さすがに連絡をしてくるだろう、

と思っていたけど、

妻たちからの連絡はなかった…。












俺は、この日から、

妻とやり直すという気持ちが、

とうとう無くなってきた…。










そして…、

俺が子どもを引き取ると決めた。












しかし、そのことを妻たちへ伝えれば、

妻たちのことだから、

強引に子どもを連れ去ってしまうだろう…。









入院中で、治療や経過観察をしていても、

妻の一族には、関係ないだろう…。








妻が、子どものことより、

自分のことが最優先だということは、

これまでの言動は明白となっている。










そもそも、子どもの見舞にすら、

ほとんど来ていないんだから…。













そうすると、俺としては、

あくまでも妻たちに対して、



「俺と妻と長女と子どもの4人で、

 とにかく4人で一緒に生活したい…。」



と、言い続ける必要がある。














妻の実家へ子どもを連れて行かれたら、

見舞いにも来ない連中なんだから、

何をされるか分からない。












あんな劣悪な環境の中へ、

子どもを連れて行かせることなんか、

とてもじゃないけど、できない!










大型集合住宅に住んでて、

大型連休の最中、

ドアに変な貼り紙をして、

不在にできる人間性も、

全く理解できない。













非常識で異常だ!!!












長年住んでいて、

誰が来るか分からないのに、

あんな貼り紙ができるってことは、

おそらく、


「異常な家族だ!!」


って、近所でも有名なんだろうし、

人付き合いもないんだろう。











若しくは、何も考えずに行動する、

非常識な家族なのか…?









いずれにしても、

明らかにおかしいし、

非常識で異常な連中であることは、

間違いない事実だ。











そんな連中に大事な子どもを、

髄膜炎の病み上がりの子どもを、

預けられるはずがない!!!












子どものために、

必ず俺が子どもを引き取る!!!

   
   
   
結局、夕方の面会にも、

やっぱり妻は来なかった。










子どもの面会終了後に帰宅し、

俺は、前職の恩師に相談をした。



その人は、顔が広く博識だったからだ。












相談した内容は、

やはり猫の件だ。













その人は、もちろん、

経験上、赤ちゃんを育てる上で、

猫や鳥を飼わないことは、

常識だと言っていた。












その上で、知り合いの医者にも、

医学的見地を聞いてくれた。



















やはり、予想どおりの回答だった。













・犬猫は影響を及ぼすことが、

 ないとは言えないので、

 避けた方がより安全である。

 髄膜炎の病み上がりであれば、

 なおさら避けるべきである。















これこそ、医者の見解だ!!!














妻の一族は、

自分たちの都合のためであれば、

嘘だろうが、何だろうが、

平然とやってくる。














医者に確認するという発想はない。














自分たちの都合や考えだけを、

現実を捻じ曲げてまでも、

突き通してくる。














この「医者の見解だ!」には、

それだけの意味があるんだ。


















もはや、俺には、

妻の一族を許す気はなくなった。















そうして、この日、

妻からの連絡はなかった…。

   
   
   
俺の田舎にいる伯母の家では、

長年、猫を飼っていた。










子どものころ、

伯母の家へ遊びに行くと、

よく猫と一緒に戯れていた。



だから、俺は個人的に、

猫を毛嫌いしているわけじゃない。











そうは言っても、

実は、俺………。












猫アレルギーなんだよね…。











妻の猫アレルギーだし……。












そうすると、俺と妻の子どもは、

おそらく猫アレルギーがあるんじゃ…。


という懸念があった………。














でも、俺が、今、

猫を気にしている理由は、

そんなことじゃないんだ。













ただ、赤ちゃんを育てる上で、

しかも、病み上がりの赤ちゃんであれば、

猫を遠ざけるというのは、

ある種、常識だと思っているだけだ。














田舎から出てきている友人も、

まだ子どもがいないけど、


「そんなの常識だろう。」


って言っていた。










俺の子どもの場合は、

髄膜炎だったんだから、

なおさら、そう思うだけだ。











だいたい、狭くて同じフロアで、

一緒に生活している以上、

医者のいうような管理状態を、

しかも、妻の一族にできるはずもない。













そもそも、病み上がりの子どもを、

引き取るつもりなら、

同じ町内ですぐ近所に、

猫を飼っている親戚がいるんだから、

一時的に預けるとか考えるはずだ。














そんなことを、

妻の一族に求めること自体、

ハナから無理なのかもしれない……。

   
   
   
車で待機していた友人は、

さすがに呆れていた…。








そりゃそうだ。











そのまま、俺たちは、

子どもの面会するために、

病院へ向かった。














当然のように、

妻は、来ていなかった…。












偶然、担当医と会ったから、

少し聞いてみた。











前日に妻の叔父が言っていた、

「医者の見解だ!」

についてだった。










つまり、妻の実家で飼っている猫のことで、

妻は、子どもの退院後にも、

猫を預けるつもりがないらしいから、

そんな状態で良いのか?

医者の見解の裏付けを得るためだ。














・毛、糞などがあるので、

 近づけてはダメ。

 管理の問題。


 引っ掻いたりさせてはダメ。

 猫を近づけさせずに

 隔離するような管理状態なら、
 
 一緒にいても問題ないとのこと。












つまり、いない方が良いってことだ。











これで、医者の見解も分かった。









まあ、予想どおりの見解だった。









そもそも、医者に聞くまでもなく、

そんなことは常識だろう。

   
   
   
もしかしたら…。

とは思っていたけど、


「子どもの退院の件で話そう」


って言ったんだから、

さすがにいるんじゃないか?

と信じたかったんだけど…。












仕方がないから、

玄関のドアの投函口から、

手紙を投函しておいた。











・子どもの退院の件で連絡を下さい。














そのまま妻の実家へ電話したけど、

当然だろうが留守電だったから、

メッセージを入れておいた。















・昨日、父から電話したとおり伺いました。

 子どものことで話をしなくてはならないので、

 連絡を下さい。

 玄関から手紙を投函しました。

 このメッセージを聞いたら、

 もしくは手紙を見たら、

 大至急、連絡を下さい。
 
 お願いします。失礼します。
















大型連休の真っ最中だった。





大型の集合住宅だから、

いつ誰が訪れるか分からないはずだ。



当然、同じ棟に住んでいる隣人なども、

あれを見るはずだ。












それにも関わらず、

あんな貼り紙をして消えた…。














妻の一族は、

どういう神経しているんだろうか…。









もしかしたら、隣人などとは、

全く関わっていないのかもしれない。











何十年と住んでいるらしいけど、

周りの人など関係ないのだろう…。










やっぱり異常な一族だな……。