誰にでも、自分自身と切り離せない風景があると思います。
私にも子供のころに育った町や思い出のある場所の風景があって、
ふとしたきっかけで鮮やかに蘇ります。
2011年3月11日の東日本大震災で原子力発電所の事故が起き、
大気中に放出された放射性物質は風や雨で広がりました。
家族や友達と遊んだ公園は、放射線量が多く観測されたと伝わりました。
水をひいた池と並木がきれいな自然の多い公園で、
外観も、感覚を澄ませても、景色は何も変わらないのに、まったく違う場所になってしまったことに、
うまく気持ちの整理がつきませんでした。
もう行けなくなってしまうのかと心配がよぎりましたけど、そういうことにはなっていません。
さまざまな感情の落としどころはなく、なんだかおかしな世界だとすごく不思議な感じがしていて、
相変わらずきれいな自然の表面の向こう側が幾重にもねじれているようで
それがとてもシュールな光景として目に映るのです。