雪組公演『CAPTAIN NEMO…ネモ船長と神秘の島…』
キャプテンと聞くと頭の中に
キャプテーン ダンテスっ!キャプテーン ダンテスっ!
と浮かぶんですが、今回はキャプテンネモさんです
それは『海底二万里』のネモ船長を主人公とした宝塚オリジナルストーリー。
『海底二万里』あるいは『海底二万マイル』
それに領海200海里がぐちゃぐちゃになって、うっかり「海底二百マイリ」といろいろ間違えて口走るのは私です
ちなみに『海底二万海里』という邦題も存在するとか。
なお
二万里=約78,545.5km
二万海里=約37,040.0km
二万マイル=約32,186.9km
だそうです。
雑っ!
二万里と二万マイルなんて倍以上違うじゃん
ま、そんな感じで(どんな感じで?)
雪組公演『CAPTAIN NEMO…ネモ船長と神秘の島…』もいろいろと、、、ええ、、、雑というか、、、
花組の『邪馬台国の風』では、脚本に問題がどーやこーやという話題が出ていましたが、
脚本に問題ありという意味なら、
邪馬台国よりも
断然こっちの方が深刻でございます。。。
※そもそも私は、邪馬台国に関しては演出に問題を感じているものの、脚本(東京版)には問題を感じていませんし。
私は原作を読んでいないので、あ!舞台は島なんだ!とか思ったんですが、これはネモ船長のその後を描いた『神秘の島』にあるようですね。海底洞窟に潜水艦を停泊させて島で余生を過ごしたって。
それで舞台は島なわけみたいです。トゲトゲはしてるけど、なんかかわいいデザインの潜水艦ノーチラス号も出てきます。
そんなオリジナルストーリーです。
余生というほど年はとっていません
観に行ったのは8月31日(木)午前11時公演。お席は最後列。
日本青年館。
1階にコンビニできました!
2階席ホワイエにドリンクバーできました!(CLOSEだったけど)
ホワイエにベンチや椅子が置かれるようになりました!
1階のスタッフがエレベーターを大きな声でご案内するようになりました!
そして2階席の最大の問題点、
落下防止柵が開演中は外されるようになりました!(最両端を残して)
それから洗面所のハンドソープがきちんとセットされていました。(当たり前)
なんか頑張っている色がアリアリと見えるのが面白かったです。
さて。
とりあえず、本公演は
咲ちゃん(彩風咲奈)の素敵さを
存分に堪能すべし!
咲ちゃんの物理的及び感覚的デカさに惚れ惚れすべし!
金髪ロン毛、ロングコートの軍服、眉間のシワ、その辺を愛でるべし!
※なお、ほとんど笑いません。
でも、まあ、とにかくひたすらカッコいいので、それだけで満足して帰るべし!
な、感じです
それから、
みつる(華形ひかる)の温かみあふれる麗しさに、
あーさ(朝美絢)の苦虫を噛み潰したような顔と軍服姿に、
ひとこ(永久輝せあ)の役柄の猛烈な美味しさに、
みちるちゃん(彩みちる)の落ち着きすら感じる上手さに、
潤花ちゃんの右から見ても左から見てもたまらん愛らしさに、
そして、咲ちゃんの周りを取り囲む野郎どものかわいくカッコいい姿に
ひたすら浸るべし!!
な、感じです
私は眞ノ宮るいくんの金髪ベリーショートにやられました
えーと、、、
ここから先は、観てない人は、え?そうなんだ!と現場で見て感じて欲しいオチもあるので、読まない方がいいような気もしなくもないです。。。
ポスターや配役を見て「今回はヒロインがいないんだ」と思ったんですが、みちるちゃんが何となくヒロインのような。一応ラブらしき感じで描かれてるし。
とは言っても、みちるちゃん演じるレティシアが、
「ついていきたいの」と言ってネモを見た時、ネモさんってば「え?オレ!?」
みたいな顔してたけど
あの表情、ツボでした
あの瞬間だけネモ船長に血が通ってるような気がする。
でも、フィナーレ(もうフィナーレの話!?)でも、コンビは組んだものの二人きりでデュエットダンスというわけではなかったし、しかもフィナーレの最後は咲ちゃんのソロダンスでした。なんか斬新
やっぱりヒロイン不在作ということになるのかな。
斬新と言えば、本編の終わりも割りと斬新に見えたかな。
迫りくるロシア艦隊。その目の前でノーチラス号を海底火山に突っ込ませて、ノーチラス号はなくなったよ!と見せつけ、ロシア艦隊を引き揚げさせる。
しかも、そこで火山の噴火を誘発して、それでロシア艦隊を蹴散らそうと、そんな作戦。
確かにね、ノーチラス号がなくなったって、そこに島があると知られちゃったわけですから、普通に考えてネモ船長以下戦える皆様がいなくなった島に攻めてきちゃいそうだもんね。正直、噴火が落ち着いた後で攻めてくると思うけどね。いや、噴火した時点で島は大丈夫なのか心配だけどね。
ま、そんな作戦を立てまして、ネモ船長と戦える皆様が全員で潜水艦に乗り込み(特攻なら一人で良くない?って感じですが)、さあ火山に突っ込むぞ!で幕。
幕が降りた後の暗転で、ドカカカドカーーーン!!!と火山噴火の音がして終わりです。
その後の島はね、、、とか、結果ロシア艦隊はね、、、とかは一切なしです。
ネモ船長は失敗しないんです
でも、とりあえず潜水艦なくなったし、軍隊的な皆様もいなくなっちゃったし、、、この後、あの島は本当に大丈夫でしょうか。そわそわ。
(そもそも、男手が少ないと言われている島ですが、いやいや、いるじゃん男手!と思ってたんですよ。でもそうですよね、使えそうな男手はみんなネモ船長と一緒に潜水艦の中ですよね大丈夫でしょうか、この島)
で、ここで話はプロローグに戻りまして。
プロローグの場面は「ポーランド幻影」というのですが、
ネモ船長はポーランド貴族の末裔で、ロシア軍に家を絶たれたそうで(なぜ原作と異なりポーランド貴族の末裔という設定にしているのか、その辺の経緯はプログラムに谷センセーが書かれています)、つまり戦火とか血とかそんなイメージだと思うんですが、真っ赤な服を着た人たちが、白い服を着たネモ船長を囲んで燃えるように踊るんですね。
この真っ赤な踊りが、火山に突っ込んだ後で思い返すとマグマにも見えるんですよ。
だから、ここからまたプロローグにつながっていくように思えるという楽しさもあるんですね。こういう円環系の演出は好きです
えーとね。それでですね。
いろいろ問題はあるんですが、まず、何でもできちゃうネモ船長ね。
潜水艦の中でパイプオルガンを弾くわけですが、
レティシアとレティシアパパが二人きりで話し始めると、
なぜかネモ船長が
BGMを弾いてくれるというね。
しかも毎回ね。 無表情でね。淡々とね。
その上話も聞いてるっていうね。
何だろう、、、1回目でちょっと謎だったのに、2回目にはそれが面白くなってくる。。。
ところで、この潜水艦にレティシアは、ラニをつけてやってきて乗り込んじゃうんですが、、、ラニをつけて中まで入れるかはですが置いといて、、、これ、観てる方に「今潜水艦の中ですよー」って言わずに、いきなり「この船が」ってサラリとセリフに混ぜたでしょ。
「船?ここは島だよね。島じゃなくて??」って思いました
もう少し話が進んで「あ!ここって潜水艦の中で、船ってそういう意味かぁ!」と判明。私の聞き逃しかなぁ。潜水艦に潜り込んじゃったよって、先に教えてくりよん
見た目で察しろって?前情報抜きで察するのは難しいよ。だって機械系のレバーとかが並んでる横にパイプオルガンがあるんだよ。何これ、どこだよ!って思うよ。。。
で、その後、この潜水艦の隠し方とかが判明したおかげでわかったのは、
最初の洞窟シーンで、ひとことあーさが出口がひとつしかないって言っていたのに、やけにいろんな人があちこちから登場するなあと思ったら、隠し扉があったってことですね・・・ですよね??
その辺が不安になる脚本なんだよー!!
漁船に見せかけたロシアの船の船長さん、、、妻を連れて偵察に来てるのかよ!とかさ
何で、どの流れで、あーさと潤花ちゃんの間に何とな~くハートらしきものが生まれるようになってるんだよ!とかさ。(ま、宝塚だからどこでラブが生まれても別にいいけど)
ところで、ネモ船長が自分のあとをあーさ演じるラヴロック少佐に任せたのは、やっぱり人をまとめる立場にいた人間だからかなぁ。
でもあの時点では、人の気持ちを考えない自分勝手な頑固者状態だし、島での人望はゼロだし、嫌われ者だし、、、その殻を破らせるために少佐に頼んだのかなぁ。
私だったらみつるに頼むぞ
そして、基本的に島の人は超いい人の集まりで、ネモ船長のもと「罪を憎んで人を憎まず」精神でやっていっているというのはわかるんですが、ひとこ演じるシリルを許すの猛烈に早くない?
ネモ船長を刺したヴェロニカは、ネモ船長は元気になったのに、でもヴェロニカから頑張って島民に話しかけにいかないと誰も構ってくれないくらいの状態だったのに(いや、それが普通)
シリルなんて、島そのものの存続を揺るがすくらい、そして結果としてネモ船長たちとノーチラス号を失う事態になるくらい大変なことをしでかしてるのに、しょぼぼんと落ち込んだだけで、みんな「もういいよ、君ももう家族っ!」みたいになっちゃって。おい、マジかよ
ひとこがイケメンだからって!!
わかるけど!
イケメンは正義だけど!!
ヴェロニカは苦労したぞ!!
あ、ネモ船長が自ら深く刺されに行ったのが謎という感想を見かけましたが、ここは私、謎じゃないです。
ヴェロニカの憎しみや悲しみを理解し、「ほら、これで満足だろう?」みたいなことなのかなと思いました。そこで憎しみと悲しみを発散させて、そしてモヤモヤをなくした上で改めて家族として迎えるということなのかなと。。。
そして、大問題というか、ムズムズしすぎてもはや衝撃なのはアレですよ。
最後の
「ラーラララララーララYES」
ですよ。
この島の人たちは「ラーララ」とラで綴るモールス信号を覚えるんですね。 きっと、世界各国から人が集まっているから、ネモ船長は
ラララ・モールスをマトカの共通語にしよう!と考えているのでしょう。
で、潤花ちゃん演じるラニ。
彼女はインド人ですが、登場してすぐにカタコトとはいえレティシアと、まあ恐らくは英語で、会話をするんです。
YESくらいなら絶対に言える。。。
てゆーか、モールスをやった上で言ってる。。。
これね、
ラニが全然話せないとか、もしくはラニがショックのあまり言葉を失っているとか、そんな前提があったら結構感動したと思うんですよ。
「あ!ラニが!ラニがしゃべった!」とか「ラニと初めて意思疎通ができた!!」とか。
でも、ラニとはいきなりしゃべったし、なんていうかホラ・・・YESくらいなら絶対に言えるし。。。ねぇ。
普通に言えよって思っちゃうじゃん。。。
せっかくのラララ・モールスが意味不明な感じになっちゃって、何でこんなの覚えさせられてるの状態で台無しじゃん。。。
そして、
大勢でやる「ラーラララララーララYES」
怖いよ
まあね、狭い島で、ある程度の思想を共有して、しかもそれは船長の思想で、みんなが船長にうっとりべったりで、
宗教的な雰囲気になるのは当たり前なんですけどね
そんな脚本の中、
きちんといい感じに描かれていたのはひとこです
最初は、軽くておしゃべりで好奇心旺盛に何にでも首を突っ込むキャラクターがすごく印象深くなるように描かれていて、
そして、よくぞ変貌しました!びっくりした
この驚きは本当に良かった。
そして、お酒をねだるのも何気なく見ていたけど、ちゃんと明確な理由があって、「あ!すごい!」って思った。良かった
通りでね、この人ってイタリア人のくせに全然女を口説かないなぁ・・・と思っていたのよ。謎が解けましたスッキリ
そんなわけで、脚本のいい部分はすべてシリルに行ったと言っていいかと思います
いやー・・・なんだろうね。
もう1回ものすごく寄り添って観たら、すべてに意味があるのだ!と思って見たら、原作を読んでから見たら、宗教的側面を受け入れてみたら、、、何かこう新発見があったり、理由となる心情表現が見えたりするのかもしれない、、、しれないんですけどね、、、なんていうかね、もう1回観る気があんまりしない。
どうせ、また不思議ワールドに連れていかれるだけだし
ま、チケット持ってないけどね