私たちsakaguraは絵本専門士2人のユニットです。
日々、働く大人にも絵本を届けたいと願い、活動をしています。
西日本を中心とした豪雨の被害。連日の猛暑。
気候変動への懸念が高まる中、企業や機関投資家の間でもさまざまな取り組みが始まっています。
気候変動は一企業、一地域だけが取り組んで解決するものではなく、地球全体での取り組む必要があるため、さまざまなグローバルなイニシアチブが始動しています。
自社で使用するエネルギーを100%再生可能エネルギーにすることにコミットする企業が参加するRE100。
世界の運用資産の約43%を占める機関投資家が終結し、CO2排出量の多い企業に働きかけを行うClimate Action 100+など。
そんなことや、先週のsakaguraの「かたあしだちょうのエルフ」、先々週の「やまからにげてきた・ごみをぽいぽい」のブックレビューから、つぎは、この絵本を紹介したくなりました。
10年以上前の絵本ですが、この1年ほどの間に、企業や機関投資家主導の低炭素社会・脱炭素社会への流れが急激に加速するのを実感するなかで、「働くあなたのための絵本ブログ」の読者のみなさんにも、こんな本があることを知って欲しいと思いました。
「ハチドリのひとしずく いま、私にできること」
監修・辻信一
光文社 2005年
文化人類学者の辻信一さんが、南米の先住民族から聞いたお話に感銘をうけ、より多くの人にそれを伝えようとするなかで、書籍としてまとめたものです。
森が火事になって生き物たちが我先にと逃げていくなかで、たった一羽、クリキンディという名前のハチドリだけは、いったりきたり、くちばしで水を運んで、一滴づつ火のうえに水を落としています。それをみて「そんなことをして何になるのだ」と笑う動物たち。「私は、私にできることをしているだけ」と答えるクリキンディ。
わずか17行。
南米先住民に伝わるお話に、カナダ人先住民族のマイケル・ニコル・ヤクラナスさんが絵をつけました。
わずか6場面。
うち5場面は、火事をあらわす朱色の画面に、黒だけで動物たちが、白で水滴が描かれています。そして、最後の1場面は、見てのお楽しみ!
気候変動というグローバルな課題に取り組んでいく原点になる気持ちを思い出させてくれる絵本だと思います。