問題を見て思ったこと![]()
問題の途中までは強盗の暴行の判例(最判昭61.11.18 百選Ⅱ 第7版 〔39〕)通りの内容だったのでラッキーと思ったが,後半部分は事案が異なっていた。なお,後々知ったことだが,本問は,昨年中央大学に移った井田先生の共著「刑法事例演習教材」の問題18(キング・オブ・アフリカ)に類似した問題である。
答案とは関係ないが,乙が甲の部屋へなぜ入ってこれたのか不思議だった。オートロックの部屋じゃなかったってこと?
答案![]()
第1 設問1
1 甲は,覚せい剤を取得したことについて窃盗罪(刑法(以下,略)235条)か詐欺罪(246条1項)のどちらの罪責を負うか。
2 この点,窃盗罪と詐欺罪は,財物取得時に被害者に占有があるかによって区別すべきである。すなわち,占有が未だにある場合には窃盗罪,既にない場合には詐欺罪とすべきである。
本問では,確かに,乙が甲に覚せい剤を渡した行為を処分行為と見て,詐欺罪が成立するとする見解もある。
しかし,乙は,甲から下の階に買主がいることを伝えられたため「早くしろよ」ともう仕向けた。そうであれば,この時点で乙が甲に覚せい剤を取得させる意思はなく,一時的に貸す意思しかないと評価できる。したがって,この時点では,まだ乙に占有があるため,窃盗罪を検討すべきである。
3(1) 覚せい剤は「他人の財物」に当たる。
(2) では,「窃取」はあるか,窃盗が未遂か既遂かが問題となる。
「窃取」とは財物に対する占有を支配することをいう。
本問では,甲は,覚せい剤をジュラルミンケースに入れている。このケースはX組本部の特殊なキーを使わないと開かないため,第三者が容易に開けられるものではない。したがって,このケースに入れた時点で,甲は覚せい剤の占有を支配しているといえ,「窃取」に当たる。
(3) そして,窃盗の故意もある。
(4) したがって,窃盗罪が成立する。
4 なお,判例は詐欺罪又は窃盗罪が成立するとしているが,これは構成要件を曖昧にするため妥当ではない。
第2 設問2
1 乙は強盗罪(236条1項)の罪責を負わないか。
2(1) 「暴行」とは反抗を抑圧するに足りるものをいうところ,乙は,甲の顔面を強く殴り身動きを出来ないようにしているため,「暴行」に当たる。そして,暴行を手段として,覚せい剤を奪っている。
(2) もっとも,覚せい剤は元々は乙の物であったため,「他人の財物」といえるか。
この点,財産秩序を保護すべく占有を保護する必要があるので,財物とは占有をいいうと考える。
(3) 次に,覚せい剤は法禁物であり「財物」に当たらないのではないかが問題となるが,法禁物も没収によらなければ奪われないという限度で保護される。
したがって,強盗罪が成立する。
(4) また,5000万円については,未必の故意があるので,ケース内に5000万円が入っていれば強盗罪が成立する。
以上
反省![]()
全体
・刑法は答案用紙がオモテ面のみだと分かっていたものの,設問1を書きすぎて,設問2に残されているのは6行のみになってしまった。
・分量のミス,事案の分析ミス,論述の不正確性も多くあり,刑法が全科目中一番評価が悪いのではないかと思う。
設問1
・法禁物である覚せい剤の窃盗の成否について書くのを忘れてしまった。
・問題文には「異説を批判しながら」とあるが,設問1で見解が分かれるのってあったっけ?判例は占有の有無の点で詐欺罪か窃盗罪かの悩みを見せているけれども,それ以外には見解が分かれる部分が分からなかった。
設問2
・ジュラルミンケース自体は甲の物なので,これを奪った行為には問題なく強盗罪が認められるとすべきだった。
・甲の犯行計画(覚せい剤を下の階に持って行き,ケースに隠して,乙には無害な粉末を渡して,逃げる)からすれば,そもそも5000万円はホテルに持ってきてないと考えるのが素直な事案分析だった、そうであれば,未必の故意がある5000万円の強盗については客観的構成要件がないため犯罪は成立しないとすべきだった。
・強盗のTbで満足してしまったが、友人によれば,Rwで自救行為を検討したとかしないとか。確かに,自救行為の要件①
・罪数は時間がなくて書けなかった。