安倍首相 核先制不使用、米司令官に反対伝える 米紙報道(毎日新聞より) | 労働組合ってなにするところ?

労働組合ってなにするところ?

2008年3月から2011年3月まで、労働組合専従として活動しました。
現在は現場に戻って医療労働者の端くれとして働きつつ、労働組合の活動も行なっています。

あまり知られていない労働組合の真の姿(!?)を伝えていきたいと思います。

まず、熊本、大分を中心とした地震の被害に遭われた皆さまにお見舞い申し上げます。

合わせて、避難不可能な状況下での原発災害を防ぐために、川内原発の運転停止を求める署名への賛同を呼び掛けます。



https://www.change.org/p/%E5%B7%9D%E5%86%85%E5%8E%9F%E7%99%BA%E3%82%92%E6%AD%A2%E3%82%81%E3%81%A6%E3%81%8F%E3%81%A0%E3%81%95%E3%81%84?source_location=discover_feed



そして、戦争法廃止に向けてたゆまず行動し、憲法に違反する政治を推し進めようとする策動を許さず、医療・介護を国の責任で充実させることを求め、最低生活基準を切り下げようとする動きに抵抗し、労働者のいのちと健康と働く権利を守り、東日本大震災の被災地の復旧・復興が住民の立場に立った形で1日も早く実現することを目指して、声を上げていくことを提起します。



8月6、9日は核兵器の被害を三度繰り返さないことを、8月15日は戦争の惨禍を繰り返さないことを誓ったばかりだというのに、次のような報道がされています。引用部分は青で表記します。



安倍首相:核先制不使用、米司令官に反対伝える 米紙報道

毎日新聞  2016年8月16日

http://mainichi.jp/articles/20160816/k00/00e/010/189000c


【ワシントン会川晴之】米ワシントン・ポスト紙は15日、オバマ政権が導入の是非を検討している核兵器の先制不使用政策について、安倍晋三首相がハリス米太平洋軍司令官に「北朝鮮に対する抑止力が弱体化する」として、反対の意向を伝えたと報じた。同紙は日本のほか、韓国や英仏など欧州の同盟国も強い懸念を示していると伝えている。


  「核兵器のない世界」の実現を訴えるオバマ政権は、任期満了まで残り5カ月となる中、新たな核政策を打ち出すため、国内外で意見調整をしている。米メディアによると、核実験全面禁止や核兵器予算削減など複数の政策案を検討中とされる。核兵器を先制攻撃に使わないと宣言する「先制不使用」もその一つだが、ケリー国務長官ら複数の閣僚が反対していると報道されている。同盟国も反対や懸念を示していることが明らかになり、導入が難しくなる可能性がある。

 同紙は複数の米政府高官の話として、ハリス氏と会談した際、安倍首相は米国が「先制不使用」政策を採用すれば、今年1月に4度目の核実験を実施するなど核兵器開発を強行する北朝鮮に対する核抑止力に影響が出ると反対の考えを述べたという。同紙は、二人の会談の日時は触れていないが、外務省発表によると、ハリス氏は7月26日午後、首相官邸で安倍首相と約25分間会談し、北朝鮮情勢をはじめとする地域情勢などについて意見交換している。

 日本政府は、日本の安全保障の根幹は日米安保条約であり、核抑止力を含む拡大抑止力(核の傘)に依存しているとの考えを米国に重ねて伝えている。先制不使用政策が導入されれば、「核の傘」にほころびが出ると懸念する声がある。

 2010年には当時の民主党政権が、米国が配備している核トマホーク(巡航)ミサイルの退役を検討していることについて、日本に対する拡大抑止に影響が出るのかどうかを問う書簡を、岡田克也外相がクリントン米国務長官(いずれも当時)などに対して送ったと公表している。核軍縮を目指す核専門家からは「核兵器の廃絶を目指す日本が、皮肉なことにオバマ政権が掲げる『核兵器のない世界』の実現を阻んでいる」という指摘も出ている。


 【ことば】核兵器の先制不使用

 核保有国が、他国から核攻撃を受ける前に先に核兵器を使わないこと。核兵器の役割を他国からの核攻撃脅威を抑止することに限定する。核兵器を使用するハードルが高くなり、核軍縮への理念的な一歩と見なされる。すべての国が対象だが、核保有国同士の約束の側面が強い。核拡散防止条約(NPT)で核兵器保有が認められている米、露、英、仏、中国の5カ国の中では現在、中国のみが先制不使用を宣言している。



今年の原爆死没者慰霊式や平和記念式典のあいさつなどでは、オバマ大統領の広島訪問についての言及が多く聴かれました。任期終了が近づいているオバマ大統領は、更に具体的に核廃絶の取り組みに関する成果を上げようと考えているのでしょうが、障害が多いようです。


原水爆禁止世界大会の報告で何度かご紹介しております通り、国連においては大多数の国が核兵器の非人道性についての宣言に賛成し、核兵器禁止条約の具体的な交渉を進めることなどを検討する作業部会も開かれています。次回の国連総会で、その作業部会の報告が議論されることになっており、そこで更に具体的な宣言が出されることが期待されています。

原水爆禁止日本協議会のホームページに、原水爆禁止2016年世界大会で採択された宣言や呼びかけが掲載されていましたので、関心のある方は下記URLを参照してください。


原水爆禁止世界大会
http://www.antiatom.org/intro_activity/world_conference.html



毎日新聞の記事にあるように、日本だけでなく韓国も英仏も核兵器の先制不使用政策に反対していると言われると、オバマ大統領が一人で非常識なことをしようとしているかのような印象を受けるかもしれません。

しかし、国連加盟国の大多数は、核兵器の先制不使用どころか核兵器禁止条約に前向きなので、むしろオバマ大統領の方が国際社会においては多数派ということになります。

また、記事中に「核軍縮を目指す核専門家からは「核兵器の廃絶を目指す日本が、皮肉なことにオバマ政権が掲げる『核兵器のない世界』の実現を阻んでいる」という指摘も出ている」という一文がありますが、正確にいうと、核兵器廃絶を目指す日本の平和運動の実現を、口先だけで核兵器廃絶を言いながらその実何の努力も払わない日本政府が阻んでいるという関係にあるのだと思います。

核兵器廃絶のための大きな障害になっているのが日本政府であり、日本政府の内実を変えることが核兵器廃絶運動の大きな課題となっているのではないかと思います。