⑨こども防災春まつり 啓発棟アトラクション | 堺市の交通まちづくりを考える会

⑨こども防災春まつり 啓発棟アトラクション

 その8では2024年3月20日に行われた「こども防災春まつり」をリポートした。多くの来場者のため見学や体験できなかったアトラクションがあり、翌々日、改めて総合防災センターを体験したのでリポートする。

 

 防災啓発棟入口でこども用の消防服を借り、消防車と救急車の運転席に座ることができる。また百貨店の「屋上遊園地」で昔よく見かけた救急車の「遊具」にも乗れる。もちろんセンター内のアトラクションはすべて無料なので、大量の100円玉は不要だ。
こども用の消防服を借りて消防車と救急車の乗車体験もできる
 
 当センターには3つの事業があり、1)堺市消防隊のスキルアップ、2)大規模災害時のハブ施設、3)ツアー形式で実際に近い災害体験ができることで防災の必要性を実感できる。例えば地震体験や消火体験、煙暗闇避難体験や水圧ドア・水流歩行体験、倒壊模擬家屋を用いた救出体験など実践的な体験型学習施設だ。

 この日は真・体験コースを試した。このコースは地震体験、消化器体験、煙避難体験、AEDを用いた応急救護体験など防災の基本を学ぶコース。南海トラフ大地震や上町断層帯地震を再現した地震体験はリアルで刺激が強かった。消化器体験、煙避難体験、応急救護体験では見て聞いて知っているはずのことが、炎や煙、負傷者を眼の前にすると、こんなにもうまくできないことを認識できた。百聞は一見(一験)にしかず。家族や知人、会社やサークル仲間を誘って試してもらいたいお勧めのコースだ。実は3月26日にもツアーを予約をした。

↑真・体験コースは初めての方におすすめ
 

↑平均8分の救急救命士(救急車)の到着を待つ間、胸部圧迫で応急救護の初動を行ない、AEDの利用が加わればかなり高い確率で救命できるようだ。胸部圧迫は蘇生するまで絶え間なく続けなければならず、かなりの腕力持続力が求められる。数名で交代するチームワークが必要だ。最寄りの消防署で誰でも応急救護を学べるようで、改めて習いたい。

 

↑体験コースの最後には復習クイズがあり、最後まで楽しめる。

 

↑14年前の前竹山市長が初当選してすぐにスキャンダルが発覚した大阪広域水道企業団が製作する「災害用備蓄水」。5年の賞味期限を有するアルミ缶。期限が近づくと市町村のイベントなどでサンプルとして無料配布されることがある。堺市においてはこちらを参考に。

 

  また防災啓発棟ホールには災害に関する、まさに巨大な教本が展示されている。地味だがこのセンターの目玉アトラクションといっても差し支えない出来栄えだ。

 

↑地震のメカニズムと堺市で起こる南海トラフ大地震や北大阪から紀伊山脈に続く上町台地に起因する上町断層帯地震は身近に感じるプレゼン方法でわかりやすい。

※復旧日数が短いのではと疑問が湧き、その根拠を副所長に確認中

 

↑過去の地震や津波から学んだ経験を活用し、堺市における具体的な対応が示される。南海トラフ大地震発生の場合、堺市への津波到達時間は100分後と示されているが、海底地滑りの場合は到達まで数分かもしれない。

 

↑大雨洪水警報を最近良く耳にするので、改めて勉強になる。

 

↑南区で頻繁な土砂崩れもわかりやすい具体例で学べる

 

↑2018年の台風被害は記憶に新しく、身近な教本といった感じ

 

↑自宅の使用可否によっては自宅避難が基本となる避難計画。避難所の数や災害用物資は市民全員の分を揃えていない。災害用伝言ダイヤル171ダイヤルはこちら。現在は能登半島地震により171サービス提供中だが、控えください。体験利用はこちら

※避難所への登録がないと公私食料支援を受けられなかった石巻市の例もあるので、堺市においてどうなるのかは副所長に問い合わせ中

 

⚫︎シリアスな映画紹介 佐藤健、阿部寛 「護られなかった者たちへ」2021

 

⚫︎コメディな映画紹介 小日向文世、深津絵里「サバイバルファミリー」2017

 

 

 

 

↑家屋の地震対策としてはまず第1に家具の転倒防止だ。阪神・淡路大震災の多くは圧死だった。

 

↑防災グッズの必要分や非常食が参考になる。

↑非常食が不足することが明らかだ。東日本大震災で政府が被災地に送った食料は発災後1週間で100万食ほどなので1食にも満たない。南海トラフ大地震の被災規模は防衛省資料ではその10倍〜100倍なので、東日本大震災の1/100〜1/10程度、つまり政府からの食料支援を受けられない

※石巻支援ボランティアの際、市役所職員はビスケット1箱で1週間を過ごした。

 

 堺市総合防災センターはじめ数か所の備蓄量では、指定避難所や区役所に送る食料は2日分ほど。これは自宅避難者を除く場合なので、堺市民全員に非常食を支給すると想定するとたった0.5食分だ。上記の通り、その後の国の支援物資もないものと考えると、公助を当てにすることを諦めざるを得ない。国や自治体は責任問題を避けるためか、公助だけで対応できない事実を周知しない。国民の命や財産を守ることが国や自治体の責務であるにも関わらず、問題を先送りしているのが日本の防災問題だ。公助は当てにできず、自助しかないことがこのパネルでわかる。この支援物資や非常食、避難所が足らない事実を誰かが悪者になってでも明らかにしなければならないのではないか。
 

↑救援物資や非常食は届かない

 

↑非常食と同じくらいに重要な排泄問題。被災地での性被害や児童虐待の課題も含め、共助の重要性をもっと大きく紙面を割いて欲しいかった。生きるか死ぬかの被災時を考えるとき、臭いものに蓋をしてはならない。

 
 以上のように、当センターは大人から子どもまで楽しみながら防災を学べる施設だった。今回の防災まつりイベントでたくさんの集客をすることで総合防災センターの存在を知ってもらい、改めて来所した際に防災の正しい知識となによりも危機感を身に着けてもらいたいと副所長の弁。たしかに納得できた。
 支援ボランティアで大切なことは被災者に寄り添うこと。自身の経験上、それは「自分だったら」と考えることだ。防災においても同じ。いつかわからないが「自分や家族は必ず被災する」と考えて自覚、行動することが大事なことに思う。
 
 
 

【消防本部】

堺市堺区大浜南町3丁2番5号

電話番号:072-238-0119(代表)

総務課担当 消防司令 太田課長補佐

【総合防災センター】

堺美原区美原区阿弥129-4

電話番号:072-363-2225

予防部総合防災センター副所長 消防司令 梅崎課長補佐