最近の気球事業計画について堺市に聞いてみた その2 | 堺市の交通まちづくりを考える会

最近の気球事業計画について堺市に聞いてみた その2

 今回の記事が実質「ガス気球運行事業についてもう少し詳しく」の続編となる。以下の令和4年度事務事業評価シートを理解することでガス気球事業のあらましが理解できると思い、観光推進課にメールや対面ヒヤリングを行った。

 

 

 7項の目的には「眺望できる」と記されており、「鍵穴型に見える」ことを目的にはしていないことがわかる。このあたりは堺市でも100m上空から仁徳天皇陵が鍵穴型に見えないことをドローン撮影画像にて確認しているとのこと。

 

 8項の内容には「こどもたちへの搭乗体験」と記されており、子どもに古墳の雄大さを体験してもらうと説明を受けた。また堺市内の小学3〜6年生約27,000名を対象らしく、毎年予定するのかは質していない。

 

 9項の支出先はプロポーザルにて決定した共同事業者の「アドバンス株式会社」で、ガス気球のホームページで今でも「鍵穴型」に見えそうな広告内容を改めない事業者だ。

 

 12項の利用者数には令和4年度に80,000名を予定していたので、内27,000名は上述堺市内の小学生で、残り53,000名が一般客を想定していたことになる。関連記事でも記したとおり、台風など大雨風(風速35m以上は運行不可)の場合は安全のためにヘリウムガスを一旦放出し、風が止んだら注入する必要を考慮し、主観で年間7割ほどが運行可能だとすると年間365×0.7=255日の運行が可能、1日8時間営業で1日13回の運行ができ、ガス気球にぶら下がるゴンドラが30人乗りとすると、255×13×30=99,450(名)が年間最大利用者数となる。

 そうすると堺市の令和4年度事務事業評価シートから年間利用者80,000名を年間最大利用者数で割ると、堺市は回転率80.4%を想定していることになる。つまり朝から晩まで平日休日に関わらず小雨くらいなら1日13回運行するガス気球のゴンドラに、毎回平均24名の観光客と小学生が搭乗することになる。不可能と考えるのは筆者だけか?会場の大仙公園はUSJやTDLではない。

 

 13項の事業コストとして財源内訳には「府支出金」と記されており、正式には「大阪府市町村等観光振興支援事業補助金」といい、今回堺市は補助対象経費の1/2以内という規定に従い、12,225,000円もらって自前の「堺市世界遺産保全活用推進基金」から14,846,000円支出した。ちなみにこの基金の令和3年度末残高は3億2200万円あまり。

 これら府支出金とその他(基金)の合計2,700万円をガス気球の会場整備代として共同事業者のアドバンス株式会社に支出した。関連記事

 余談になるが、永藤堺市長は赤字どころか大黒字の堺市を大赤字だとして緊急事態宣言を発し、気球をはじめとする公共工事などには潤沢に予算行使する一方で福祉予算を切り捨てた経緯がある。アホだな。参考資料(11)基金残高(東日本大震災分を含む)に係る経年分析(市町村)の財政調整基金(何名目にでも使える便利な基金)の急激な積み上げをして単年度予算を赤字にすることで財政緊急事態宣言を発したようだ。

 また令和4年の当初予算として計上した緑囲みについては、後述16項の事業人合計は合うが個別の数字は異なる。全くわからないので次回改めて質問することにする。

 

 14項の人件費は堺市職員の給与らしい。

 

 15項の年間経費4350万円を使って未だにガス気球は上がるどころか萎んで撤去されている。

 

 16項の事業費の内訳として「運行検証経費」と記されており、「ガス気球運行に関する意識や運行開始後の生活環境への影響をはじめ、気球の搭乗による世界遺産の価値・魅力の理解度の変化について調査する対面アンケート等の実施と、その調査結果の集計や分析を行う業務の経費」らしいが、行政言葉のためあまりピンとこない。どうやって調査してそれがどのように定量的なのか疑問がのこる。

 

 また16項の事業費の内訳として「子ども経費」と記されており、「世界遺産百舌鳥・古市古墳群を後世に継承する機運を醸成するため、堺市在住の小学3年生から小学6年生約27,000名の児童を対象として、ガス気球に搭乗できる機会を提供するための経費」で、700円/名で1,954万円らしい。つまり堺市は事業者のアドバンス株式会社に搭乗料の半額にあたる700円/名合計1,954万円支払い、事業者が堺市に支払う後述のガス気球料金収入の10%に当たる納付金1,816万円とほぼ相殺になる。年度を重ねるごとに利用数も減るので、堺市が事業者に支払う「子ども経費」がガス気球料金収入の10%を上回って事業者収入は確保される仕組みのようだ。小学生が搭乗しようがしよまいが年間の固定に含まれるので事業者としては痛くも痒くもない都合のいいお客だ。

 これは毎年実施して小学3年生は卒業するまで4回もガス気球に搭乗するのか?古墳の継承よりもガス気球に興味が移らないのか心配だ。

 

 また16項の事業費の内訳として「世界遺産保全活用推進基金」と記されており、令和4年12月12日 産業環境委員会議事録では、「ガス気球運営事業者が見込んでおります料金収入の10%に当たる納付金1,816万円のほか、ふるさと納税による寄附金で1,485万7,000円を募集することを目標として積算をしておりました。」と記されている。やけに細かい皮算用、その根拠に多少興味はある。要は事業者から売上をピンハネして、ふるさと納税の返礼品に搭乗券を活用するということのようだ。上述8万人の利用数があればこれくらいの売上になるので数字的に間違いではない。年度を重ねるごとに利用数も減るので、年間売上1億8,000万円の維持はかなり厳しいだろう。事業者の心配をしても仕方ないが、黒字化できるのか?

 1,485万7,000円を募集とは何人分で一人いくらと換算したのだろうか?

 

 まだわからないことがあるので、以下の疑問を質する予定。観光推進課の方が読まれていたらメールで教えてほしい。

  1. 小学生は毎年搭乗するのか?
  2. 令和4年度の財源内訳と事業費内訳の違いについて
  3. ふるさと納税で何人がいくらで返礼品購入納税する予算なのか?
その3に続く