求人募集には、就職サイトや人材エージェントへの依頼といったさまざまな方法があります。
なかでも公共の『ハローワーク(公共職業安定所)』は、手数料が必要ないこともあり、多くの企業が利用しています。
地域ごとに置かれているハローワークでは、地元の人材を探しやすく、最近では窓口に行かなくても新規求人申し込みができる新システムが導入されるなど、利便性も上がっています。
そこで今回は、ハローワークで人材を募集する時のポイントをお伝えします。
 

求職者の知りたい情報を具体的に公開する

  ハローワークは全国に544カ所あり、年間約500万人が職探しに訪れます。
新規求人数は1,000万件以上で、応募者のうち約150万人が就職先を見つけています。
巨大な求人市場でもあるハローワークで、どうすれば効率的に求人の募集をかけられるのでしょうか。

その前に、ハローワークの利用方法について、おさらいしておきましょう。
ハローワークの利用にあたっては、事業所登録を済ませ、求職者に見てもらうための    『求人票』を作成する必要があります。
求人票を作るには、求人情報を登録しなければいけません。
なかでも、求職者が一番よく見る『仕事の内容』の欄には、力を入れることをおすすめします。

この欄は、仕事を探している求職者が、最初に目にする『求人情報一覧』に表示される部分になります。
事業所の所在地や賃金などと共に、仕事を探している求職者にとっては最も重要な部分です。
どんな仕事なのか、どんな人材を求めているのかを詳しく書くのを前提として、そのほかにも求職者の知りたいであろう情報を、なるべく求職者の目線で具体的に説明することが、応募者数を増やすことに繋がります。
『自社独自の研修があります』や『主に使用するソフトは○○○と◇◇◇です』といった具体的な事柄を『仕事の内容』に書くことで、より求める人材の目に留まりやすくなるメリットがあるのです。

さらに2020年からハローワークに新システムが導入されたことで、検索のページもリニューアルされ、『経験不問』『転勤の可能性なし』『通勤手当あり』『駅近(徒歩10分以内)』などのタグがつけられるようになりました。
こうした小さなメリットをアピールし、求職者の目をひくことも可能です。
ほかにも1日の仕事の流れや、従業員のキャリア形成のために行っていること、会社の将来の展望などを短くまとめて書いてもよいでしょう。

また、新システムになったことで、スマホやタブレットからでも、求人票を確認することができるようになりました。
若い利用者が増えることで、若手の採用にも期待が持てます。
求人票を作る前に、求職者のつもりになって、各社が出している求人票をチェックし、他社の説明文を参考に、魅力的な求人票の書き方を学んでもよいでしょう。

外部の求人サイトでも公開してもらえる

また、新システムでは、画像を10枚まで登録できるようになりました。
制度や会社の方針などを細かく文章で説明することも大切ですが、画像は何よりも説得力を持ちます。
事業所の雰囲気や、従業員の様子、形に残るモノであれば、これまでの仕事の成果などを掲載してもよいでしょう。

現状、求人情報と合わせて事業所の画像を登録している企業はあまり多くありません。
だからこそ、画像を登録している企業は、求職者に好印象を与えることができます。
会社の全景を掲載している企業もあれば、パンフレットを画像にして掲載している企業もあります。 
画像には1枚につき30文字まで説明文を入れることもできるので、求人に説得力を持たせるためにも、ぜひ、登録しておきましょう。

また、忘れてはならないのが情報の『公開範囲』の項目です。
ハローワークでは、求人情報や事業所名の公開について、以下の(1)~(4)までの公開範囲を設定することができます。

(1)すべての求職者に、事業所名等を含む求人情報を公開する
(2)ハローワークの求職者に限定し、事業所名等を含む求人情報を公開する
(3)事業所名等を含まない求人情報を公開する
(4)求人情報を公開しない

(1)はハローワークの検索ページだけでなく、そのほかの求人メディアにも情報が公開される設定です。
幅広い人に見てもらえるメリットがある一方で、職種や条件によっては、予想以上に応募や問い合わせが集中するケースもあるので、その点には留意してください。
(2)はハローワークで求人を見た求職者のみが応募できる設定で、(3)はハローワークで職業相談・紹介を経た求職者が、仕事内容に対して応募してきます。
(4)は窓口での紹介のみとなります

もし、広く求職者を募りたいときには、(1)の『事業所名等を含む求人情報を公開する』を選択しておきましょう。

以上のように、ポイントを押さえれば、より多くの求職者の目に留まることが可能です。

ハローワークでの募集に対して応募者が少なく悩んでいるのであれば、もう一度掲載内容を見直し、応募者の目に留まるような工夫をしてみてはいかがでしょうか。


※本記事の記載内容は、2020年12月現在の法令・情報等に基づいています。

   新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)は、採用の現場にも大きな影響を与えました。
ほとんどの企業では現在、対面や実地で行われる会社説明会やインターンシップ、面接などは全て中止となり、Web会議ツールなどを使用し、オンラインで行われている状況です。 
そして、現状ではいまだ新型コロナが収束しそうにないことから、この流れはますます進んでいくと考えられています。 
そこで、採用活動のオンライン化を進めるうえでの注意点や、押さえておきたいポイントなどを説明します。 
 
 人材不足解消にも繋がるオンライン化のメリット 
 
   新型コロナの感染拡大を防止する観点から、ハローワークでは採用活動に伴う会社説明会や面接などをオンライン化するように呼びかけています。 

大勢の人が集まる会社説明会や、個室で行われる面接などは、密閉・密集・密接からなる、いわゆる“三密”の起きやすいシチュエーションですから、企業側と求職者側の双方が安心して採用活動に臨むためにも、できるだけ避けるのがベストです。 
このコロナ禍で、求職者を直接自社に呼び出して個室で面接を行っている企業は、採用活動方針について求職者から疑問を持たれることもあるかもしれません。 
採用活動のオンライン化をアピールすれば、より多くの求職者が安心して応募できるようになるでしょう。 

また、採用活動のオンライン化には、新型コロナの感染リスクを大幅に減らすほかにも、

さまざまなメリットがあります。 

たとえば、面接場所を確保しなくて済むことや、お互いの日程調整や案内などを効率化できることがあげられます。 
従来であれば、来社日時を設定し、場所を伝えるなど、細かい案内をしなければいけませんでしたが、オンラインであれば、面接の担当者と求職者の都合を合わせるのも比較的容易です。
求職者にとっても、移動時間や交通費を削減できるというメリットがあります。 

さらに、オンライン化によって企業と求職者の物理的な距離が関係なくなり、遠方の求職者とも面接が行えるようになりました。 
求職者が全国どこにいても面接が行えるため、人材を確保するチャンスが広がったといえるのではないでしょうか。 

一方で、まだオンライン化に対応できていない地方の中小企業も多く、生まれ育った街での就職、Uターンを考えている学生や、出身地以外での就職、いわゆるIターンを考えている学生などからは、Web面接などの採用活動の実施状況を把握できないという声も出てきています。 

人材確保に力を入れたい企業においては、採用活動のオンライン化こそが、長年続く人材不足を解消するための、きっかけになりうるかもしれません。 


オンライン化の注意点と企業側の心構え 

   オンラインでの会社説明会や面接などは、たとえばコロナ禍で使用機会が増えたZoomやWhereby、Google MeetなどのWeb会議ツールを使って行います。 
無料版と有料版があるツールがほとんどで、有料版には人数や時間の制約を受けないといったメリットがあり、Zoomであれば月額2,000円程度と安価に利用できます。 
求職者側も、パソコンはもちろん、タブレットやスマートフォンなどでも対応できるため、それほど高い障壁にはならないでしょう。 

もちろん、採用活動のオンライン化はメリットだけではありません。 
求職者が来社しないため、リアルな職場の雰囲気を伝えづらいうえに、企業側も画面越しで求職者と接するため、本人の印象や雰囲気、人間性が掴みづらいというデメリットもあります。 

また、新卒採用の現場であれば、優秀な学生が、距離というハードルに悩まされることなくさまざまな企業を受けられるようになるため、一部の優秀な学生に今よりもさらに内定が集中してしまう事態も懸念されています。 
さらに、地方の企業においては、遠方の求職者がわざわざ高い交通費を払って面接を受けに来るかどうかが、ある種の『本気度』を測るバロメーターになっていました。
オンラインでの面接では、この『本気度』を測るのも難しくなってきています。 

   以上のことを踏まえると、採用活動のオンライン化は内定辞退が発生しやすく、企業側の“人を見る目”が以前にも増して重要になっていくといえます。 

オンライン化はメリット・デメリットがありますが、今後も採用活動における選択肢の一つとなっていくことはほぼ間違いないでしょう。 
特に人材採用に注力したい企業にとっては、いかに迅速にオンライン化の体制を整えるのかが、今後の採用活動の明暗を分ける鍵だといわれています。 
現状、オフラインで採用活動を行っている企業は、いまこそ、オンライン化を検討してみてはいかがでしょうか。 


※本記事の記載内容は、2021年1月現在の法令・情報等に基づいています。
 

   会社が従業員を雇う場合、原則として従業員の源泉所得税を本人に代わって会社が毎月納税しなければなりません。ただし、一定の条件が揃えば源泉所得税を毎月納める必要がなくなる『源泉所得税の納期の特例』という制度もあります。今回はこの制度について、概要をご説明します。

源泉所得税の納期の特例の利用で半年ごとの納付が可能に

   源泉所得税の納期限は、原則として『給与などを支払った日の翌月10日』です。

たとえば、9月末に従業員に給与を支払った場合は、10月10日までに納めます。
しかし、毎月源泉所得税を納めるのは手間がかかるため、半年分をまとめて納付できる制度も用意されており、これを『源泉所得税の納期の特例』といいます。
 納期の特例を利用できるのは『給与の支給人員が常時10人未満』の場合に限られますが、これを利用すれば、1月から6月に支払った給与については7月10日までに、7月から12月に支払った給与については翌1月20日までに納めればよいことになります。
 手続きは簡単で、給与支払事務所等の所在地を所轄する税務署長に申請書を提出すれば、翌月に支払う給与から適用されます。
 

  納期の特例のメリットとしては、以下があげられます。
 

メリット① :事務負担が減る
 源泉所得税を納付するためには、そのための計算や手続き、会計ソフトへの入力が必要となります。12回の納付が2回に減れば、それだけ事務作業の負担が減るということになります。
メリット② :納付遅れのリスクが減る
 たとえば、納付書を使って金融機関で源泉所得税を支払う場合、毎月10日までに金融機関で支払いを済ませる必要がありますが、忙しいときには時間が取れず、納付が遅れることがあるかもしれません。納期の特例により支払い回数が減れば、こうしたリスクが減
ります。
メリット③ :プール金が増える
 納期の特例を使った場合、納付するべき源泉所得税を最大6カ月の間、預かり金として会社にプールすることができます。プール金が増えることで、急な出費にも対応しやすいというメリットがあります。


利用する前に確認しておきたい納期の特例のデメリットとは

 もちろん、納期の特例にはデメリットもあります。たとえば以下の点が考えられるでしょう。
 

デメリット① :1回の納付額が増える
 納付回数が減るということは、1回の納付額が大きくなってしまうということ。たとえば毎月の源泉所得税が10万円ほどだとした場合、納期特例を使うと1回につき60万円というお金が出ていくことになります。会社にプールできるお金が増えるのはメリットですが、あくまでも預かり金であり、納付しなければならないお金であることを忘れないようにしましょう。
 

デメリット② :対象外の源泉所得税もある
 納期の特例の対象となるのは『給与や退職金から源泉徴収をした所得税及び復興特別所得税と、税理士、弁護士、司法書士などの一定の報酬から源泉徴収をした所得税及び復興特別所得税』に限られています。フリーランスのデザイナーへの報酬など、納期の特例の対象
ではない源泉所得税については毎月納付しなければならないため、業種によっては納期の特例のメリットを享受できないこともあります。
 

 なお、従業員の数が常時10人未満の場合、源泉所得税だけでなく、住民税の納期の特例もあります。納期の特例にはメリットとデメリットがありますから、これらを理解し、利用を検討するようにしましょう。

  今年も確定申告の時期になりました。昨年同様、今年も申告期限が延長され令和3年4月15日(木)となっています。

サラリーマンでも会社が行う年末調整とは別に、給与所得者にも確定申告が必要な場合があります。

もちろん社長や役員も同様です。確定申告漏れがあると、納めすぎた税金が還付されない、延滞税や無申告加算税などのペナルティが課されるなどの不利益が生じます。

申告が必要なケースを事前に押さえておきましょう。

特定の条件を満たした場合は確定申告が必要になる

  基本的に、会社に勤めて給与をもらっている人は、確定申告をする必要がありません。会社が年末に年末調整という形で社員一人ひとりの1年間の所得額を計算して国に申告し、納税額に過不足があれば精算しているためです。これは、社員だけでなく社長や役員も同じです。役員報酬も給与所得に含まれるため、原則として社長や役員の年末調整も会社が行いますから、確定申告は必要ありません。

 

ただ、以下の条件に当てはまった方は確定申告が必要となります。
●給与の年間収入金額が2,000万円を超える
●給与の支払いを1カ所から受けており、給与所得・退職所得以外の所得の合計額が20万円を超える
●給与の支払いを2カ所以上から受けており、給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において年末調整されなかった給与の収入金額と給与所得・退職 所得以外の所得の合計額が20万円を超える
●同族会社の役員やその親族などで、その同族会社からの給与のほかに、貸付金の利子、店舗・工場など資産の賃貸料、機械・器具の使用料などを受け取った
●給与について、災害減免法により所得税等の源泉 徴収税額の徴収猶予や還付を受けた
●在日の外国公館に勤務する方や家事使用人の方などで、給与の支払いを受ける際に所得税等を源泉 徴収されないこととなっている

注意して、絶対に避けたい無申告加算税というペナルティ

 期限内に確定申告を忘れた場合でも、できるだけ早いうちの申告が必要です。期限後に確定申告書の提出をした場合は、期限後申告として取り扱われます。
期限後申告となった場合や、確定申告が必要であるにもかかわらずしなかった場合、申告によって納める税金のほかに無申告加算税が課税される可能性があります。また、本来の所得額よりも少なく申告した場合は、納めるべき税金を納めていないことになり過小申告加算税が課税されます。
 

  たとえば、無申告加算税として加算される税額は、【納付すべき税額に対して50万円までは15%、50万円を超える部分は20%】となり、課税されるペナルティとしてはかなり重いことが分かります。
 これは税務署の調査を受けて発覚した場合で、税務署の調査を受ける前に自主的に申告をした場合には無申告加算税が5%の割合を乗じて計算した金額に軽減されます。また、期限後申告であったとしても、法定申告期限から1カ月以内に自主的に申告しているなど、申告する意思が認められる場合には、無申告加算税は課税されません。
 ちなみに、税金を納めすぎている場合は『還付申告』という申告をすることで、納めすぎた税金が戻ってきます。特定の寄附をした、災害などによって資産に損害を受けた等の場合にも、還付申告の対象となります。確定申告をする必要がない場合でも、還付申告が必要かどうかは確認しておきましょう。
 

  基本的に、確定申告は社長や役員を含め、給与所得者には必要のないものと思われることが多いでしょう。
しかし、一定の条件を満たしたときには必要となります。ペナルティを課されないためにも、確定申告が必要かどうか、事前の確認が大切です。

 


 

コロナ禍の影響でテレワークの導入が進み、今後はテレワークを推進していく会社が

ますます増えていくでしょう。災害でオフィスの機能が停止してしまうような事態にも備え、
テレワーク体制を整備しておくことは大切です。

まずは書類の電子化から進めてみてはいかがでしょうか。

導入初期は手間も費用もかかるがそれでもメリットの大きい電子化

契約書や請求書、領収書、会計帳簿など、会社で保管しておかなければならない膨大な

書類。
これらを電子化することにはさまざまなメリットがあります。
 たとえば、書類が多いと、社内が保管スペースだらけになったり、棚を別に用意しなければならなくなったりします。書類を電子化することでこのようなスペースは不要になり、保管費用も削減できます。
 また、紙の書類の場合、社員は書類が必要なときには出社しなければなりません。
しかし、書類を電子化してサーバーに保管しておけば、どこからでもアクセスして閲覧することができ、移動時間や交通費のコスト削減につながります。
 このように、保管スペースや時間とコストの節約が電子化の大きな利点といえます。
 

  一方で、電子化を進めるときには、以下のような注意点もあります。
 

● 導入コストがかかる
 過去の膨大な書類を全て電子化する作業に社員では対応しきれない場合、専門の会社などに外注したり、ソフトを購入したりするのにコストが発生します。また、電子化した書類を保存するためにもコストがかかります。クラウドの場合、初期費用は低いものの、毎月継続して一定額のコストがかかり続けることも。一方、オンプレミス(専用ソフトを使い、自社内で管理運用する)の場合、    ランニングコストはかからないものの、クラウドに比べて初期費用は高額になります。
 

●セキュリティの確保
 電子化した書類データは、漏洩しないようにセキュリティを確保しなければなりません。         不正アクセスを防止するためパスワードは定期的に変更する、アクセスログを管理するなどの セキュリティ対策が求められます。また、端末へのダウンロードを禁止するなど、社員が文書を閲覧するときのルール作りも重要です。

書類を電子化する際に知っておくべき二つの法律

 書類の電子化については、法律によって基本的なルールが決められています。

主に『e-文書法』と『電子帳簿保存法』という法律があります。
少なくとも、この二つの法律については法改正を含め、大まかな内容を押さえておきましょう。

●e-文書法
 商法など、法律で保管することが義務づけられている文書を、電子化して保存するときの

ルールを定めています。契約書や請求書、定款など、対象となる書類は多種多様で、これらを電子化して保存する際には以下の要件を満たす必要があります。


【見読性】データをパソコンやディスプレイなどを用いて、明瞭な状態で見られること。
 

【完全性】電子化文書が事故や操作ミスで消失することを防ぎ、特にスキャナーによる電子化文書は原本ではないので原本受領からスキャン電子化のプロセス、スキャン品質や電子化文書に改ざんや消去があったか否かを確認できるなど証明力を確保すること。
 

【機密性】許可されていない人はアクセスできず、不正アクセスの抑止がなされていること。
 

【検索性】電子化文書を有効に活用するため、検索などで必要なデータをすぐに引き出せること。
 

●電子帳簿保存法
 国税関係の帳簿書類の電子化について定めています。税務署長の承認や、真実性や可視性の確保が要件とされるものの、領収書や請求書をスキャンして保存することができるなど、たびたびの法改正によってその要件は緩和されてきています。
 

テレワーク体制を整えるためにも、進めておきたい書類の電子化。導入にはやや手間がかかりますが、長期的に見ればコスト削減につながるでしょう。

  新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、多くの業界が深刻なダメージを受けた

2020年。
業績悪化に伴う人員削減のため、『早期退職者』『希望退職者』を募る企業も増えてきて

います。
希望退職は、会社側から退職を希望する従業員を募るため、労使間のトラブルが起きにくいと思われるかもしれません。
しかし、きちんと手順を追って進めていかないと、思わぬトラブルに発展し、従業員から

労働審判や訴訟などを起こされる危険性もあります。
そこで今回は、希望退職制度の基礎知識と、スムーズに実行するための方法や注意点を

解説します。
 

早期・希望退職の意義と位置づけ

希望退職制度とは、会社が従業員の自主的な退職を募る仕組みのことをいいます。

東京商工リサーチの調査によれば、2020年上半期に『早期・希望退職者』を募った上場企業は41社にのぼり、昨年2019年1年間の35社を早くも上回りました。
大手不動産会社の株式会社レオパレス21や、大手コンビニエンスストアの株式会社ファミリーマートが希望退職者募集に踏み切ったニュースに驚いた方も多いのではないでしょうか。

基本的に希望退職は人件費を圧縮し、業績回復を図るために行われるものです。
一方、『早期退職』も同様に従業員のなかから退職を希望する者を募りますが、こちらは人員のバランス調整のために行われることがほとんどです。
組織全体や各部署の人員構成を整えたり、従業員の人生の選択肢を広げたりすることを目的とします。
ただし、それぞれの意味合いは異なりますが、定年を前に退職者を募るという部分は共通するため、『希望退職』と『早期退職』を同じものとして取り扱う企業もあるようです。

原則的に、会社側が従業員を一方的に解雇することは禁止されており、解雇するには、客観的合理性と社会通念上相当な理由が必要になります。
もし、客観的合理性と社会通念上相当な理由なく従業員を解雇した場合には不当解雇となり、解雇権濫用とみなされ、解雇は無効とされます。

業績悪化によって従業員を解雇することは整理解雇といい、一般的には『リストラ』と呼ばれています。
リストラには、解雇回避努力義務の履行や従業員選定の合理性などの条件が必要になってきます。
このリストラの前段階に行うこととして、『希望退職』が位置づけられているのです。

企業にとって、希望退職によって人員を減らすことは、人件費の削減に繋がります。
特に給与が高額となっている一定以上の年齢層の従業員が自発的に退職すれば、大きな人件費の圧縮効果が見込めます。


『希望退職』による労働紛争を回避するには

希望退職には、会社側にさまざまなデメリットがあることも知っておかなければなりません。

まず、希望退職者を募るためには、退職金を割増で払う必要があり、割増分が会社の大きな負担になる可能性があります。
人件費の削減のために行った希望退職が、結局、負担になってしまうのであれば、意味がありません。
消滅する人件費と、割増しした分の退職金とのバランスを考えて、希望退職者を募る必要があるでしょう。
また、従業員の年齢や勤務年数に合わせた割増分を設定することで、会社の負担を抑えることもできます。

そして、もう一つの大きなデメリットは、労使間トラブルの危険性があることです。
希望退職では、優秀な従業員に辞められてしまうのを防止するため、ほとんどの場合に、退職の条件として『会社の承諾』を設定します。
会社の承諾を条件にすれば、優秀な従業員が希望退職に応募してきたとしても、不承認とすることで会社に留まってもらうことができるわけです。

しかし、過去にはこの『会社の承諾』を巡って、さまざまな労働紛争が発生しています。
たとえば、希望退職に応じたAさんに対しては退職を認め、同じく希望退職に応じたBさんには退職を認めないということが起きるため、『不公正な扱い』として労働紛争が起きました。
判例では、会社の承諾は労働者に不利益を与えるものではなく、違法ではないとされることがほとんどですが、制度の運用の仕方によっては、大きなトラブルに発展する危険性もはらんでいるのです。

希望退職者との労働紛争を起こさないためには、まず希望退職制度の条件を明確に定めたうえで、全社員に書面などを残す形で周知させる必要があります。
そして、希望退職者への『会社の承諾』も書面で取り交わすこととし、万が一、労使トラブルに発展しても、証拠が残るようにします。

このように労働紛争の危険性もある希望退職制度ですが、人件費削減のためにはやむを得ず行わなければいけないケースも増えています。
まずは、人件費の圧縮によって業績回復が望めるのかという視点で自社の経営状態をチェックしたうえで、希望退職の条件を設定していきましょう。


※本記事の記載内容は、2020年9月現在の法令・情報等に基づいています。

  新入社員研修やビジネスマナー研修、業務に関する専門的な研修など、

会社は社員に対してさまざまな研修を用意します。

なかには、休日に研修を設定する場合もあるでしょう。

こうした研修時の給与や手当について、正しく認識できているかどうかを確認してみましょう。

強制参加の研修の場合は賃金の支払い義務が生じる

 会社は、社員の受ける研修が『労働時間に当たる』場合、給与を支払わなければ

なりません。厚生労働省の『労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に

関するガイドライン』(2017年1月20日策定)によると、参加することが業務の一部として

義務付けられている研修や、使用者の指示により業務に必要な学習等を行っていた時間は、労働時間に当たるとされています。
 たとえば新人研修などのように、会社がカリキュラムとして設定している研修があります。

こうした研修は強制参加であるケースが多く、その場合は業務の一環だと判断され、

労働時間に該当します。つまり、給与の支払い義務が発生することになります。
 一方、会社がスキルアップなどを目的とした研修を用意しており、それを社員が

自由意志で受けるという場合には、研修を受ける時間が業務(労働時間)に当たるとは

判断されません。つまり、給与を支払う必要はありません。
 ただし、参加するかどうかが昇進や昇給に影響するなど、参加しないと不利益を

被るような場合は事実上の強制参加とみられ、給与の支払い義務が発生します。


所定労働時間外や所定休日の研修は別途給与の支払いが必要となる

   また、所定労働時間外や所定休日に強制参加の研修を行う場合は、

その時間分の給与の支払いが必要になります。
 なお、労働基準法では、原則として1日8時間、週40時間という『法定労働時間』を

超えて社員を働かせてはなりません。これを超えて働かせる場合は36協定が必要で、

かつ超えた分については、時間外労働として、25%の割増賃金を支払う義務が生じます。
 また、休日についても、少なくとも週1日以上、または4週に4日以上の休日を与えなければならず、これを『法定休日』と呼びます。法定休日に研修を行う場合は、休日手当として、

35%の割増賃金を支払う義務が生じます。
 こうした人件費の負担をできるだけ抑えるためには、可能な限り通常の勤務時間内に

研修をスケジューリングすることがポイントです。繁忙期が個人や部署で異なる場合は、

各自の空き時間に受けられるようe-ラーニングなどを導入するのも一つの方法です。
また、人件費やコストという点では、『誰を講師に立てるのか』も重要です。

社員を講師にする場合はその人件費がかかりますし、外部機関に委託する場合は

参加費や交通費がかかります。このほか、専門家に直接声をかけて会社に来てもらう、

オンライン研修を利用するなど、選択肢はさまざまありますから、コストと研修効果の

バランスを考えて、ベストな方法を選んでいきましょう。


 社員教育のために、各種研修は必要です。業務命令で受けさせるものは法律の定めの

とおりに給与や手当を支払い、社員にはしっかりと研修の内容を身につけてもらいましょう。

Question 

新たに社員を雇うため、事業資金を増やす方法を考えています。
そこで、助成金を調べていたら、助成金以外にも公的な資金調達方法として
補助金というものがあることを知りました。 
助成金と補助金はどう違うのでしょうか。また、何か注意点はありますか?

Answer

助成金とは、基本的に厚生労働省が管轄となり、
雇用を促進している会社に対して金銭的に支援するためのものです。
どちらも返済の必要はありませんが、申請には十分な準備が必要です。
給付が後払いである点にも注意しましょう。

要件を満たせばOKの助成金
審査に通ればOKの補助金


 助成金は主に『雇用』に関連しているのに対し、補助金は『事業』に関連しています。

助成金の特徴は、要件を満たしていればほぼ100%支給されることです。
たとえば、中途採用者の雇用管理制度を整備し、中途採用の拡大を図った事業主が申請できる『中途採用等支援助成金』、建設業の中小事業主が、35歳未満の若年者、または女性を建設技能労働者等として試行雇用するときに申請できる『トライアル雇用助成金』(若年・女性建設労働者トライアルコース)など、さまざまな助成金があります。
 

 一方、補助金とは、基本的に経済産業省などが管轄となり、事業に対して経済的なサポートを行うためのものです。補助金が採択されるためには審査を受けなければならず、評価の高いものから採用されるため、助成金のようにほぼ100%支給されるわけではあり
ません。 
 

 従業員数が少ない企業や個人事業主の販路開拓の取り組み等を支援し、ホームページの作成や店舗の改装などを行う費用を一部補助する『持続化補助金(小規模事業者持続化補助金)』、中小企業や小規模事業者がバックオフィス業務の効率化やマーケティングの
ためにITツールを導入する際の費用を一部補助する『IT導入補助金』など、さまざまな補助金があります。

似て非なる助成金と補助金
共通点と意外なデメリット


助成金と補助金で共通していることは、“借入ではないため、給付を受けても返済する必要がない”という点です。 
また、助成金も補助金も、原則、後払いとなっています。助成金や補助金が採択された後、事業主が資金を使って事業を行い、事務局が確認後、事業主が支出した一部または全部が補助金として支給されます。
つまり事業主は、一旦はかかる費用を捻出しなければなりません。
 助成金は年間を通じて受け付けていることが多いですが、補助金は募集期間が短めです。自社に必要な制度を探し、申請するための準備期間が必要なことを考えると、できるだけ早い段階からアンテナを立てて探し始めることが重要といえます。
 

このように、一旦は費用を負担することが、事業資金として助成金や補助金を活用する際に気を付けたい点といえるでしょう。特に補助金は、募集のタイミングにあわせられるよう前もった準備が必要です。
 今は新型コロナウイルスの影響により、コロナ特例も含めた多くの助成金や補助金の制度が登場しています。制度をうまく活用しながら、経営を軌道に乗せていきましょう。
 

早いもので11月も残り1週間、来週は12月です。

皆様、年末調整はお済でしょうか。お勤め先から申告書を渡されて文字の細かさと

情報量に驚かれた方も多いと思います。

12月は何かと慌ただしくなるもの、年末調整の申告書がまだできていない、という方は

今週末にでも向かい合ってみてはいかがでしょうか。

 

 

経営者にとって、顧客リストは売上に直結する大事なものです。その顧客リストのなかでも
『リード』と呼ばれる“見込み客”のリストは、将来的に顧客を増やす近道といえます。

今回は、顧客維持や新規開拓のために『リード』を増やすヒントをご紹介します。

はじめの一歩は、リードと良好な関係を築くこと

 企業活動を拡大していくためには、いずれ取引先リストに入るであろうリードをいかに集められるかがとても重要です。闇雲に営業をかけていくよりも、まずはこれから取引相手になる可能性の高いリードとの良好な関係を構築し、そこから営業をかけていけば、商品やサービスを購入してもらえる可能性が高まります。


 リード獲得の方法について、Webを活用したマーケティングと、それ以外に分けてご紹介します。


【Webを活用したリード獲得方法の例】
●ダイレクトメールを一斉送信し、問い合わせを獲得する
●SNSで情報を発信し、フォロワーや『いいね』を集めて認知度をあげる
●SNSでコミュニティを作り、登録を促す
●リスティング広告など、オンラインでの広告を使い、問い合わせを獲得する


【紙媒体や対面によるリード獲得方法の例】
●展示会や商談会に出展し、ブースに来てくれた人と名刺交換をしたり、アンケートをとって連絡先を 入手したりする
●企業などへ飛び込み営業をして、自社の製品やサービスを知ってもらう
●専門性を生かした無料相談会を開く
●無料セミナーを実施し、セミナーへの参加を促す
●テレマーケティング(電話での営業)


 これらのマーケティング活動は、連動させることで成果はより高くなります。たとえば、無料セミナーの案内を作成してダイレクトメールで一斉送信し、申込みという方法でリードを獲得。無料セミナーを開催したときにビジネスにつながる提案を盛り込み、顧客化することも可能です。

さまざまな関心度にあわせ窓口を複数用意するのもポイント

 初めてコンタクトをとった見込み客は警戒心を持っているため、リードの獲得は容易なことではありません。  たとえば、以下のような工夫が必要です。


①自社のアピールより相手のメリットを伝える
 商品やサービスの強みをアピールすれば関心を持った顧客が集まるように思えますが、一方的なアピールは顧客に押しつけのように思われる傾向があります。それより、SNSのフォローやセミナーへの参加などが顧客にどんなメリットを与えるのかを伝えましょう。


②成約につながる情報を獲得する
 たとえば自社製品の販売契約を結びたいのであれば、所属している会社名や役職名が獲得できると有益です。試用品を手元に届けるため、関連部署の担当者の名前なども入手できるとよいでしょう。


③獲得方法を絞らない
 リードになりそうな客といっても、その関心度はさまざまです。無料セミナーをぜひ受講したいと思っている人もいれば、日にちがあえば受講したい程度の人もいるでしょう。商品やサービスの認知レベルも見込み客によって異なるので、それぞれに対応できる獲得方法を考えていく必要があります。


企業としては、見込み客だけではなく、長期的に付き合えるであろう取引先も含め、広く押さえておきたいところです。そこで、ダイレクトメールやSNS、電話営業など、商品やサービスにつながる窓口を複数設置して、リード獲得の間口を広げることも大きなポイントです。


 顧客リストを充実させるためにも、まずは自社の商品やサービスに興味を持ってもらい、より多くのリードを獲得しましょう。

question 一緒に働いてきた仲間と二人で会社を始めたいと考えています。会社設立後も、
上下関係になるのではなく、対等な立場でビジネスを回していきたいので、どちらも代表取締役に就任できれば一番よいのですが、そうしたことは、制度上可能でしょうか。

answer 代表取締役は一人である必要はなく、何人いても構いません。ただし、会社の代表
者が複数になるということは、業務上の手続きの面では円滑に進めやすくなる一方で、   対立するとこじれるなどのデメリットも存在します。会社印の取扱いなどにも注意が必要です。

今回は意外と知らない代表取締役の意味と役割について解説します。

そもそも代表取締役とは、会社を代表する権限を持つ取締役のことです。会社法では、代表取締役について『株式会社の業務に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する』と定められています。
代表、という名のとおり、会社を対外的に代表して業務を執行することができるのです。
 これに対し、取締役は経営を担う役職ではあるものの、会社を代表して業務執行する権限はありません。
単独で契約書にサインできるのは、代表取締役だけです。一般的には代表取締役は一人のことが多いため、単独でなくてはならないように思えます。

しかし、代表取締役が複数人いても法律的に問題はありません。4人、5人といても構いません。
代表取締役が複数人いるということは、業務執行権限を持つ人物が複数いるということです。契約を結ぶなど、会社にとって重要な行為を単独でできる人が増えるため、業務執行のスピードが上がるというメリットがあります。ほかにも、それぞれが管轄する部署間のパワーバランスが保たれ、人間関係のトラブルが起きにくくなる効果もあるようです。

複数の代表取締役業務が滞るデメリットも

 ほかにも、今までとは違う分野のビジネスを手掛ける時に、その分野に強い人材を、新たに代表取締役にする『分立経営』という手法もあります。複数の分野の代表取締役が、それぞれの専門知識を活かしながら、話し合って会社の方向性を決めることができます。
 ただ、代表取締役が複数いることはメリットばかりではありません。たとえば、意思決定者が複数いるために業務遂行のスピードが遅くなる、関係性が悪化してトラブルになったときに、権力が均衡しているため余計にこじれる、といったことも起こり得ます。
 また、代表取締役が複数人いても、複数の代表取締役が同じ印鑑で会社の代表者印として登録することはできないので、それぞれが代表者印を用意し、印鑑登録をしなければなりません。「どれが本当の代表者印なのか」と客先の混乱を招かないためにも、情報のすり合わせが必要です。
 一般的に『代表』といえば一人だろうと想像しますが、実際の法律では複数人の代表取締役を置くことが許されています。経営スタイルと合っていれば、検討してもよいかもしれません。