補助金と助成金は事業の支援を目的に支給されるという点でよく似ていますが、
実際には申請方法や支給金額、公募期間などで違いがあります。ほとんどは返済不
要ということもあり、有効な資金調達手段の一つです。目的や受給までの流れ、注
意点などをしっかり理解したうえで活用する必要があります。

事業のための支給が共通点  目的、支給金額などの違いに留意

 補助金と助成金は共に、国から事業の促進のために支給されるお金です。ほとんどの場合で返済の必要がないうえに、利息もかかりません。では、補助金と助成金は何が違うのでしょうか?
 補助金は新規事業の支援や研究開発などを主な目的としています。経済産業省や中小企業庁などが管轄し、財源は税金です。事業内容や規模などにより異なりますが、支給金額が数百万円以上から数億円と高めに設定されているものもあります。代表的
なものにIT導入補助金、事業再構築補助金などがあります。公募期間は1週間から1カ月程度と限られており、早めの申請準備が必要です。
 一方、助成金は法人の雇用や労働環境改善が目的で、厚生労働省が管轄し、雇用保険料を主な財源としています。原則として支給要件を満たして申請できれば必ず受給できます。給付額は数十万円から数百万円程度のものが多く、代表的なものに雇
用調整助成金、キャリアアップ助成金などがあります。多くは通年で受け付けていますが、予算終了により年度途中に受付を中止する場合もあります。

支給時期や限度額に気をつけて有効な資金調達の手段として活用

 補助金や助成金の活用にあたり、どのようなことに気をつけたらよいか注意点を紹介します。
まず、基本的に補助金や助成金は後払いのため、事前にある程度の資金確保が必要です。申請から支給まで数カ月、長いものでは1年以上かかるため、一時的に費用を立て替える必要があります。
また、補助率や助成率が「1/2」などと設定されていたり、限度額が設けられていたりするため、かかった費用が全額支給されるわけではありません。
補助金や助成金の対象期間外に発生した諸経費も支給対象にならないため、対象期間を確認のうえ、設備投資などのタイミングに注意しましょう。
 

さらに、申請にあたり何種類もの書類を作成しなければならないため、工数が膨大にかかる点も見過ごせません。書類に不備があると、助成金は修正を求められる場合がありますが、補助金は採択されない場合があります。財源が税金や雇用保険料のた
め、公平性の観点から受給にあたり厳密にチェックされます。過去に不正受給で厳罰に処せられた企業もあり、安易な取り組みは禁物です。
 

 補助金や助成金は申請も複雑なものが多く、受給までに時間がかかるなど注意点も多いですが、有効な資金調達の一つです。これを機に、補助金や助成金の活用を検討してみてはいかがでしょうか。