問題を見て思ったこと![]()
・捜査分野のみの出題。
・捜査①は現行犯逮捕(準現行犯逮捕)の問題なので,29年予備試験の刑訴と一部かぶっていた。
答案![]()
1 ①の適法性について
Kは甲を準現行犯逮捕(刑事訴訟法(以下,略)212条2項)している。かかる逮捕は適法か。
(1) 現行犯逮捕の要件は①同条2項各号に該当すること,②「罪を行い終わつってから間がないと明らかに認められるとき」,すなわち,時間的場所的接着性及び犯人と犯罪の明白性である。また,通常逮捕との均衡を図るため③逮捕の必要性(199条2項)も要件となる。
(2)ア まず,「贓物…を所持しているとき」(2号)に当たるか問題になるが,Kが甲を発見したとき,甲は,長財布から現金を抜き取り別の財布に入れていた。しかし,同一人が2つの財布を持つことは不自然なことではないし,甲のかかる行為を客観的に見てその長財布が盗んだ物であるかは不明である。したがって,2号には当たらない。
もっとも,甲の薬指には血が付いているため,「犯罪の顕著な証跡」(3号)に当たる。
イ 次に時間的場所的接着性についてみると,甲を逮捕したのは犯罪発生から約20分後という比較的短く,逮捕した場所も犯行現場と派出所の中間地点であるからそこまで遠くないと考えられる。したがっって,時間的場所的接着性が認められる。
ウ さらに,犯罪と犯人の明白性について検討する。準現行犯逮捕が無令状で許容される趣旨は,誤認逮捕のおそれが少なく犯罪の明白性が高いからである。そこで,犯罪と犯人の明白性については,212条2項各号要件と相関的に判断すべきである。
本問では,3号に該当するが,3号のみでは犯人の明白性は弱いため,犯罪と犯人の明白性の要件は厳格に判断すべきである。
まず,平成29年4月26日午前1時30分頃,Vの顔面を殴打し長財布及び携帯電話を強取する事件が発生しているため,犯罪の明白性は認められる。
また,Vの供述によると,犯人はニット帽を被った男性で髪は短く紫色である。Vは犯人を目の前で見ているし,犯行現場は繁華街であるから夜中といえども明るく見通しも良いと考えられる。よって,Vの供述は信用性がある。そして,Kが逮捕した甲も,ニット帽を被った短い髪の紫色の髪であり供述と一致している。これら全部の要素が一致している者が午前1時という真夜中にいること相当珍しいことであるので,犯人と甲は同一人物である可能性が極めて高い。また,甲は,Vが取られた財布らしき物を所持しているし,Vの供述通り甲の薬指には血がついている。これらを総合すれば,犯人の明白性があるといえる。
したがって,犯罪と犯人の明白性が認められる。
エ 最後に,逮捕の必要性についてみると,甲はKから声をかけられて逃げ出しているから,逃亡のおそれがあるといえる。したがって,逮捕の必要性もある。
(3) 以上より,212条2項に基づく準現行犯逮捕は適法である。
2 ②の適法性について
(1) 本問の差押えは無令状で行なっているので,原則として違法となるとも思える(218条1項)。
(2) もっとも,逮捕に伴う捜索差押え(220条1項2号,3項)として適法とならないか。
まず,甲を適法に準現行犯逮捕しているので「逮捕する場合」に当たる。また,Kは,バーの店内が「逮捕の現場」に当たるかが問題となるところ,交通の妨害になる場合や周囲の混乱を招く場合,被疑者の名誉を害する場合には、逮捕の現場と同視できると解する。さらに,甲の仲間が金属の棒をかざしているので「必要があるとき」に当たる。
(3) 以上より,逮捕に伴う捜索差押えとして適法である。
以上
反省点![]()
・各号要件で,2号と3号しか検討しなかったが,本問では,甲は,警察官に「どうしましたか」と声を掛けられて逃げているため,4号(誰何されて)に当たることを検討すべきだった。コンメンタールで確認したところによると,「犯人が警察官を見て逃げ出した場合も含まれると解される」ので,本問も4号に当たりそう。また,3号は犯罪の「顕著」な証跡なので,薬指に血がついているだけではこれに該当しないだろう。
・設問2は時間がなくて,重要判例を正確に書くことができなかった。