身体がでかい。ネット情報だが、2020年現在で男性の平均は181cm(日本男性は170cm。女性は167cm(日本女性は158㎝)だ。自然環境が過酷だからかもしれない。詳しく学びたい。
 
  • 頼めば親切だが、こちらから助けを求めなければ、気遣いで何かをしてくれるという文化ではない。ホテルのスタッフが吾輩が目の前で運ぶ皿やカップで困っているのにも関わらず目で追いながら何も手助けしてくれなかった。「ヘルプを自分から言い出さない限り、自分でできるだろう!」と判断している。言わなければ伝わらない。

  • 子育ての文化に違いあり。安全を確保して手放している。図書館の子供も乗れるコマは象徴的だった。またデザイン美術館の日本刀の鍔コレクションは日本とデンマークの文化的交流が古くからあったことを理解させてくれた。


以上つらつらと書いてきた。デンマークは美しく学ぶ点も多い国である。しかし個人の体感としてはデンマークを訪問するなら時節は選んだ方が良い。特に六十路が近い諸兄は、お身体を大切に。